福原秀一郎のレビュー一覧
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絶滅のおそれのある動植物の密輸・売買事件などを捜査する警視庁生活安全部生活環境課環境第三係、通称「警視庁生きものがかり」に所属する「生きもの事案」のエキスパートである著者が、その携わってきた事件やエピソードをまとめている。
種の保存法などは知識としては知っていたものの、あまり警察と結びつけて考えたことがなかったが、警察の仕事にこのような「生きものがかり」ともいえる分野があったのかと、興味深く通読した。「生きもの事案」は、殺人や窃盗などと比べると地味な印象を持ちがちだが、それを取り締まることは、我々の生活の基盤である生物多様性の保護につながる非常に重要な任務であるということを感じた。また、様々な -
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ネタバレ警視庁生活安全部生活環境課環境第三係、通称「警視庁の生きものがかり」、取引や譲渡、飼育などが規制されている生きもの事犯を扱う警察官のドキュメント。種の保存法、ワシントン条約、外来生物法、外為法、関税法、さらには詐欺罪まで適用して事件化していく姿に警察のプロ意識を感じた。
生きもの好きというだけではなくて、専門家とのつながり作り、関連機関との連携など、専門捜査官ならではの強みだろう。
密輸された生物は原産国に戻してはいけない。異なった環境で病原菌や寄生虫の影響の可能性を受ける以上、元の環境にとっては外来種になってしまうという故千石先生の熱血など、勉強になった。
法規制そのものの新しさによる弱さ、 -
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最近、小説を原作とする同名ドラマがあったので、これもてっきりその関連本かと思ったら、出版は放送後のようだがどうやら関係はないらしい。
主に希少生物の密輸や不正売買にまつわる捜査の経験の数々が綴られており、生き物好きの端くれとしては読み応えがあった。
被疑者たちはすべて仮名で書かれているが、ああこの犯人は多分あの人だなあ、等と推察しながら、またそれも踏まえて後半を読んでいくとさらに面白い。
まあ生き物の命に拘わるとはいえ、決して凶悪事件とは言えないこの種の犯罪を、前例がない中で検挙実績を積んでいくのは本当に大変だったろう。
まさしく一芸に秀でた捜査員だからこそ成せた業だとは思うが、やはりどんな