ロンドンの貧困地区の中等学校で数学を教えていたイギリス人教師が、フィンランド、日本、シンガポール、中国、カナダの学校を訪問して考察したことをまとめたもの。
小5の息子の勉強時間が長くて可哀想だなと思っていたら、中国やシンガポールに比べたらまだマシかも。。。日本の教育の在り方を相対的に考えられるよ
...続きを読むうになった。面白かった。
・内発的動機づけと外発的動機づけ
内発的動機づけ その行為自体が興味や喜びをかきたてる 内発的(自律的)
外発的動機づけ
統合 その行為の目的が当人の目的と同じ 内発的(自律的)
同一化 目的が自分にとって価値のあるものだと受け止める いくぶん内発的
取り入れ 外からの承認を望んでいる いくぶん外発的
外的調整 外からの報酬を得たり処遇を免れたりする 外発的
無動機 不履行 動機が存在しない
中国の子どもたちは親と教師から多くのプレッシャーをかけられているうえに、子どもにあまり自由を与えないような教え方をされている。それなのに、アメリカの子どもたちより勉強を楽しんでいて、親に押しつけられるからではなく、重要なことだから勉強するのだと答えている。
「中国の親たちが理解しているのは、何事も上達するまでは楽しくないということです。上達するためには勉強や練習をしなければなりませんが、子どもたちが自分からやりたがることはないので、彼らの好きにさせないことが大事なのです。当然子どもは抵抗しますから、親は不屈の精神を持つ必要があります。何事も最初がいちばん大変であり、西洋の親たちはたいていここで諦めます。」
「しかし、正しくやれば、この中国式のやり方は好循環をもたらします。機械的な繰り返しはアメリカでは過小評価されていますが、上達のためには、粘り強くひたすら練習を続けることが何より大切です。算数でも、ピアノでも、投球でも、バレエでも、いったん上達し始めたら、褒められたり感心されたりして満足を得ることができます。そのおかげで自信が生まれ、それまで面白くなかったことが面白くなるのです。ここまで来れば、親が子どもにもっと多くを求めることも楽にできるようになります。」
「あなたはいつでも自分が決めたときに新しいスタートを切れます。
失敗とは転ぶことではなく、そのまま起き上がらないことなのです」
メアリー・ピックフォード カナダ出身の女優 プロデューサー
・高い成果と公平性を実現するための五つの原則
原則1:子どもたちに学校で勉強する準備をさせる
原則2:きちんと習得できるカリキュラム(そしてやる気の出る授業内容)を作る
原則3:低いレベルで妥協せず、子どもたちが向上を目指すようにサポートする
原則4:教師を「専門家」として待遇する
原則5:学校の成績責任と学校へのサポート(制裁ではなく)を両立させる
■成績の良い国の教師たちが用いている、効果が実証された教え方の例
・前の授業の復習:学習内容の要点を次の授業のはじめと数週間か数か月後に復習する。
・お手本と用例:ペースに気を配って説明し、お手本や用例を使って、学習内容を明確に理解させる。解き方のついた問題と、生徒に自力で解かせる問題を交互に出す。
・問題を深く追求しようとする姿勢:生徒たちに「なぜ」「どうやって」「もし〜だったら」「どうしてわかるのか」などと尋ねて、何が要点かを理解させ、それについての知識を関連づける。
・生徒をやる気にさせる:生徒たちは、がんばって勉強すれば知能や能力は向上すると確信できれば、どんどんやる気を出す。教師は生徒の能力を評価するのではなく、結果を出すための努力や工夫、その他の自主性を褒めることによって、生徒たちの信念をさらに強めることができる。生徒たちも教師から認められていると思えば、いっそうやる気を出して良い成績に繋がる。
・暗記:どの教科にも覚えなければならないことがたくさんある。暗記によって長期記憶に収容すれば、作業記憶の負担が減り、既存の知識とスキルを応用することによって当面の問題に対処することができるようになる。暗記する量は科目や内容によって異なる。
・簡単なテスト:教師は、暗記は他の学習形態より記憶を長持ちさせられることを、生徒に納得させることができる。その方法として、簡単なテストを行うとよい。それによって生徒も自己診断ができる。
・フィードバック:教師が定期的に、明確で目的の定まったフィードバックをすれば、生徒たちの知識を更新でき、生徒たちが教わった知識を理解したりスキルを習得したりするための方法を見つけ出す助けになる。
■効果のない教え方の例
・子どもの能力を賞賛する
・要点を生徒自身に見つけさせる
・生徒たちのすきな学習法に教師が合わせて教える
・教師が教え聞かせるのではなく、生徒たちに常に何らかの行動をさせる