橋川史のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
好感が持てたのは、単にPISAの得点だけで各国の良し悪しを測るのではなく、同時に公平性についても注目していたところである。確かにいくらその国の平均得点が高いからと言って、国内での点数に格差があったら決して良い教育とは言えない。
同時に、ただデータのみで語るのではなく、その国の文化や思想と関連付けながらその国の教育を見つめることで、なぜその教育が可能なのか理解することができた。
日本の教育は、国内では、画一的で個性がない、と言われているが、イギリス人の著者から見ると、公平性が高く、集団を意識した社会性の高い教育なのだ。
学校の中の自由は制限されているように感じるのに、結果として公平性が高い(家 -
Posted by ブクログ
イギリスの中等学校の女性教師が、PISAで高得点を上げた5つの国(フィンランド、日本、シンガポール、中国、カナダ)を旅する。フィールドワークを行った結果をまとめたものが本書。
子どもたちや教師たちと直接触れ合うことで得られた分析・考察がまとめられており、その探究する姿勢に共感が持てる。
それぞれの国の特徴をまとめた後、「質の高い教育とは何か?」という問いに対し、「確かなことはだれにもわからない」と本音を吐露しつつ、5つの原則をまとめていた。
子ども、カリキュラム、学校、教師それぞれにおいてポイントが置かれている。この5つがすべてかどうかはさておき、いずれも納得感があるものだ。
日本に特 -
Posted by ブクログ
ロンドンの貧困地区の中等学校で数学を教えていたイギリス人教師が、フィンランド、日本、シンガポール、中国、カナダの学校を訪問して考察したことをまとめたもの。
小5の息子の勉強時間が長くて可哀想だなと思っていたら、中国やシンガポールに比べたらまだマシかも。。。日本の教育の在り方を相対的に考えられるようになった。面白かった。
・内発的動機づけと外発的動機づけ
内発的動機づけ その行為自体が興味や喜びをかきたてる 内発的(自律的)
外発的動機づけ
統合 その行為の目的が当人の目的と同じ 内発的(自律的)
同一化 目的が自分にとって価値のあるものだと受け止める いくぶ -
Posted by ブクログ
解説が刈谷剛彦で、もちろん非常によくできていて、書評を書こうと思うと相当邪魔になるんじゃないかと思うが、まずはそっから読んで本文にいくことをおすすめ。タイトルに突っ込むのは野暮というものだろう。
個別の国が点数がいいかどうかという分析は置いておくとしても、点数がいい複数の国・地域に共通のものはなにかという方向は面白い。著者がいうところの、能力によって子供たちを早期に分けて教育することの悪影響は、なかなか説得力がある。早く学校に入れたからといって効果的な教育ができるとは限らず、まずは勉強する準備(社会的スキルも)が必要だということ。教師を専門家として待遇し、養成すること。学校には制裁ではなく -
Posted by ブクログ
<目次>
序文
第1章 出発!最高の教育システムを探す旅へ
<フィンランド編>
第2章 落ちこぼれを出さないために
第3章 平等という選択
第4章 教師のモチベーション
<日本編>
第5章 教室は生活の場
第6章 誰にでも同じだけ能力がある
第7章 暗記、「ゆとり教育」、アクティブ・ラーニング
<シンガポール編>
第8章 超エリート教育はこうして生まれた
第9章 強烈なプレッシャー
第10章 学び続ける教師
<中国編>
第11章 儒教の教え
第12章 高すぎるハードル
第13章 中国人学習者のパラドックス
<カナダ編>
第14章 移民大国の教育
第15章 何を基準 -
Posted by ブクログ
イギリスの教師が、世界の高教育5カ国(フィンランド、日本、シンガポール、中国、カナダ)を訪問して現場インタビューをもとに考察をまとめている。筆者の教育者としての現場感覚が非常に生かされている。日本については、とくに集団生活が重視されていること、中学卒業まではどこでも同じレベルの教育が受けられるように制度上もとくに注意が払われれいること、が特徴として挙げられている。
他の国についても、教育のやり方の特徴だけでなく、制度についても精密な分析がなされていて、それが教育風土と強い関連があることが興味深い。
本書で繰り返し述べられている考え方として、西洋では個人には生得的な能力差があると考えられてい