峰岸純夫のレビュー一覧
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応仁の乱と時を同じくして、鎌倉公方と関東管領が対立。関東を二分する大乱が繰り広げられた。それが享徳の乱。さて、その実態はいかに??
私の高校時代にはまったく習わなかったこの享徳の乱、当時の関東の事情も含めて、発生した背景も分かりやすく書いてくれている。鎌倉公方と関東管領という支配層だけでなく、新田岩松氏という国人衆も取り上げて当時の関東事情も合わせて説明している。
享徳の乱自体は出てくる人物像がよく見えないことや、乱が終わっても既存の価値は大きく変わらなかったことから、何というか、地味。しかし、鎌倉公方がこののち関東の一部の実効支配を果たし、戦国大名の奔りとなったことが本書でよくわか -
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「享徳の乱」の名付け親だという著者の一般向け概説書。関東で発生した「享徳の乱」こそ戦国時代の幕開けだとする著者の主張を、享徳の乱の過程を通じていろいろな角度から照射する内容になっている。
著者の最も本書で訴えたいポイントは次の二つとのこと。
◎戦国時代は応仁・文明の乱より十三年早く、関東からはじまった
◎応仁・文明の乱は「関東の大乱」が波及して起きたものである
しかし、読み進めていっていろいろと疑問点が湧いてきた。
まず第一に巻末の年表をみての通り、関東に限ってみてもかなり短い間隔で乱が起きているのが分かる。
上杉禅秀の乱(1416年)、永享の乱(1438年)、結城合戦(1440年)、享徳 -
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15世紀の関東で起きた内乱を描く。筆者は教科書にも載るようになったというが、正直記憶にない。少し後に起きた応仁の乱に比べれば扱いは小さいのが実情だろう。
だが、この書を読んで、享徳の乱はもちろん鎌倉幕府滅亡以降の関東の歴史を知っていなければ、戦国時代に繋がる流れを理解できないと感じた。北条早雲は享徳の乱の戦後処理の間隙からのし上がったし、上杉謙信は上杉家の名前と関東管領の役職を移譲され関東武士の調停者として振舞っていた。
本書は複雑な関東の動きを分かりやすく描き、その重要性を認識させてくれる。
筆者はかなり高齢な人で、冒頭マルクス主義的な視点を覗かせることもあったが、それが全体を通して結論を歪 -
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応仁の乱より前に関東で勃発した大乱を「享徳の乱」として、応仁の乱勃発の要因、そして戦国時代の到来の起源という説を提唱する著者の渾身の一冊。
応仁の乱もそうだけど、鎌倉時代の源頼朝や源義経、建武の新政から室町幕府スタート期の足利尊氏や楠木正成、そして戦国時代の織田信長や豊臣秀吉などの、軸となるスター武将が不在なたため、人物相関も含めて中々複雑で、またそれにより新たな時代の幕開けになった訳でもなく、より混沌とした戦国時代に突入し、登場人物の多くがその混沌の中で没落していった事から、カオスで興味深いはずなのにイマイチ地味だった時代だが、改めて読んでみると面白い。
けど理解を深めるには、もっと頭を整理