高口康太のレビュー一覧
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この本に手を伸ばしたきっかけであり、読書前に抱いていた疑問でもある「中国国民は一体どのような価値観でもって、この監視社会化を受け入れているのか」という問いに対する答えが納得のいく形で得られた。
・儒教的価値観(一部の教養があり、徳を積んだ者のみが天理に従って統治する資格をもつ)
・市民公共性が土...続きを読むPosted by ブクログ -
梶谷懐(1970年~/現代中国経済論を専門とする経済学者/神戸大学大学院経済学研究科教授)と、高口康太(1976年~/中国の社会、ネット事情などに精通するライター、翻訳者、リサーチャー)による共著。
私は仕事柄、何人かの中国人の友人を持っているが、彼らとの連絡にはLINEは使えず、Wechatを使用...続きを読むPosted by ブクログ -
ある時期を境に中国、特に上海や深圳といった経済都市の犯罪は減少し中国人のマナーが劇的によくなった(たぶん今や日本人のマナーのほうが悪い)。テクノロジー&経済大国となった中国を「独裁国家」で紋切りしてしまうことに前々から違和感を感じていた。その理由が監視社会の「光」に焦点を当てた本書でクリアになった。...続きを読むPosted by ブクログ
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以前、中国に行ったとき、空港からホテルに向かったタクシーの中に財布を忘れてしまったことがあった。ホテルの人に伝えたところ、すぐにビデオをチェックすると言って確認をしてもらった。結局夜なのでナンバーが見えなかったということだったのだけれども。その後、警察に行ったとき、当たり前のようにテレビのモニタで空...続きを読むPosted by ブクログ
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中国の現状(もう、少し遅れているかもしれないが)を知るだけでなく、社会の中で、「監視」、「テクノロジー」をどう使うのか、それが、市民社会の中にどう位置づけるべきか。考えさせられる本。功利主義のための監視社会。日本には、スゴイ馴染んでしまいそうで、怖いなぁ。Posted by ブクログ
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「監視社会」をめぐる対立
・「現時点における気持ちの悪さ」⇔「将来における気持ち悪さの消滅(=慣れ)」
・後者にしても、一定の時間や手続きといったものが必要だという事実と矛盾はしない
・「幸福な監視国家(社会)」の本質は、「最大多数の最大幸福」の実現のため、その手段として人々の監視を行う国家(社会)...続きを読むPosted by ブクログ -
引用で興味を惹かれた本:
「1984」オーウェル・ジョージ
「すばらしい新世界」ハクスリー・オルダス
「ホモデウス」 ユヴァル・ノア・ハラリ
「セレモニー」王力雄Posted by ブクログ -
キャッシュレスが進んでいるとか、監視カメラがすごいとか、アネクドータルにはいろいろ聞く中国で進行する「監視国家」化の実像(もともとギグエコノミー的な働き方の人が多かったとか、意外とソフトな形をとる検閲とか)をわかりやすく伝える。それだけではなく、その動きをマクロな歴史や社会観の中に位置づけようとする...続きを読むPosted by ブクログ
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「こういう本は今の日本では売れないだろうなぁ・・」と「こういう本が出版される間はまだ大丈夫かなぁ・・・」というのが、本書を読み進める時に感じた最初の感想だった。
世の中に数多ある中国すげー本でもなければ、中国はもうすぐ破滅する的な本とも違う、中国で現在進行形の事象と、その現象を進めることが可能になる...続きを読むPosted by ブクログ -
世界で最もデジタルテクノロジーのトライ&エラーを高速で繰り返し、それを経済成長の根底に据えることに成功している中国。昨今の”中国イノベーション論”に代表されるように、日本を始めとする先進国は中国に学ぶべき、という一面的な論説も多々見かけるようになってきた。
一方で視線を大都市からウイグルに向ければ...続きを読むPosted by ブクログ -
2019年刊だが、そこからの変化が大きいと思われるのでより新しい本を探したい。何が起こっているのか、はざっと知識を得られるが、その背景や深い考察は十分には書かれていない。読み口の軽さになんだか不安を覚えるので次は研究書を読みたい。Posted by ブクログ
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功利主義の章などちょっと難しいところもあったけど、監視国家化する世界について知ることができた。テクノロジーが一度進み始めると容易には止まらないので、せめてゆるくブレーキをかけて大きな事故にならないように気をつけることが必要なのかなと思ったり。Posted by ブクログ
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中国の状況が一掴みできるとともに、日本では同じようにできないなあと思わせる。情報を得るならば消費者に還元すべきであるという考えはもっとも。
中国が嫌いな国は多いけども、中国がいないと成り立たない国も多いため考えを理解することは大事なことであると再実感した。Posted by ブクログ -
中国で監視の仕組みがそれほど抵抗なく受け入れられているという説明があったがそれは利便性が高まるためであり(功利主義の追求)、罰則規定もそれほど厳しいものではないからのようだ。
一方で新疆ウイグル自治区では監視が宗教、文化に対する弾圧手段として使われている。この二面性は無視できない問題。
日本もい...続きを読むPosted by ブクログ -
そろそろSFが現実になりつつある中、中国が取り組んでいる先進的すぎる取り組みを紹介する本です。
思ったのは、技術が出てきてから実戦投入されるまでの間がとにかく短いということ。これは日本は負けかねない、と危機感を抱きましたが、もはや日本は日本で勝てるフィールドに特化した方が良いのでしょうか…。
しかし...続きを読むPosted by ブクログ -
中国出張を前に、存在を知り購入。
前半の様々なサービスに関する話が、個人的にかなり興味をそそられた。中国の方も、プライバシーは保護されて欲しいと思っている、その上で利便性を享受したいという考えを持っているという点は、とかくプライバシーが無いといった言われ方をする中国に関して新たな視点を得られたと思う...続きを読むPosted by ブクログ