徳井淑子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
これもパッと目に付いたので手にとりました。表紙の赤っぽいピンクが印象的です。
この絵が銅版画というのが、美術に詳しくない人間からするとまずビックリ!
銅版画なんて中高の美術の時間にやったくらいなので、何をどうしたらこんな細かい線と色がつけられるのやら・・・
中世ヨーロッパ風ファンタジーが好きで見たいと思ったのですが、思っていたよりも奇抜なファッションが多く・・・いや知ってはいたんですが・・・色々な意味で面白かったです。
個人的には「白日の狂気」がお気に入り。
一見普通の男女が手を取り合って踊っているだけの絵に見えるのですが、あれだけゴテゴテ着飾ることがずっと続いていた時代に、ローマ風?の白くて薄い布を1枚くらい身につけているだけ、というのは当時の歳が上の人間からしたらとんでもない狂行だったんだろうなぁと思うと同情するけど面白い。 -
Posted by ブクログ
大好きなドレスを通史で学べる一冊。
大きなカラー写真がたくさん載っていて、眺めているだけでも楽しいが、(やや専門的な)解説も難しすぎず読みやすい。
個人的なことになるが、私の好きなスタイル(シルエット)は、どの年代に属するのか気になっていたので、本書でそれが1870年頃のものだと判明しスッキリした。
また、エリザベス1世、マリー・アントワネット、ジョゼフィーヌ、『若草物語』、エリザベート、鹿鳴館時代の大山捨松ら、アレクサンドラ・フョードロヴナ、ポール・ポワレ、クリスチャン・ディオールでは、それぞれ代表されるドレスは異なる特徴をもっていることが一目で分かるため、読んでいてとても楽しかった。 -
Posted by ブクログ
・徳井淑子「中世ヨーロッパの色彩世界」(講談社学術文 庫)は書名そのままの書であ る。本書は、「いわゆる色のイメージを中世ヨーロッパの世界に見ていこうとするものである。つまり、中世の人びとが自然の色にどのような感情を託し、またどのように色を創り、そこに社会はどのような意味を付与したのか、を解き明かすことを試みる。これは、逆に色を通して中世人のこころの世界と社会のありかたを見ていくことでもある。」(「はじめに」4頁)そこで「本書は基本的には衣服の色に関わる詮索を、ヨー ロッパのなかでも特にフランスを中心におこなっていく。」 (同5頁)ことになる。そのために中世の文学作品がある。これは、「それらの色にどのような意味を人びとが与えていたのかを伝える格好の資料」(同7頁)である。これら以外にも多くの資料等を用ゐながら中世の色彩世界を読み解いていく。正に蒙を啓かれる思ひの書であつた。
・衣服ではないが、「獣の毛色であるフォーブ色を代表する」(153頁)のは狐であり、それが主人公となるのが「狐物語」である。「キツネのルナー ルはペテンばかりを働いている。」(同前)のだが、この物語の主人公が狐でないといけな いのかなどと私は考へもしなかつた。日本の昔話のイメージからもそのやうには考へ得るのだが、中世ヨーロッパでも狐はずる賢い存在と考へられてゐたのかどうか、これは分からない。 しかし、ここでは色が問題であつた。第五章は「忌み嫌われた黄」(145頁)と題され、小見出しも「ヒトを排除する黄」「ユダと黄色」「『あいつは黄 褐色だ』という中世フランス語」「黄色の比喩ー悲しみと怒 り」等と続く。そして最後は 「ジャン・バルジャンの黄色い通行証」で終はる。ここには肯定的な文言はない。ユダやジャ ン・バルジャンは盗人、高利貸 しといふに等しいのであらう。 狐もこの流れにある。「フォーブ色が欺瞞という意味をもったのは、このことばの音が虚偽を意味することばに近かったためかもしれない。(中略)中世文学のなかで、フォーブ色の獣はいつも怪しい気配を漂わせる。」(153頁)だから狐なのである。日本の狐は化ける。 中世ヨーロッパの狐は嘘と欺瞞に満ちてゐるのである。更に、より重要な赤がある。この章題は「権威と護符の赤」(67頁)である。ただ赤の場合、「赤系の色のすべてが好もしい色として中世人のこころをひいたのではない。」(69頁)といふ。「茶色を帯びた赤色のニュアンスを示すrouxは、同じくラテン語ruberから派生・変化したことばであるが、これは赤毛を表すときにもっぱら使う色名であり、ゆえに忌まわしい意味をもっている。」(同前)赤毛がかういふものであつたことも私は知らなかつた。だから、「赤毛のアン」や「にんじん」の嫌悪感がよく分からない。「中世の赤毛は身体の醜さと同時に裏切り者という精神的な卑しさを示し、要するに蔑視感を表す」(同前)ものであつた。かうなつて、やつと赤毛の持ち主の気持ちが分かる。実はこの色、狐にも関係してゐる。「赤茶色の毛といえば、キツネもしばしばこの色で示される。」(70頁) それは「赤毛が狡猾さと結びつ」(同前)いてゐる。つまり「赤茶色は策略と裏切りを示す 色」(同前)であつた。狐には、その色からして良いイメー ジはなささうである。赤といつても赤毛はそんな色だつたので ある。ところが「権力者たちの赤い喪服」といふ小見出しで は、赤、スカーレットが権力者や医者に用ゐられることが述べられてゐる。これが章題である。しかしこれ以上は書けない。他にもまだ多くの色がある。皆、それぞれ意味がある。 正に啓蒙の書であつた。