サイモン ウィンチェスターのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【読んだきっかけ】本屋で見つけて内容が面白そうだったので。
【内容】世界最大・最高の辞書『オックスフォード英語大辞典』編纂事業にまつわるノンフィクション。
【感想】主人公のひとりは独学で言語学界の第一人者になったマレー博士、もうひとりは精神異常者マイナー博士。もうこの設定だけで面白い。
マレー博士は何度も挫折しながら苦学を続け、ついに辞典編纂に携わることになる。マイナー博士は南北戦争に従軍した際精神を病み、事件を起こして以後精神病院に入る。マレー博士は広く文献閲読者を募ったが、その中に極めて優れた仕事を迅速に送り続けてくる人物がいることに気づく。だがそれがどんな人物なのかわからない…。
辞典 -
Posted by ブクログ
ネタバレOEDが出来上がるまでの秘話。特に統合失調症で殺人を犯し、精神病院に収容されていたマイナー博士の人生にはいろいろ考えさせられた。
もし彼が人を殺さなければ、もし病院で過ごさなければ、OEDにここまで深くかかわることはなかっただろう。
発病しなければ優秀な医者として働き、OEDにかかわる暇はなく、無名のまま(しかし幸せに)死んでいったかもしれない。
こういう運命の皮肉はたくさんあるのだ。多分私たちの人生においても。
辞書というものがそもそも「ない」状態からどうやって作るか、辞書と植民地支配の関係、南北戦争の実態など初めて知ることも多かった。
ドラマチックな内容だが、決して筆を走らせず、資料から分 -
Posted by ブクログ
世界最大の辞書、オックスフォード英語大事典(OED)の編纂作業にまつわる嘘のような逸話。編纂主任を務めるジェームズ・マレーと、彼に膨大な量の用例を送り続け、辞典完成に大きく貢献した篤志協力者W・C・マイナーの2人をめぐる物語である。ジェームズ・マレーはイギリスの貧しい家に生まれながら独学で数多くの言語を習得し、OEDの編纂に関わることで、歴史上最高の言語学者といわれるまで上り詰めた。その一方でマイナーはアメリカの裕福な家に生まれながら、戦争のトラウマからか精神を病み、若年性痴呆にかかる。戦中に命令で焼印を押させられたアイルランド人を極度に恐れ、自分が常にアイルランド人に命を狙われているという妄
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Posted by ブクログ
OED(オクスフォード英語大辞典)編纂指揮者とそれを支える一人の篤志閲読者に焦点を当てたOED製作ドキュメント。
一方は貧しい家に生まれながらも努力で学識を得た聡明な学者のマレー。もう一方は名家出の戦場医師でその戦争経験から精神に以上をきたし、殺人犯となった囚人のマイナー。後者は監獄の中で指定の文献を読み込み膨大な数の見出し語(出自や用例を加えたもの)をオクスフォードに提供していた。その仕事ぶりは他の篤志閲読者に比類のない分量と正確さがあった。
小説としてもおもしろそうな設定で・・・実際は設定ではなくまさに「現実は小説より奇なり」というようなノンフィクションなのだけど、以上のような情報は裏表