斉藤光政のレビュー一覧
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【優しさゆえに沈黙し、真実にいたる道をゆずってはいけないのである】(本文より引用)
世紀の大発見としてもてはやされながら、のちにその内容がウソであったことが判明した「東日流外三郡誌」。東北初の戦後最大の偽書はいかにして生まれ、いかにして人心を捉えるようになったのか......。著者は、「東奥日報」の記者としてこの偽書事件に巻き込まれていった斉藤光政。
こんな事件があったのかという驚きと、人々が偽書やフェイクをどのようにして信じるに到るのかを現実の例として見せてくれる稀有な一冊。事件ミステリーものとしてもページを繰る手が止まりませんでした。
この本自体に民俗史的な側面もあり☆5つ -
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久々の一気読み本。
青森に有ったとされる古代文明の存在が記されているとし、70年代から80年代に一部熱狂的なブームを起こしたとされる「東日流外三群誌」
青森県五所川原市にある一軒の農家屋根裏から天井板を破って落ちてきた事で発見された膨大な古文書は、その後偽書論争が巻き起こる。
当初の段階から最後までを取材し見届けた、もと地元新聞社記者であり、今はルポルタージュ記者である斉藤光政氏が書き上げた一大ルポ。
内容の面白さはあえて書くまでもないので割愛。
個人的に気になったのは、
米粒写経が月一ライブのガラパゴスィッチ内で、
東日流外三群誌の擁護派の筆頭、この方が執拗に頑迷に固執していなけれ -
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ネタバレ新章以外は10年前に読んでいたから読みやすい
ほゞ再読ではあるが、改めて和田喜八郎の偽書
でメシを食ってきた事が丹念に書かれている
21才の時から仏像など古物を見つけては、関係
する古文書を見せて展示やら埋蔵物を掘る資金
集めやらの詐欺師であり、本書には古文書商法
として自治体を絡めた事件を実例でだしている
椿井文書が巻き起こした歴史の増殖のように、
自治体の村史に残る事で、強烈な事実感が湧く
市浦村史・田沢湖町など税金が和田喜八郎の元
へ流れた事も腹立たしい
この詐欺師を応援する歴史ゴロ「古田武彦」が
事態をややこしく大事にした
二人ともバレバレの嘘をもったいぶって長く引
きのばす事で自著の -
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青森県の農家で見つかり、世間でも話題になった古文書「東日流外三郡誌」。この古文書には、現代人が作成した偽書ではないかと疑惑が掛けられていた。新聞記者である筆者がその疑惑を追った経緯をまとめたノンフィクション本。かなり面白かった。
古文書は本物だと公言する擁護派に対して、否定する証拠を次々と明らかにする展開が痛快。また、専門家がまともに検証する必要もないくらい杜撰な偽書であったにも関わらず、世間に広まってしまった原因を推察する部分は、時代は違えど現代の問題と通じる部分がかなりあって、とても興味深く読めた。
わずかだけど、安倍晋太郎と安倍晋三親子も登場する。この親子は、擁護派の広告塔として利用 -
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久しぶりに一気に読んだ。
「東日流外三郡誌」については、その名は知っていても、偽書疑惑が語られていること、古田武彦氏が大きくかかわっていること等の認識しかなかった。今回、この本によって、その出自と偽書としての評価が定まった経緯とをはじめて知ることができた。地方新聞の一記者がたまたまかかわったことを契機に取材を進め、やがて古田を中心とする擁護派(真書派?)の主張を次々と切り崩していく様は、一編の推理小説を読むような醍醐味がある。少なからぬ作家やノンフィクションライターが、この作品をルポルタージュの傑作として非常に高く評価していることも十分に頷ける。
かく言う私自身も、若いころ、古田の「邪馬台国は -
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旧版を久々に読み返していたら、加筆修正版が出ているとのことで早速買い直し。
昨今SNSなどで「少数派信仰」が散見される。相撲や体操やアニメ監督やプロ格闘ゲーマー等々枚挙に暇がないこれらも、外三郡誌同様、真偽を見極める材料など持たない人たちの「少数で多数と闘うのはカッコイイ」というイメージ先行の賛美に過ぎない。
物事の是非を印象で決めてはいけない。じゃあどうすればいいのか、信じるに足るものはどこにあるのか…言ってしまえば、この本だって偽書の可能性が全くないとは言えないんじゃないか?…というのは冗談としても、そうした考えは常に念頭においておきたい。
追加された章については、Wikipediaの -
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ほんタメとQuizKnockコラボの動画で紹介されていたため読んでみました。
最初は本当に面白くて、なんでこんなにバレバレな偽書に信者がいるの?!騙されちゃうの?!もうこんなの素人でもわかるんじゃ?!みたいな連発だったのに
いろんな欲望が渦巻いたりお役所仕事のナアナアな部分もありで出版されミステリアスさ故に魅力があって人気になり信じられていった過程がかなり興味深かったです。
しかし途中でいかに偽物なのかをずっと語りすぎて(もう偽書だってことはわかったから…)とダレる部分もあり
裁判もあくまで「著作権の侵害」に対する裁判だったから「偽書かどうかは専門家が決めることで裁判所がすることじゃないから」