寿木けいのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
“天敵をもたぬ妻たち昼下がりの茶房に語る舌かわくまで ー栗木京子ー
いくつもの役割を担い、職場と自宅の少なくともふたつの居場所をもつ現代の女に、舌が乾くまで話をする暇はない。自分の小さな経済があり、戻るべき場所がある。庇護してくれる男のもとへではなく、自身のねぐらへ帰って、明日のために眠るのである。”
著者の本は『土を編む日々』を持っていてXもフォローしているのだが、このエッセイではより彼女のものの捉え方に触れられよかった。
一編が短くさくっと読めるので合間に読めるのもいい。
25年の東京暮らしをやめて、40代で山梨に移住し宿を始めたライフスタイルも興味深く、移住後のエッセイも今後出 -
Posted by ブクログ
私はこんな女性にはなれない、こんな人になれたら…そんな憧れを文章を通じて私に感じさせる。曝け出すなら嫉妬とか、羨望にも近いかも。
小説の中にも筆者が「あなたのようにはなれない」と告げられるシーンがあるが、全く同じようなことを私も感じた。
文章はラッピングだと思う。日常のよしなしごとを自分なりの形にしてお出しする、それがそれぞれの本の個性で、筆者のは凛としていて、汚れていなくて、言い換えるなら百貨店の高級なチョコレートみたい。
だからこそ文章のなかには自分の強くありたい、よくありたいいう部分に共感があって、読んでいて気持ちが良い。背中を押してくれる。
その一方で清廉さは「鼻持ちならん」とい -
Posted by ブクログ
レシピ本ではなく、著者の食・料理に関するスタンスや現在に至るまでの生活上の変化もとらえつつ、最終的に行き着いた”きほんの10品”とそこから派生させた品々を紹介した本です。
この本を読むと、料理とは生き様やその人の生活スタイルを表すものであるな、ということに改めて気づかされます。
紹介されている料理は、詳しいレシピが書かれているわけではありませんが、複雑な調味料を駆使したり長い時間をかけて作るという類のものではなく、普段使いのもので時間をかけずに作ることを信条としているものばかりですので、真似してみよう、作ってみようと思わせてくれます。
料理を紹介した各キャプションには、そんな考え方でもい