ジョン・アーヴィングのレビュー一覧

  • 神秘大通り(下)

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    冗長で退屈だったが、最後に来て、急激にスローモーションになり、死を描ききる手腕に、この作家の精髄を見た。

    意識を上下させながら、今と過去、現実と希望を交錯させる、新しい手法。

    生に織り交ぜることでしか死は描けない。しかし、生の延長に死があるのではなく、

    妹ルペ、ぺぺ修道士、主人公フワン・ディエゴ。養親アイオワン(エドワード・ボンショー)とフロール。忘れられない人たちだ。

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    2023年08月10日
  • 神秘大通り(下)

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    アーヴィングらしい、長い長い小説。ファンとしては読んでるだけで幸せな気持ちで一杯になる。そんな小説。

    登場人物もいつもの通り。色々な意味で不具を抱えた愛すべきキャラクターたち。そして全く予想がつかないストーリー展開とトリッキーなのに深みのある描写。アーヴィング以外にはこんな小説は書けない。

    正直読みやすいとは言えないので初心者には全くお薦めできませんが、こういうのが好きな人はもうたまらんと思います。

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    2022年05月14日
  • 神秘大通り(上)

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    まず、装丁がいい。
    それから、アーヴィングの個性ともいえる、同性愛者や両性愛者、障害を抱えたキャラクターなど、個性的でどこか不完全な人々が次々に登場して、ワクワクする。まるで完全な人などいないと言われているようである。

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    2018年02月10日
  • 神秘大通り(下)

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    死へ向かって行く現代のマニラへの旅と過去のダンプキッドからアイオワへの旅が,薬の飲み間違いなどのちょっとした状況でとても自然にあるいは唐突に切り替わって行くのが本当に巧みだ.幽霊までも含めた多彩な登場人物と万華鏡のような構成の中で,ルペが言ったように,ファン・ディエゴとルペの兄弟こそが奇跡だというのが,スッと腑に落ちた物語だった.

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    2018年02月02日
  • 神秘大通り(下)

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    ネタバレ

    これまでのアーヴィングと比べて,少しストーリーが散漫な気がしたのは,固有名詞にラテン系のものが多く,頭に入ってきにくかったせいもあるのかもしれない.
    お話しはいつものように,普通ではないアウトサイダー達が入り乱れ,行きつ戻りつしながら,また主役級があっさり死にながら,進んでゆく.終盤でフアンディエゴによってミリアムとドロシーに関してある発見がなされたあたりから,読者は話がどこに向かっていくのか徐々に気付かされ,ラストになだれ込んでゆくところは,やはりいつものアーヴィングである.訳者のあとがきによると,アーヴィングはいつも結末を決めてから本を書くそうだが,そういう目で振返ってみると納得.

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    2018年01月29日
  • 神秘大通り(上)

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    久しぶりにじっくりとアーヴィングを読んだ。
    愛おしくなる不遇な登場人物たくさん。
    混乱の極み。
    宗教に明るくないので、そのあたりの背景などが捉えられないけど。
    でも、アーヴィング、やっぱり嫌いじゃない。
    過去と現在を行き来する構成も、面白かった。
    この装丁は、一番すき。

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    2018年01月19日
  • 神秘大通り(下)

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    ネタバレ

    いつものとおり、アーヴィングらしい寓話です。
    決して幸せとは言えない境遇、親しい人たちの予言される死、死後にさまよう幽霊などなど、ストーリーだけ追えば悲劇なはずなのに、なぜかユーモラスで哀しくない物語。
    この作家さんは、本当にこういうお話がとても上手です。
    あまり現実的じゃないけど、かけ離れすぎていない、この微妙な距離感。
    ほっと一息つきたい方は、是非。

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    2017年11月17日
  • 神秘大通り(下)

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    アーヴィングを読み終えるといつも、あー物語を読んだなーという満足感がある。こちらはアーヴィングの中で一番好きな作品というわけではないが、どっしりとした満足感はいつも通りだ。
    ちょっと、フェリーニの8 1/2を思い出したりしながら読んだ。

    はい、「人生は長い障害物コース」です。。。

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    2017年08月07日
  • 神秘大通り(下)

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    熊とレスリングはないですが、猥談下ネタ+唐突な死+サーカス+無駄に長いあたりまじアーヴィング節。

    人生は喜劇で、グアダルーペをよく知らなくて調べたら、ネット広告にグアダルーペ像の広告が出るようになったこと含めて。

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    2020年04月08日
  • 神秘大通り(下)

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    現在と過去が入り混じる物語。
    主人公が物書きで孤独の影があるのがいい。
    残念ながら『サーカスの息子』みたいな感動はなかった。

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    2018年06月17日
  • 神秘大通り(上)

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    同じ人物の名前を場面どころか一文の中で言い換えているので,非常に煩雑で始めは読みにくくて仕方がなかった.だんだん慣れてくるが,過去と未来,妄想と現実が入り乱れ,フワン・ディエゴとともにどこへ行くのか読み手の方も着地点が見えず,どんどん世界が広がっている感があるが,後半に期待するとしよう.カトリック(イエズス会)への向かい合い方も興味深いし,過去見と未来予知のできる妹ルペが心配だ.

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    2018年01月25日
  • 神秘大通り(下)

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    ネタバレ

    アーヴィングの現代アメリカ小説。

    アーヴィングらしいといえば、作家の主人公の空想や収束に向かうための旅とか盛りだくさんで、そこに宗教的な奇跡や戦争における亡霊などが絡んで、ちょっとスティーヴン・キングチックな感じもあって面白かったです。
    過去の周囲の人物たちの死や現在の現実の人物たちのうっとおしさや幻想的な人物たちの淫靡さがミステリアスに絡んで長大なページ数を飽きさせませんでした。

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    2017年10月15日
  • 神秘大通り(下)

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    大好きなアーヴィングですが、この本は、他のアーヴィング作品と比べると読後の満足感が薄かった。というか、ほとんど無かった。新作が読めたことは幸せだけど。

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    2017年10月14日
  • 神秘大通り(上)

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    メキシカン文学者の人生を描くアメリカ小説。

    久しぶりだったので、いきなりアーヴィングワールドの洗礼を浴びました。
    主人公フワン・ディエゴの呼称がダンプ・キッド、少年、ダンプ・リーダーと最初の10ページ足らずで多岐にわたり、父親的存在のリベラもダンプ・ボス、エル・ヘフェなどと呼ばれることから、何が誰を指すかに神経を使いました。
    その上、聞きなれない地名と人名がごっちゃになってしまって、何度も読み返す羽目になりました。
    物語はアーヴィングらしく、現在と過去が入り混じりつつも核心に迫っていきそうな感じは衰えなしです。
    執筆はその前だと思いますがメキシコ大地震に言及するところがあったり、心臓病に関す

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    2017年10月08日