姫乃たまのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
元地下アイドル当事者が書いた本ということもあり、主観に拠った礼讃本か、あるいは裏事情を暴露したスキャンダラスな内容かと思っていた。
しかし、実際はアンケートをベースにした資料となっている。筆者の視点も、地下アイドルだった自分を研究対象として俯瞰して観察しているような冷静さを感じる。
自営業の人が読んでも参考になりそうな、ある意味でビジネス本としても読める内容。
病んでいて周囲とのかかわりが持てない女の子と、下心で近寄るおじさんで成立しているシーンだという偏見があったのだが、浅はかだった。
アイドルになりたい子は、テレビに出て有名になって経済的な成功も目指しているのだと思い込んでいたのだが、 -
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Posted by ブクログ
現役「地下」アイドルが、自らの体験とアンケートに基づき、アイドルとファンたちのえがく諸相をあぶり出してくれる、現在の私にとって非常にタイムリーで、興味深い本だった。
私は同じインディーズでも、どちらかというとシンガーソングライター(SSW)ないし、歌主体のシンガーのライブを楽しんでおり、たまにアイドル系の出演者も混じるブッキングライブに行くと、アイドルのファンらしい一群による、演奏中のかけ声(コール)やら動き(オタ芸)に激しい違和感を覚えると共に、いったいどういう世界なんだろうと興味も持った。
最近大石さんとかいうアイドル系の人物が「タダでシンガーの写真を撮ろうとする」などと「SSWおじ -
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Posted by ブクログ
地下アイドルでライター、というのにひかれて読んだ。
アイドルライブはライブハウス側にとって収益が高いんですね。
簡単なきっかけからアイドルの道に進めること、
新人でもすぐにかなりの数のライブを行えるというのに驚いた。
どんなアイドルにもファンがつくのも凄い。
ファンの側の、受け止められる範囲の大きさ、柔軟さ、行動力の高さにも驚く。
ライブという現場で、人が入れ替わっていく流れはあるだろうけれど
そこにしかない時間、経験、双方が要求を満たしあえる関係というのが、
ちゃんと現場の視点で分析されていて面白い。
内部にいる当事者がちゃんと文章で伝える力を持っているのはありがたい。 -
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Posted by ブクログ
自身が地下アイドルである、姫乃たまさんによる地下アイドルに対する解説本。
筆者の文章力や分析力の高さが、所謂アイドルというイメージを遥かに超えていて、まさに本物のライターレベルだと思う。地下アイドルの裾野の豊かさを感じる。
プロローグに、筆者が地下アイドルになった経緯の記載があり、この記載が一番臨場感にあふれていて生々しく面白い。
この本に書かれているように、地下アイドルは、普通の女の子が、「なんとなくなる」ことが多い。なんとなく誘われてライブハウスのステージに何の気なしに立ってみたら、ファンが付き、声援が送られる。十代のアイデンティティが確立できていない不安な時期の、承認要求から、ど -
Posted by ブクログ
地下アイドルである著者が、自身の経験とアイドルとオタクにとった大量のアンケートから論じる地下アイドルについての考察。
基本的に宣伝文にあるような煽情的な内容はほとんどなく、
アンケート結果の読み取りを中心にした極めて地道で誠実な内容。
「アンケート結果が一般の人は~%で、アイドルは~%だから、アイドルは~です。」みたいな論じ方が多くて、
そんなに単純に結論付けられるものなのかなって思う点も多々あったけど、
著者の実体験をもとにした部分等は流石の説得力だったし、
論じ方の端々から著者自身のアイドル・オタク像や
それらに対する愛情が見え隠れするのはなんか良いなと思いました。 -