立木勝のレビュー一覧

  • レジリエントな社会 危機から立ち直る力

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    成長、持続可能性のための扉を開くものとして「レジリエンス」の概念を詳述しています。かなり理論的な本です。

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    2024年09月12日
  • 大不平等――エレファントカーブが予測する未来

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    クズネッツ仮説というものがある。所得水準と所得格差の関係を示したもので、所得格差、すなわち、不平等は、所得が十分に高まったあとは縮小に向かい、低い水準に留まるとしている。
    縦軸に格差/不平等の程度(ジニ係数という数値で表されることが多い)、横軸に所得水準をとり、上記の考え方に沿ってグラフを描けば、逆U字型のカーブを描くことになる。これをクズネッツ曲線と呼ぶ。
    このクズネッツ仮説は、おおむね1980年前後までは、先進各国の状況に、あてはまっていたが、それから以降の状況を説明できない。アメリカ、イギリス、スペイン、イタリア、日本、オランダといった先進国の統計を調べると、1980年前後までは、クズネッツ仮説は当てはまるが、それから以降は、所得水準が上がっているにも関わらず、所得格差も拡大しているのである。
    クズネッツ曲線には、実は第二の波があるのではないかと、筆者は主張している。
    以上が、先進各国「内」の話。

    次に各国「間」の格差はどうなっているのかという話。
    1960年から2013年の間の世界全体のジニ係数は、統計上、明らかに下がっている、すなわち、所得格差は、不平等は縮まっている。それは、この間の先進国の経済成長率よりも、新興国の経済成長率が高かったから。貧しい国の経済成長が、豊かな国の経済成長を上回ったから。

    次に(本の中では一番最初に来る話であるが)、1988年から2008年までの間の、グローバルな、すなわち世界全体の経済成長の恩恵を最も受けたのは、どの層か?という話。
    横軸に、世界の人々の所得分布を百分位でプロットする、0は最も貧しい人、100は最も豊かな人々。
    縦軸には、1988年から2008年までの、その所得層の人たちの実質所得の増加率をとる。
    それでグラフを作成すると、どの階層の人たちの所得が伸びたのかが分かる。
    左から右肩上がりにゆっくりとカーブは上昇し、だいたい五十五分位くらいのところがピークとなり、その時の所得増加割合は、75%くらい。カーブはそこから急激に下がっていき、ボトムは八十分位くらいのところで、この層の所得の伸びは、ほぼゼロ。ボトムからカーブは更に急激に上がっていき、百分位が次のピークで、所得増加率は65%くらい。
    この間の経済成長により、最も所得を増やしたのは、世界的に見ればちょうど中位の所得の人たち、それは新興国、例えば中国の人たちだ、
    全く所得が伸びなかったのは、比較的裕福な人たち、先進国、例えば日本などの低所得の人たち。
    これが、グローバル、世界全体の話。
    これらは、経済のグローバル化と先進国の政治政策の、一つの不可避な帰結。

    ■ここまでグローバル、マクロ的な、スケールの大きな統計的分析は、見たことがない。単純に知的に面白い。
    ■言えば、マクロ経済の話だけれども、各国の政策は、経済成長や所得格差などに大きな影響を持つ。経済は、政治からインディペンデントには存在し得ないということが、よく分かる。
    ■日本国内の格差について、話題になることが多くなっている印象がある。でも、ここまで、グローバルな分析をしないと、事の本質は明らかにならない気がする。

    と、色々なことを感じた。



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    2020年03月15日
  • 金持ち課税――税の公正をめぐる経済史

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    【金持ち課税】
    経済階層と税制のお話。
    異なる階層に課税する場合の考え方は3種類。①平等(比例)②支払い能力による累進③補償による累進。
    現在では当然のように支払い能力に応じた税を課しているものの、その根拠は薄弱。取立てられるとこから徴収する、程度のものでしかない。
    歴史を紐解くと、累進課税を積極的に選択したのは、国民の多数が参加する大規模戦争時のみ。労働階級による血税の提供に対して、一部の資本家階級だけが、国家が与えるチャンスに資産を増大させた時。翻って現在、補償が必要となる同様な事態は、ない。現実が示すとおり、課税の累進性は逆行しつつある。
    累進課税が必要であれば、補償の新たな概念を示すべき。
    自分のこととして考えないと、税制は”平等”な方向に向かいます。

    #読書 #経済学 #税金 #みすず書房

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    2019年06月10日
  • 金持ち課税――税の公正をめぐる経済史

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    なぜ個人所得税の累進課税が許されるのか?について一つの回答を示す一冊。答えは明確で「戦争」。特に二つの世界大戦の影響の大きさが示される。また、足元の税率低下も同じ文脈で説明。勉強になりました。

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    2019年02月06日
  • 大不平等――エレファントカーブが予測する未来

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    経済学の本なのだが、最終章では政治や社会の問題にも踏み込んでいる。移民、金権選挙、パワーカップル、虚偽意識…

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    2018年01月13日
  • 資産格差の経済史――持ち家と年金が平等を生んだ

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    スウェーデンの学者が書いた本なので、研究のベースはヨーロッパ。
    日本人だとあまり参考にならないかもとは思った。
    読む前の勝手な想像よりは面白かった。

    この方の研究によれば、「持ち家」の方が有利らしい。
    これは、いろんなものやサービスが「きちんと」インフレしているヨーロッパならではかもしれない。
    日本も今後はそういう理屈になるかも。

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    2025年10月22日
  • 不平等・所得格差の経済学――ケネー、アダム・スミスからピケティまで

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    すげー面白そうなタイトル。
    目次を見ても、
    取り上げられる経済学者はケネー、アダム・スミス、リカード、マルクス、パレート、クズネッツ。
    一応経済学部卒の私は知ってなきゃいけない古典経済学の学者たち、
    そしてフリードマンやピケティの名前も出てくる。

    自分の問題意識からして、この400ページの分厚い本、何とか食い下がれるかと思ったが、、、
    手も足も出なかった。

    せいぜいわかったのは、
    古典経済学者の人たちは、階級による格差はあまり気にしてない、ってことか。
    階級は前提。経済学者はみな恵まれた立場にいるのだ。

    でもそれだけじゃねえ、、、

    まあ私の持論は、、、
    所得格差は実力だけじゃなく運によるところが大きい。
    自分の力で得た所得は自分のものと欲張らず分配するのがいい。
    ただし、政府の恣意的な分配ではろくなことにならない。
    今の日本の補助金政策を見てもわかる。
    となると、フリードマンの「負の所得税」など、
    ルールに基づいて自動的に再配分される方式がいい。
    そのルールの調整は時代時代によって変わり、
    困難を伴うだろうが、それをやるのが政治。

    てなとこかなあ。
    こんな底辺の理論はこの本には登場しなかった。
    完敗。


     プロローグ

    第1章 フランソワ・ケネー――「豊かな農業王国」の社会階級
     ケネーの時代のフランスの不平等
     社会階級とその収入源
     剰余の重要性

    第2章 アダム・スミス――「豊かさへの道筋」と暗示的な所得分配理論
     アダム・スミスの時代のイングランドおよびスコットランドの不平等
     スミス、リカード、マルクスにおける社会階級
     繁栄する社会とは
     『道徳感情論』と『国富論』での富裕層への態度
     富者の所得の正当性を疑う
     社会が発展するなかでの賃金、地代、資本収益
     進歩した社会の実質賃金と相対賃金
     暗示的な所得分配理論と資本家への不信
     結論

    第3章 デヴィッド・リカード――平等と効率のトレードオフは存在しない
     ナポレオン戦争時のイングランドの所得不平等
     所得分配と経済成長
     賃金、利潤、地代の進化
     階級闘争
     リカードの「思わぬプレゼント」

    第4章 カール・マルクス――利潤率は下がっても労働所得への圧力は変わらない
     カール・マルクスの時代のイギリスおよびドイツの富と所得の不平等
     下準備――マルクス主義の鍵となる概念を整理する
     階級構造
     労働と賃金
     資本と利潤率の傾向的低下
     不平等の進化についてのマルクスの大局的な見方――ふつうに思われているより明るい
     パレートへ、そして個人間の所得不平等へ
     補論――グラッドストーン引用騒動

    第5章 ヴィルフレド・パレート――階級から個人へ
     20世紀初め頃のフランスの不平等
     パレートの法則と社会主義に適用された「エリートの周流」
     パレートの法則か、パレートの「法則」か、それともそもそも法則ではないのか
     パレートの貢献

    第6章 サイモン・クズネッツ――近代化の時期の不平等
     20世紀半ばのアメリカ合衆国の不平等
     クズネッツ仮説の定義
     曲線の定義は早すぎたのか
     復活の可能性
     クズネッツの貢献
     この本で検討した著者全員の地域性と普遍性

    第7章 冷戦期――不平等研究の暗黒時代
     資本の私的所有のない体制――社会主義市場経済での不平等
     資本の国家所有という体制――計画経済での不平等
     社会主義での所得不平等研究の少なさ
     進んだ資本主義の下での所得不平等の研究
     崩壊の理由
     所得分配への新古典派的アプローチの批判
     資本主義の下での不平等研究の3タイプ
     国家間の不平等と国内不平等を結びつける

     エピローグ――新しい始まり

     謝辞
     解説[梶谷懐]
     索引

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    2025年05月12日
  • 民主主義の人類史――何が独裁と民主を分けるのか?

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    毎度反省するが、ちょっと勉強しようと思って、新書感覚で外国の研究者の、「一般向け」本を手に取ると後悔する。

    事例が多すぎて、回り道が長くって、何言ってんのか道に迷う。
    訳者の問題があるのかもしれないが。

    初期デモクラシーと、初期オートクラシーの発生の原因を、社会と国家の力学、徴税のために地方の力が必要か、官僚制で行ったかということを軸に置いてると思うんだが。
    歴史的な、あそこはこう、そこはこういう説明ができると、はれほれひれはれで、少なくとも出勤電車内で数日に分けて読むとなんだっけに陥った。

    欧州にデモクラシーが発展したのは、農耕を中心とした文化が遅れたからだってのは驚いたな。じゃあなんで世界を席巻したかって言えば、火器だけは発達したから。

    面白いと思ったのは、シナとロシアになぜデモクラシーが無いのかっていうところだが、正直、読み通すだけだった。

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    2024年03月15日
  • 大不平等――エレファントカーブが予測する未来

    Posted by ブクログ

    グローバル化によって世界的な不平等は縮小して来たが、国内の不平等は拡大している。
    日本はまだ再分配が機能しているが、労働分配率の改善が必要だと思う。
    世界的な不平等の動向が明確に示され、問題提起としてはいい本だ。

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    2017年12月19日