織部泰助のレビュー一覧
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いやー、面白かったです。
発生した謎が解決していないのに次から次に謎が出てきて事態の収拾がつかないー!という印象でした。
ホラー要素とミステリー要素が上手く絡み合っていました。ただ、ミステリーの割合がかなり大きかったです。
中盤あたりでは、解決していない謎が本当に多すぎて、人間がやったことなのか幽霊がやったことなのかも分からない状況だったので、グッと引き込まれました。
特筆したいのは、著者の語彙です。
恥ずかしながら、聞き慣れない言葉がたくさん出てきて、調べながら読むのが大変でした。ただ、文体が堅いわけではありません。「うわッ」みたいな表現もあったし、セリフの語尾に「!!」もちょくちょく出てきてました。(お堅い文体だと「!」とか「?」とかは使われない印象なんです)
なので、絶妙なバランスだったなぁと思いました。
また、語彙が豊かなことが登場人物の心情や状況の描写を的確に表現しているようにも感じましたし、難しい単語を使っていない文章でも、すごく良い表現だなぁと感嘆するものもありました。(終盤に出てきた『雨を背負う』っていう表現など、グッときました)
ミステリー要素もすごかったです。
あまりミステリーを読まないので間違っているかもしれませんが、所謂、多重解決ものになるのでしょうか。いろんな推理が乱立して頭がこんがらがってしまったのですが、それが脳を興奮させページをめくるスピードを早めていたように思います。
本作の続編もあるようです。
著者の文体が好きになったので絶対に読みます。
最後に蛇足ですが、主人公の出雲先生は序盤から幽霊のこと怖がってて面白かったです。
著者の持ち前の描写力で出雲先生の恐怖心を表現してあるんですが、なんだかこんなにちょっとのことでビクビクしている主人公も珍しいなと楽しく読めました。 -
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正統派な因習村ホラーが始まるかと思いきや、突然やってきた怪談師って怪しい人が来てから推理バトルで二転三転。えらいわちゃわちゃして軸がないなぁと思いつつ、次はどっちに話転がすの?とグラグラされることが楽しくなってる自分がいたわ。
なーんて思ったけども、いや江戸川乱歩や横溝正史も大概読者を揺さぶってたなとなって、それが何だか懐かしいような感覚を覚えるんだな。
小難しい漢字を多用してカッコつけてるところは奈須きのこだ。嫌いな人は嫌いだろなー、こういうの。嫌いな人は、ね。
結論、因習村だしホラーだしミステリーだしあくの強いキャラ出てくるし話わちゃわちゃだし言い回しかっこつけてるしで、好物だった、と。
二作目を読むのが楽しみでしょうがないよw -
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前作から引き続き、あいかわらずの語彙、比喩表現。
巧みだなぁとつくづく感心してしまいました。
読んでて飽きないんですよね、そういう記述があると。
例えば、「その日は急に自暴自棄になった冬が、あたたかな東風を吹かせたような陽気だった。」みたいな感じ。ね?ぐっときますよね!
そういうのが、随所に散りばめられていて、読んでいて楽しかったです。
あと、小ネタなんですけど、「近畿地方の〜」とか「都市伝説解体〜」が織り交ぜられた記述があったり、お話の舞台に犬鳴峠が近いこともあって「この先日本国憲法通用しません」というやつを想起させる記述があったり、ニヤついてしまいました。
前作は約400ページ、今作は約300ページでした。
そのため、今作は話が短いなという印象でした。
前作の感じだとこの辺りでもう一回ストーリーの展開があるはず…と思ったところで特に何も起きずに終了してしまいました。
そういうところから、今作はちょっと物足りなさを感じてしまったかなぁという印象でした。もちろんこれは、前作との相対的な評価なので、今作単体で見れば特に問題はないんですけどね。
前作と同様、ある地方に伝わる俗信、因習のようなものを取り扱ったミステリーです。ホラー1、ミステリー9という感じですが、ホラー小説ばかり読んでいる私としては、たまの味変にちょうど良い塩梅かなぁと思います。
このシリーズ、ぜひ続いて行って欲しいです。 -
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皆さんはジャノメチョウをご存知ですか?
私は全く知らなかったので、Google先生にお世話になりました。嫌いなんですよ、蝶とか蛾。本当に無理なんです。なのにジャノメチョウを調べる羽目になるなんて。
屋敷の間取りや造り、ジャノメチョウの呪いなどはしっかりと作られています。
ただ、前作に比べると人間関係や動機などが薄っぺらく感じます。
昔、『金田一少年の事件簿』で蝶を題材にしたものがありました。あれは綺麗な蝶でしたがこの話は決して綺麗な色をしていないジャノメチョウ。
ホラーとミステリーですが、何よりも怖いのが蝶です。
ありますか?
口に蝶が入る事が。
蝶の大群に突っ込む勇気が。
今年の夏は、口に生きてる蝶が入る事を思い出してヒンヤリしそうです。
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ネタバレ鱗粉が付いたら死ぬという翅賀村の呪い。翅ヶ崎家の当主イトが死体でみつかり、口の中からジャノメチョウが出てくる。その後娘の揚翅が蝶密室で撲殺されていた。
ジャノメチョウが死体に群がる理由がキツい。鱗粉が付いた人を殺し回ってた紋次。紋次をついに殺した翅ヶ崎家が地下の受水槽に隠そうとしたら紋次が今まで殺した人たちが入ってるとか…ゲロゲロ。その水飲んでるでしょ…ウゲゲ。その死者を介した水がジャノメチョウを呼び寄せるとは。揚翅が昆虫アレルギーで揚翅の部屋に蝶が入ってきたと助けの連絡が来て押し寄せたらジャノメチョウがブワーッと出てくるが奥の死んでる揚翅の部屋には蝶がいないという蝶密室は作りが良き。
ジャノメチョウが死体に群がるわ血肉を吸うわで気持ち悪い。愛に踊らされた共犯者も哀れでしたな。 -
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ネタバレ大富豪が館で死んだが、その前日に誰も知らぬ謎の男が館に現れて死んでいた。死体を館の裏手の番屋で一夜を過ごす儀式に見張り役として任された幽霊作家の出雲は寝てはならないという掟を破り寝てしまう。起きた時は三重の密室を突破して主の金蔵の首がなくなっており髪が床に散らばっていた。
角川ホラーだけどミステリに寄ってて、多重推理もあるし三津田作品?とも思える内容。ミステリ要素はさほどだったけど、髪の食べて死ぬとその髪の持ち主が憑依して生き返るとかのホラー要素が良い。最後の事故のシーンでもなぜ首が出雲の所に寄ってくるとか不明確な要素が興味をそそられます。 -
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ゴーストライターの仕事の為、出雲秋泰が訪れた素封家の屋敷には、死者の口に髪の毛を詰めるという奇妙な風習があった。
折しも屋敷では、身元不明の老人が髪の毛で首を吊る怪事件が発生。秋泰は死体の番をせよと裏山の番屋に閉じ込められる。
翌朝、死体は別人のものに入れ替わり、床は人毛が埋め尽くしていた。
福岡の村を舞台にした、民俗学ホラー×ミステリ小説。
第44回横溝正史ミステリ&ホラー大賞〈読者賞〉受賞作です。
角川ホラー文庫から出版されているものの、どちらかと言えばミステリ要素の方が気持ち強め。きちんと論理的に説明がなされる中、ほんの少しの説明のつかない謎や人間の狂気、「髪の毛が口に入る」という全編を通してまとわりつく生理的嫌悪感などで、民俗学ホラーとしてもしっかり恐怖を残していて好きです。
現代が舞台のようですが、雰囲気も現代機器などもあまり出てこず、それこそ横溝正史作品のような世界観。
少々時代がかった大仰な喋り方なども、時折読み方などでつっかえることはあれど雰囲気に合っていて好みでした。
私が買った時の帯には、紹介文にかかるようにおそらく髪の毛をイメージした線が入っていて、髪の毛がへばりついているみたいで見るたび気になって不快(誉め言葉)。きっとその不快感がこの本の恐怖の本質だと思う。そんなところも凝っていました。
個人的には探偵役と主人公の掛け合いが好きでしたので、またどこかで見られたらうれしいなと思います。