武楽清のレビュー一覧
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マンガでわかると書いてあるが、地政学的に見た各国の事情の導入部をマンガにしてとっつきやすくしているだけ。しかし、全体的に平易に書かれており、この本で十分理解できる。
目次の前に、地政学とはどのようなものかということがマンガ数ページで書かれているのだが、マラッカ海峡とホルムズ海峡が出てくる。2020年発行の改訂版を読んでいるが、そのエリアの懸念が現実になり世界を(再び?)揺るがせている。地政学が本命とする事柄はそこに集約されているのではないだろうか。
ざっくり言うと地政学は歴史と地理と資源と宗教を同時に併せ解読するもので、国際政治学の一分野ということのようだ。日本で地政学があまり浸透していない事情は最後に書かれているが、社会の科目がただの暗記科目ではないという意味でも、高校あたりでこういった内容を多少なりとも取り上げていいのではないかと思います。 -
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地理上の条件が国家の行動に大きな影響を与えたと解いており、シーパワーとランドパワーを持つそれぞれの国がどのように戦争を起こしどのように国家を築いてきたのかをとてもわかりやすく解説しています。
学生の時は地理と歴史が苦手でした。出来事の背景を理解できず短期記憶に頼り、今は悲しいことに内容をほとんど覚えていません。当時この本を読んでいたら、特に世界史はとても興味深く勉強できていたと思います。歴史上の様々な出来事や国家の思想にはそれぞれに理由があることを理解できます。中学生、高校生に薦めたい本です。もちろん大人でも楽しめます。
個人的には、中国が経済発展していく一方でなぜインドはそこまでに至らないか、疑問がありましたが、納得のいく答えをくれた本でした。様々な理由があるのでしょうが、そのうちの一つに、ランドパワーをもち民族統一され共産党の一党支配である中国に比べ、インドはシーパワーとランドパワーの押合いの紛争に追われ、言語も民族も非統一であり地政学的にリスクが高い危険地帯だということがわかりました。 -
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私のように地政学の地の字も知らない人間にはとてもわかりやすい入門書。これ一冊で、現在世界で起きている紛争や各国の思惑等の世界情勢への理解度がかなり深まった。アラブ人は国の概念が希薄で宗派と部族への帰属意識が強いことや、外交とは昨日の味方は今日の敵、永遠の友も、永遠の敵もない、あるのは永遠の利益のみというイギリスの格言。外交に無知すぎる自分が恥ずかしくなった。外交とはあくまで国対国で、決して個人対個人ではない。そこを見誤ると政治に翻弄されて本質を見誤ってしまう、とも感じた。
今までニュースの薄っぺらな情報に翻弄されていた自分が恥ずかしい。改めてワイドショーの害悪性、日本メディアの衰退にも危機感を持った。 -
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地政学という言葉を最近耳にするようになったが、私が学生だった30年ほど前には聞いたことがなかった。
それもそのはず、太平洋戦争の元となったスローガン?「大東亜共栄圏」構想は、この地政学に基づいたモノだったらしく、敗戦と同時に地政学は日陰へと追いやられてしまったようだ。
それが近年また注目されるようになったのは、同盟国アメリカの弱体化と自国最優先主義、膨張する中国の脅威といった日本を取り巻く不安定要素から、地政学の必要性が再認識されたからだろう。
地理と近・現代史が合わさった内容。
シーパワーとランドパワーなる言葉は、恥ずかしながら初めて知った。
島国日本人にはピンと来ない、それぞれのパワーの特徴や、半島国家の苦悩、民族・宗教と国境問題など、様々な国、地域の視点から検証している。
導入はマンガだが、分析などは図表や文章が多く使われている資料的な本である。
中国大陸を下に日本列島を上にして見た地図は、中国が海洋進出を試みる際に、日本がフタとなっていることがよく分かり、ほーっ!と唸った。
日本のこれからは、
①これからもアメリカの従属国
②ロシアや中国などの従属国
③独立国として自主防衛しながら世界各国との関係構築
の三択だろうと書かれており、「独自外交」と「集団的自衛権」を掲げる現首相の安倍氏は③路線だろうが、それは容易なことではなく、ともすると孤立を招くとも書かれていた。
世界を読み解くのに、この一冊はとてもよい足掛かりになると思う。学校でもこういったことを教えてほしいなぁ。2020.1.25 -
Posted by ブクログ
地政学2冊目として購入。マンガでわかるという謳い文句だかほとんどマンガの要素はない。しかし、幅広く各国の地政学をわけて説明されていて、新しく内容もあり、勉強になったのとわかりやすかった
新しい学び
•日本と違い中国がむかし欧米の植民地に成り下がったのは朱子学を重んじていたから
→朱子学は世界を中華と野蛮との二つにわけ野蛮を支配するのが正しい世界秩序だと説いており、欧米を野蛮と見做し学ぼうとしない姿勢をとったため。
•EUには入れないNATO加盟国トルコ
→トルコは地理的にロシアの地中海進出を食い止める重要な位置でありアメリカの支援をうける。アメリカの支援を受けてNATOの加盟をするも、欧州諸外国はトルコがキリスト教ではなくイスラム教であり、トルコ人労働者が無制限に流入して雇用を奪うことを懸念してEUの加盟は拒否している。
•黒船来航以降、欧州列強に不平等条約を結ぶなど弱腰な幕府に対して不満が募り、薩長同盟を結んだ薩摩と長州を中心とした新政権が明治維新を起こし、あたらし政府を樹立。
しかし実権が薩長両藩に移っただけで、事あるごとに意見が対立。
→薩摩は海洋国家としての道を歩み、かつての帝国海軍の母体となり、大陸の動向に敏感な長州は帝国陸軍の母体となった。
→大本営の中で対立は続き、海軍がシーパワーのアメリカイギリスを仮想敵国としたのに対し、陸軍はランドパワーのソ連を仮想敵国として両方を日本は相手をし、予算を奪い合うことで日本は団結できず第二次世界大戦では大敗した。
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Posted by ブクログ
コテンラジオからの興味の拡がりで、
最近本屋さんでよく見かけた「地政学」が網にひっかかったので、漫画を交えてあり、比較的易しそうな感じのこちらを購読。
結論から言うと、
めちゃくちゃわかりやすくて面白かった。
各国ごとにまず軽い漫画を挟んだ後、
その国についてテキストで地形や歴史から見える立場や考えを解説していて、キーワードになる語句については欄外で詳細が示されている。
今世界で起こっているモノゴトについて、
自分の目から見える解像度が段違いに上がった。
特にわたしが1番印象に残った国の行動原理が、「自国を守るために戦う」というところ。
世界史でも日本史でも、争いの種になるのいつも自国を脅かす外敵であり、つまり各々の国同士、
お互いがお互いを怖がるというところなんだと、
かなり腹落ちした。
(これはコテンラジオの第一次世界大戦を聞いた後だったから余計に)
最後の章で、
日本の政治家としては珍しいのだけれど、地政学的検知に立ったレポートを提出した人物という話の中で、安倍元総理大臣のお名前が出てきた。
アジア太平洋上の安全保障についてインドとの関係を作り上げ、クアッドの創設に力を尽くした、
素晴らしく稀有な政治家だったと思う。
政治的な意見を声高に記すつもりはないけれど、
今回のことは本当に本当に残念だ。
ご冥福をお祈りしたい。 -
Posted by ブクログ
全部マンガではありません。
最初に4ページほどのマンガで問題提起し、興味を持たせて、そのあと詳しく説明するという構成です。
人気がある「サクッとわかる ビジネス教養 地政学」は読みやすかったけれど情報量が少ないので、本書は情報を補完するのに良い内容でした。
第3章の「さまざまな国から見た世界」がおもしろい。
○○○から見た世界地図、という視点で○○○に当たる国は次の8か国。
フランス、ポーランド、トルコ、イスラエル、サウジアラビア、インド、ベトナム、ブラジル。
ポーランドやトルコなど、地理的な条件(場所と地形)が悲惨な国の歴史を生んでいることがよく分かります。
ひととおり色々な国から世界を見て、世界の各国の事情が何となく分かったところで、最後に第4章で日本から見た世界を論じているのはいい構成だと思いました。
日本には「神風」が吹いていたのは本当だったこともよく理解できます。
日本は地政学的に優位性が高い国だと思いますが、ロシアと中国とアメリカに囲まれた超大国の緩衝地域でもあるんですね。 -
Posted by ブクログ
防衛に関する知識を得る上で恐らく避けて通れない学問だと思い、まずはマンガから入ってみるかということで購入。地政学とは、「地理的条件が国際関係にどう影響するかを理解する学問」とのこと。
思い浮かべるのが、ジャレド・ダイヤモンド『銃・病原菌・鉄』。アレは、ヨーロッパが世界をリードすることになったことについて、「ユーラシア大陸が横長、アメリカ大陸は縦長」であることを理由の根底に置いている(と思う)。
米国を島とみる視点、英国の「オフショア・バランシング」政策、シーパワーを拡充せんとする中・露、そして勢力の揺らぎの中で地政学的に考えた日本の未来……と、世界各国の歴史と現在を地政学的視点で解説する。 一般的な歴史と比べ、地図をざっくり見ることになるので、例えば西欧を大きな半島と見る等、普段は気が付かない視点がある。映画とかで権力者の部屋にでかい地球儀がある意味が何となく分かった気がした。
一方で、上述した『銃・病原菌・鉄』で抱いたのと同じく、演繹的ではあるが情報の選択に恣意的なものが含まれていないか?といった疑念を抱いてしまう。地政学という学問に対する批判は本書の中では言及されていないため、この点は次の本で。
一応、日本で地政学的思考が育たなかった理由については、終盤で解説されている。日本ではドイツ地政学を取り入れたが、大東亜共栄圏の正当性の根拠として用いられ、GHQにより禁止され、以降学問の分野でタブー視されていたことが一因であるという。
確かに、「国際関係では、他国どうしの紛争は大歓迎!」(p.117)とあるように、各国は勢力を拡大することは前提として語られており、まるで二度の対戦前のヨーロッパ列強について勉強しているような気分にはなる。こうした学問が、戦後の日本で疎まれるのは分からんでもない。
だが、それだけに、本書では今こそ地政学が学ばれるべきだとの考えを強調する。
今までは米国の保護国だったために自主防衛や独自外交の必要性が相対的に低く、戦略的なものの考え方が育たなかった。一方、米国の国力衰退とトランプ政権によるモンロー主義の復活、中国の海洋進出等の事情から外交の岐路に立たされており、地政学は非常に重視されているとのことだ。
特に、中国については踏み込んで書かれている。ゆるいイラストのマンガと思わせておきながら、解説役の家庭教師のお姉さんは、女子高生相手に「日本国内で反米運動反基地運動が高まって米軍が徹底すれば 誰の利益になるのかな?」「すでに中国は日本からの沖縄分離工作を始めているわ」とセンター試験には出ないことを、よりにもよって本の最後の最後のコマで教えている。その発言をする家庭教師はなぜか後ろ姿であり、表情は読めない。その後、外交が国の存続に関わることであることを最後に、この本は締めくくられている。
以上から、地政学の重要性は当然のこと、その学問が持つ、使用方法を誤ったときの危険性も感じることができた。次以降の本を読み、世界情勢・政治や防衛政策を読み解く視点としてより理解を深められたらよいと思う。