バーナデット マーフィーのレビュー一覧
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試し読み
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Posted by ブクログ
原田マハさんの たゆえども沈まず を読んで
ゴッホに興味が湧き、お試し版から読み始め
結局止まらず本編を購入しました
多くのアーティストがそうであるように
心の葛藤や精神衰弱を抱えたゴッホ。
くらいの感覚でいました。
しかし、この本を読んで、星の数ほどある論文から
丁寧に丁寧に炙り出したゴッホの姿について
苦しみを抱えながらよくもまぁ
あんなに彩豊かな作品を猛烈に描けたもんだなぁ
と、尊敬の念を抱かざる得ませんでした
そしてその人生の深さ、彩りを鮮明にしてくれた
著者の執念とも言える調査力には脱帽です。
一つの点としての論文は数あれど
それが説得力を持って紡がれた糸は極太でした!
文章は -
Posted by ブクログ
ゴッホに関して知っていると思っていたこと。例えば、アブサンの飲み過ぎで精神的におかしくなっただとか。ゴーギャンとの関係は愛憎悲喜交々であったとか。そのような話が如何に後から脚色された虚飾であるかを、膨大な資料を文字通り掘り起こし系統建て積み上げた事実に基づいて質す。その執念のような仕事ぶり。美術史家でもなく伝記作家でもないイギリス人の著者が、ゴッホが切り取ったとされるものが耳たぶのみなのかそれとも耳の大部分なのかを解き明かそうと試みる。徐々に明らかとなるゴッホの人生の一部についても当然興味深いが、著者の積み上げる断片的な資料が徐々に形を成し百年以上昔のフランスの片田舎を活き活きと蘇らせる様その
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Posted by ブクログ
著者はイギリス生まれでプロヴァンスに住む美術史教師だったが、病気をして暇ができたのを機に、ゴッホの耳切り事件のことを調べてみようと思い立った。ゴッホは耳を切ったというが、耳を全部切ったのか一部だったのか。切った耳を誰に手渡したのか。いったいなぜそんなことをしたのか。
専門家もびっくりの執念深い調査で彼女が明らかにしたことは3つ。1つは、いくつかの資料が伝えるようにゴッホが切り落としたのは「左耳の一部」なのか、ゴーギャンが言っているように左耳全部なのか。これについては、耳を切ったゴッホを最初に診察したレー医師が後年、『炎の人ゴッホ』の著者アーヴィング・ストーンに耳の切り方を図解したメモを発見 -
Posted by ブクログ
ネタバレゴッホはひまわりを描いた
酒と女に狂った
おかしくなって耳を切り落とした
そして自殺して時がたって絵が売れ出した
そんなイメージだったけど、これを読んでみてそれらは一新。伝道師になりたかった。女性達を救いたかった。感受性の強い彼は周りの不幸を自分のことのように感じたのだろう。いてもたってもいられなくなった彼は奔走する。
けれども、それらは成功しなかった。多くの挫折の跡を感じ俺を悲しくなった。
自分は良しと思ってしていることがから回るなんてことはみんな経験してるんじゃないかなぁ
俺こそが彼女を幸せにできる!とかね
でもうざがられる、みたいな
それをめげずにめげずに何度も何度も繰り返す
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Posted by ブクログ
ネタバレ謎に満ちた画家ゴッホ。
自ら切り落としたとされる「耳」の謎を追う。
著者の、大量のデータベースを作成し真実を探求していく姿勢にまず驚かされた。
けれどこれは単なる「耳」の謎解きに留まらず、ゴッホが過ごしたアルルの素晴らしい自然や、数々の絵を描いた背景も丁寧に綴られてあり、ゴッホの魅力を再確認させるものだった。
気性が激しく些細なことにも思い詰める質のゴッホ。絵を描くことに情熱を注ぎ、どんなに過酷な環境の中においても自分の絵を描き続ける。
彼が生み出す優しい色使いや筆のタッチは見ている者を癒してくれる。
病に侵され思うように描けない苦悩や絶望。
そして最期は非業の死を遂げてしまう。
そんな常 -
Posted by ブクログ
ゴッホといえば、ヒマワリの絵と耳を切り落とした狂気の人という印象は誰にでもあるだろう。そのゴッホの耳はなぜどのように切られたのかを徹底的に調べ上げたのが本書。
アルルを訪れ、公文書館で当時の膨大な記録を一つ一つ調べていくという地道な調査を積み上げ、少しづつゴッホに近づいていく。そして、少しづつ見えてくる当時のゴッホとその周辺の人々。ゴッホを支え続けた弟テオ、ゴッホを見捨てたと言われるゴーギャン。それぞれの新たな姿を探り出し、ゴッホの病の深刻さが読み取れる。
著者がエピローグでも書いているが、一つ一つは大きな発見とは思えなかったものの積み重ねが、新たなゴッホ像を構築していく。
ゴッホの画集をそ