ビル ビバリーのレビュー一覧

  • 東の果て、夜へ

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    あるギャングに属する少年たちが様々の人々と出逢い、交わりながら成長していく、という流れは大方合ってはいた。しかし1番の衝撃は最初から最後まで主人公ただひとりに焦点を当てていたこと。協同する仲間は居ても、離散と交錯を繰り返し最後には自分自身で人生を歩むこと。

    自然と前向きな気持ちになり勇気を与える小説である。
    この小説に出逢えたことに感謝したい。

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    2025年11月29日
  • 東の果て、夜へ

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    ネタバレ

    クライムノベルであり、ロードノベルであり、ティーンの成長譚である、俺の好きな3要素ががっちり詰まっているなら読むしかないだろ!

    ほとんどの部分、主人公イーストの独白調で物語は進む(ちょっとだけ違う視点で語られる章がある、俺の好みではあの視点は不要と思うが…)、このイーストが生真面目で、一直線で、憂いや哀しみや諦めを心に抱えた可愛いヤツなんだよなぁ。生活環境から犯罪に手を染める生き方を選ばせて(選択肢がそこしかない)いるが、環境が違っていれば、文武両道で頼れるいい子になったんだと思うが…。

    そんな主人公が、エエ加減な男、デブッチョオタク、13歳の殺し屋(弟)とともに、青色のヴァンにのって、L

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    2019年05月25日
  • 東の果て、夜へ

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    ネタバレ

    LAの一角しか知らなかった15歳の少年イースト。叔父が支配するドラッグ組織で見張り役をしていたイーストは、叔父の命令でほかの3人の少年たちと共にバンに乗りウィスコンシン州に向かう。目的はある人物を殺すこと。

    犯罪組織に属する癖の強い4人が道中、平和に旅するわけがありません。どんどん問題を抱えていってしまう。仲間との軋轢を重ねながら、今まで知らなかったLA以外の地域、自然、人々を目にしてゆくイースト。

    物語の最後になって、イーストは叔父の命令の真意を知ります。LAに戻り犯罪組織で生きていくのか、それとも東(イースト)で新しい自分として生きていくのか。イーストの決断に心を揺さぶられた。

    この

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    2019年08月01日
  • 東の果て、夜へ

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    彼らは何を見て、何を感じ、何を得るのか?
    主人公イーストを含めた少年4人が、殺しの旅に出るクライムノヴェル。

    地の文が続く。街。山。自然。車。土地。暮らし。殺人に向かう最中の車からの景色。殺人の緊張感と旅の優雅さ。緊張と緩和。目的に近づくほど、トラブル難題が待ち受ける。

    殺人だけの関係。仲間達との旅路。急激な展開に先が読めない。
    イーストも仲間も子供だ。それぞれの思惑、深い闇、どう解決していくのか。または過ぎ去っていくのか。見所である。

    待ち受けている解放感。清々しい。「シスターズブラザーズ」とはまた違った、沸々と湧き上がる感情のざわめきがあった。次作も決定しているらしい。追いかけたい作

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    2017年12月10日
  • 東の果て、夜へ

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    悪の道から足を洗い、自分自身で真っ当な人生を見出す、そんな一人の男の人生観小説だ。人間社会には頼れる人と、頼る人がいる。能力のない、力のない者は誰かに縋り付くことで生きて行く。だが、経験と歳と共に「自分の夢・仕事・生活」を自分の力で想い通りにしたいという時、どうしたら良いのか判断に迷う。 誰もが遭遇する人生のターニングポイント・タイミング「悟り」(自分で判断する)には勇気と行動がいる、ということだ。 (人生のターニングポイント:仕事を決める、結婚する、家族を守る、独立するなど)

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    2022年11月16日
  • 東の果て、夜へ

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    暗黒街で育った少年が指令を受けて、長い旅へ。
    若者たちだけで車に乗り、殺人のために…

    ロサンゼルスの一角で、毎夜ひたすら仕事場の見張りをするイースト。
    15歳ながら地道に責任を果たし、ボスには信用されている。
    地域のボスはイーストの叔父で、父のいない兄弟らをそれとなく気にかけていてくれる後ろ盾でもあった。
    頼りにならない母親は、弟のタイの方を気に入っている。ところがこのタイは13歳で既に殺し屋。ギャング以外に生きる道が見いだせないような地区で、怖いもの知らずな存在だった。

    ある日突然、異変が起きて、イーストらはあわただしく街を出ることになる。
    裁判の証人となる裏切り者を出廷前に殺せというの

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    2020年10月02日
  • 東の果て、夜へ

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    四人の少年が旅する話といえば、すぐ思いつくのはスティーヴン・キングの『スタンド・バイ・ミー』。この小説も四人の少年の旅の話から始まりますが、雰囲気は全く違います。

    所属する組織の命令で、裁判の証人になる男の殺害を命じられたイースト。組織のボスはイーストの他に三人の少年を指名。イーストたち4人は、2000マイル先の標的の元まで車で行くことになるのですが……

    文体と話の展開がなかなかに特徴的。ハードボイルドらしさを漂わせる文体は、感情を極力排し淡々と物語を前に進めていく印象。物語自体の雰囲気が暗いことに加えてこの文体がより、作品全体に漂う夜の中を歩んでいく感じを、表現していると思います。

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    2020年03月09日
  • 東の果て、夜へ

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    ネタバレ

    タイトルに惹かれて購入しました。原題ならば手に取らなかったかも。
    幼い頃から犯罪組織の一員としてキャリアを積んだ少年らが、証人殺しの命令を受けて2000マイルの旅路に出る。
    その最中で主人公イーストは、自分が築き上げてきた自信や、辛うじて捨てていなかった清らかさや絆も捨て去らなければならないような体験をする。
    物語終盤になり、過去に犯罪組織の見張りで叩き込まれた規律と忍耐力が、ペイントボール場のオーナーの信頼を得る良い武器となり、多くの人から小さな信頼を積み重ねるように得ていく。そのささやかな成功体験が誰のものでも無い自分自信の考えを見つけ出すきっかけとなる。
    読み易くテンポも良いため、長さを

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    2020年02月25日
  • 東の果て、夜へ

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    2016年発表作。内外で高い評価を得ており、犯罪小説/ロードノベル/少年の成長物語と、様々な読み方ができる作品だ。全編を覆う青灰色のトーン、凍てついた冬を背景とする寂寞とした空気感。筆致はシャープで映像的。主人公の心の揺れを表象する内省的な情景描写も巧い。動と静のバランス、光と影の均衡が、広大なアメリカの乾いた大地と相俟って、強いコントラストとなって魅了する。

    15歳のイーストは、ロサンゼルスの裏町にある麻薬斡旋所の見張り番を務めていたが、警察の強制捜査によって居場所を失う。犯罪組織のボスであり、イーストのおじでもあるフィンが少年を呼び出し、或る仕事を命じる。組織幹部の裁判で証人となった裏切

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    2019年08月17日
  • 東の果て、夜へ

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    原題「ドジャース」。LA(西南)からウィスコンシン州(北東)に車で移動する。飛行機、カードは使えません。組織の仕事で人殺しにいくので、身元が割れるような行動はできません。黒人青年少年四人が集めれ、ボロい車を運転し現金払いの設定で計画は始まるが、はい、うまくいかないですよ。むしろそうなるように計画されてたんです。もう自分は金稼いでいるし、一人前だと思ってたけど井の中の蛙だったってことに気付かない位に「子ども」だったってことに気付いてしまった。人間として肉厚に、器をでかくしないとな、ニガー。

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    2019年04月04日
  • 東の果て、夜へ

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    麻薬販売所(もちろん違法)で見張り役のイーストは、仲間4人(イーストの異父兄弟のタイ)と共に判事を殺害する旅に出る。車での長距離移動であり、道中は4人の間で様々な事件が起きる。無事に予定していた殺人は完遂するが、物語の真相はそこではなかった。

    本書の最後の方でその真相が明らかになったとき、単純に読者が驚くだけではなく、これまでのイーストの行動がフラッシュバックし、そんな物語だったのかと、二度驚くことになる。物語の構成が良いのだろう、とても楽しめた。

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    2018年05月01日
  • 東の果て、夜へ

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    ネタバレ

    黒人少年の成長物語...
    主人公イースト、やっぱまだ少年だけあってタフガイではない。タフガイであることを期待してまうんやけど、実際は弟のタイの方がタフガイ。でもイースト、いいやつ。
    オハイオでの生活がもっと長く続けばよかったのに。

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    2018年02月21日
  • 東の果て、夜へ

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    各方面で絶賛されているとおり、クライムノヴェルでロードノヴェルでかつ、少年の成長モノで、意外な展開が新鮮な感じだった。
    状況についても、登場人物それぞれについても、もっと書き込めそうなのに最小限の情報しか書かないで想像させる、といった感じで、全体的にハードボイルドな、無駄を極力省いたタイトな文章。饒舌な語り好きなわたしとしては、もっともっと書き込んでくれてもよかったかなあと。なんでローティーンの主人公と弟がこういう人間になったのか、とかもっと詳細に読みたかったような。。。
    とにかくハードな状況なのでけっこう読むのがつらかった。いつ「成長モノ」っぽさが出てくるのかと待っていたら、ラスト三分の一く

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    2018年02月01日
  • 東の果て、夜へ

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    読み出してしばらくはなかなか流れに乗れず、最後まで読めないかもと思った。ロサンゼルスの暗黒街で育った少年が、人を殺すよう指示されて仲間と共に西へ向かう。その道行の始まりからまもなく、最初のトラブルが起きるあたりで、俄然話に引きつけられ、あとは息を詰めて成り行きを見守ることとなった。

    文章に独特のクセがあり、好みが分かれるだろうが、危うさに満ち、崩壊の予感を抱かせながら進む物語に、この文体はぴったりはまっている。少年の孤独がひたひたと胸に迫ってくる。ドラッグ売買の見張りをすること以外、何も教えられたことのない少年が、ギリギリの所で保っている倫理観は、何に根ざすものなのか。深い余韻を残す一冊だと

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    2018年01月20日
  • 東の果て、夜へ

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    1話1話、そして登場人物のバックグラウンドも細かに丁寧に紹介しながら長ーいドラマとしてテレビで見てみたい。

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    2018年01月08日
  • 東の果て、夜へ

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    ネタバレ

    ハードボイルトとはいえ、渋いおじ様が主人公ではなく、ハイティーンの少年、それも黒人の男(の子?)が主人公という異色作。

    ロスの犯罪エリアで生きる少年たちに下された指令は、組織の審理に不利な判定を下すであろう判事の殺害。少年4人は車に乗り、はるか東の果てへ向かう…。

    少年4人のロードムービータッチの小説(ロードノベル)でありながらも、常にメンバーの不協和音が奏でられ、暴力と10代の無軌道な行動がせめぎあい、徐々に悪夢を帯びていくクライムノベルでもある

    やがて、単純なストーリーの様であったクライムノベルが、実は少年の自立と再出発の物語と変わる。
    どこまでも孤独ながらそれを当然のこととして受け

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    2017年11月20日
  • 東の果て、夜へ

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    大谷翔平と山本由伸のドジャース移籍が決まった。彼らふたりがメジャーリーグの同じ球団でプレイするなんて、野球ファンにとっては夢みたいだ。しかも山本由伸の場合、医学やトレーニング方法が進歩したとは言え、野手と比較すれば故障するリスクの高い「投手」というポジションにもかかわらず、12年もの大型契約。それだけでワールドシリーズ制覇を目標に掲げるチームが寄せる期待度の大きさが窺える。来季のドジャース戦中継が楽しみで仕方ない

    此度そんな流れで再読したのが、数年前に英国推理作家協会の新人賞と最優秀長編賞を同時に授与された本書。原題は、ズバリ「ドジャース」。ただし、野球に関連した話ではなく、黒人ストリートギ

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    2023年12月31日
  • 東の果て、夜へ

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    犯罪小説、ロードノベル、そして少年の成長譚という三つの表情を併せ持つ多層的な小説。イーストやタイの年齢設定に違和感を覚えずにはいられないが、ことアメリカという国において黒人のギャング少年団はリアリティのある設定になり得るのかもしれない。ペリーとの出会いがイーストに個としての成長を促す第三部終盤の展開は胸に迫るし、悲壮的ながらも解放的の溢れるラストシーンも深い余韻を残している。今作はミステリ文学賞四冠達成という華々しい経歴を持つデビュー作だが、ハヤカワ文庫HMレーベルよりNVレーベルの方がしっくり来るかも。

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    2022年12月21日
  • 東の果て、夜へ

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    ジャケ買いならぬタイトル買い。
    なんて格好いい邦題だろうか。
    淡々と進むロードムービーのような感じで読みづらそうと思ったがサクサク読める。
    アメリカの内陸部田舎の荒廃感がずっと続き、面白い。
    ずっと甘いもの食べててアメリカ人はすごいなと思った。
    ドーナツ食べたくなった。

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    2021年06月23日
  • 東の果て、夜へ

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    終始苦しかったなー。
    意外な展開後は読んでいても苦しかった。
    環境さえ整えてあげればいくらでも普通の少年として生きていけるのになあ・・
    ラストに救われた。
    勝手にスタンド・バイ・ミーみたいな感じを予想していたので苦しく感じたのかもしれない。

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    2020年09月12日