前田将多のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『広告業界という無法地帯へ』-前田将多-(毎日新聞出版)
1章 電通という会社
2章 ダイジョーブか、広告業界?
3章 ダイジョーブか、みんな?
4章 お客様は神様か
[レビュー]
広告業界、電通の実態を当社に在籍経験がある筆者が赤裸々に語った著書。’15年に起きた自殺事件を皮切りに、何気なくブログに広告業界の実態を記していた筆者のコラムが注目され刊行が決まる。
この業界は義理人情でできていると感じた。だから、不当な労働時間は生まれ社内でもハラスメントが横行するのだと感じた。来春から当業界に身を置く者として大変勉強になった。頭の良さは勿論、クライアント、媒体社、社内スタッフからも好感を抱かれる人情が必要と。 -
Posted by ブクログ
著者の最初の著作である「広告業界という無法
地帯」という本が余りにも面白く再読したほど。
電通でコピーライターとした働いた15年の経験
をベースに書いた広告の現場と仕事の実態。
余すことなくリアルに、そして坦懐に語り、
何度も頷き、考えさせられた。
その著者の2冊目が何と「カウボーイ挑戦記」。
電通を退社して真っ先にしたかったことが
カウボーイになることだったとは⁈
カウボーイの相棒である馬のいななきと鼻息の
荒さまで伝わってきそうな激しい意気込み。
そんな流れで本書を手に取った。
「カウボーイを理解せずして、北米の歴史・
文化・人間を語ることなどできない」という
信念の元、カナダ中西部・サスカチュワン州
にある広大な牧場にひとり立つ。はるか昔、
CMで耳にした「ロンサムカウボーイ」を
想起す。本書は、汗と泥と牛糞にまみれた
80日間の冒険記であり挑戦記である。
では、カウボーイとはいったい何をして
暮らしているのか…、素直な疑問がもたげる。
広大な牧場で食肉牛を育てているのがカウボーイ。
ブランディング(=焼印捺し:仔牛に焼きゴテで
牧場の印を付ける作業)をし、脱走した牛を
捕獲したり牛の群れを追い立て集めるために
馬に乗り、外敵のコヨーテには猟銃で
立ち向かい地平線まで続かんばかりの牧草地
ではトラクターも使う。それに加え、道具の
修繕や労働環境整備もすべて自分たちで行なう。
今日でも間違いなくアメリカの象徴であるが、
決して牧歌的なものではなく、西部劇や映画等
で描かれるノスタルジックなロマンさもない。
彼らの作業着であるブーツにテンガロンハットやベスト、ジーンズのブーツカットもカウボーイが馬を操る上で
アクシデントを防ぎ、実用的であるからに他ならない。
今に伝わる意匠や機能性は日々の営為の中で改良され、
付加されていった。
20年来、抱き続けたカウボーイへの憧れにケリをつける
べく挑んだ80日間。
来る日も来る日も牛・馬・羊に接し、未知の労働に
面食らい、衝撃も受け、時に己の無力さに無念の涙を
流す。その一方で、日の出ともに起き、日没ともに眠る
単調な生活の中に、とんと忘れていた無心になって
働くことの喜びを見い出していく。
タフな仕事にもまれる中で、カウボーイの仲間たちからも
次第に認められ、交わす言葉は決して多くはないが、
五感を通じて友情と絆の芽生えをしっかと感じる。
誇り高き屈強なカウボーイたちに受け入れられた瞬間で
ある。
本書にはカウボーイの仕事が仔細に描かれ、
彼らは常に先々を見据えて今を動く。
その際限のない作業の繰り返しをもろともしない、
その強靭さは「自然」という強敵を相手にしているから
こそ培われた。
ゆえに、職業人として、誇りある人間として、
北アメリカの大地で現在でも根を張り生き続けている。
カウボーイの「今」を活写した出色のルポルタージュ。
働くことについて深く考えさせられる一冊。 -
Posted by ブクログ
タイトル、本の帯「電通」の文字から、広告業界の話だと思われるかもしれないが、実はそうでは無い。日本の企業の至る所にある話である。
何も決められない会議。
後から分けも無く覆る決定。ま、決定も無く勧められることもあるので、覆っているわけでは無いかもしれないが。
どこからどこまでが誰の仕事か分からない、仕事の分担。それが、社内だけでは無く、会社と会社との取引においても行われている現実。
この本は、広告業界だけでは無く、一般の企業にも言えることで有り、役員から、一般社員までが目を通して良い内容だと考える。
役員の皆さん、若い頃、こんな風に考えなかったんですかね。でも、同じ事をなさっていますよ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ電通に在籍経験を有する著者により、広告業界の働き方等の実態が解説されている一冊。業種は違えど同じクライアント業に身を置く立場として、頷ける箇所が多々あった(詳細は以下引用)。内容とは関連しないが、本書を通じて、コラムニスト独特の文章の書き方を学んだ気がする。より具体的には、極論に振る、一つロジックを飛ばして意見を述べるなど。「誰もそこまでは言っていない」のに、半ば暴走して持論を展開するあたりが、読み物としての面白さに繋がっているのではと感じた。
印象に残った箇所は以下
「長時間残業が減らない理由をもう一つ挙げるなら、アイデアという無形のものを扱っているため、規格においては「これで完成」ということがない。コピーを考えるにしても、あと一時間考えたらもっといいモノが書けるのではないか、これでいいのだろうか?という疑念は常に脳裏を離れることがない」(p.18)
「ところが、本当は、単なるイメージ図を描き込めば描き込むほど、「この女性のパーマが気に喰わん」とか、重要でないところが気になるのが人間で、ラフなスケッチ程度の方がよかったのだ」(p.74)
「多くのメイカーや企業の実態は、社内的な政治に配慮した無難な戦略をできるだけ地味に立案します。具体的には、あくまでも社内用に、昨年比一〇一%的なできそうな成果を目標にします。そうやって、可もなく不可もなくな作戦を立てる傾向があります」(p.96)
「「自分を信じる」ことよりも「自分を疑うこと」の方が難しいことなのではないだろうか」(p.126)
「僕が電通を辞めた理由は、この仕事の構造が、「患者の指示に従って治療を行う医師」のようなものだからだ」(p.163)