ギュスターヴ・ル・ボンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
100分de名著
講談社学術文庫
ルボン 「群衆心理」 群衆心理を研究した本。読むのは 二度目だが、読むたびに凄さと怖さを感じる
群衆の中に入った個人は、集団の中の暗示や感染を通して、感情や観念が同一化していき、一つの有機体としての群衆が出来上がるという論調
群衆の中に入った各個人の感情でなく、群衆に下記の特徴的な感情が現れる
*動揺しやすく、昂奮しやすい
*暗示を受けやすく、信じやすい
*誇張的で単純
*偏狭、横暴、保守的傾向
群衆の指導者の説得手段「断言、反復、感染」は 政治外交、企業活動など様々なシーンで用いられているように思う
群衆を「衰弱した肉体や死骸の分解を早め -
Posted by ブクログ
100年という時代の違いを多少感じるが、野蛮で無自覚な群衆が社会の骨格を壊して行く、というところは、身に染みる。
2019年からの数年間のことが、そのまんま書かれている。
あの騒ぎがあったから、この本がとてもよく理解できる。
そうでなかったら、何をいっているのか、私にはちっともわからなかったかもしれない。
しかし、ラテン民族と中国が嫌いな作者だな、と感じる。
偏見も入っている気がする。
確かに学校の、教科書と先生を盲信することを強制する教育は、愚かな群衆を作る基盤になっている、とは思う。
また、ネットやテレビが普及していない時代の話なので、近年政府が行った言論統制についての見解は完全に甘い -
Posted by ブクログ
「蟻は、ある一定数を超える集団になったとき、働かなくなる蟻が現れる」という話を思い出した。私はそれを、集団で争い事なく生きるための無意識的な心理、もしかすると本能的な反応とさえ解釈してきた。しかし社会心理学というものは、集団というものをそんな単純な理解で終わらせずに、集団がいかに本能的で感情的で偏狭な、暗示を受けやすく、論理が苦手でイメージで考えようとし、常套句のような単純化された標語に対して従順etcと、読みとっているらしい。そしてメディアや政治は、その心理を利用し扇動しているなんて。漏れなく自分がそんな群衆のいちピースになっているなんて。自分を小市民と自覚しなくはないが、やっぱり自分の頭で
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Posted by ブクログ
ギュスターブ・ル・ボンはフランスの医師・社会学者・心理学者。普仏戦争(1970)への従軍経験もある19世紀後半の人である。
本書は、王権⇛貴族民主政に続く大衆の台頭の時代に、大衆が全体としてどう振る舞うかに踏み込んだ著書。
群集心理という言葉は現在では一般的に使われる言葉になっており、本書が後の人間科学に与えた影響は大きい。
ただ、20世紀後半以降の人間科学、特に実験的な社会心理学・進化心理学・行動経済学では、群として個としての人間の振る舞いにもっと精緻に踏み込むものも多い。
(ミルグラム実験、道徳の共通基盤、ヒューリスティックとバイアスなどなど)
これらの具体的な知見に触れた後だと、本書の -
Posted by ブクログ
1895年にパリで発行された、心理学の古典である。社会心理学という分野がまだ確立していない時代のモノであるが故に、社会や集団という定義がどのようなものであるかは不明である。群集とあるが、実際のところ著者が想定しているのは、デモ集会などで一箇所に同時に集まっているような群衆ではなく、むしろ国家における民衆というべき大きなものである。心理学の黎明期に書かれた本だけに、学説の変遷に関心がなければ本書はあまり有用ではないだろう。
著者によれば、群衆は個人よりも知能や理性におとるということである。まるで、退化するかのように、集団になった途端に動物のようになってしまうということである。人間が生物であるが