足利健亮のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ読み始める前はこの分野の派手な成果を集めたレビューのようなものを期待していたのだが、実際はそうではなく、本書の内容は著者が関わった仕事を主に取り扱っている。そのため、著者のフィールドであろう近畿地方の内容が多く、時代も古代のものが多い。扱う対象も『道』や『ため池』といった地味なものが多い。
だが、面白い。
元がNHKの書籍だから(放送を書籍化したもの??)か、優しく語りかけるような柔らかい書き口と多くの図(100枚を超えるのではないか)で、自分だけのための特別講義を受けているような気分になり非常に読みやすい。
また、ある程度知っている場所の説明には「おおっ!なるほど」と、より親近感を持って読め -
Posted by ブクログ
著者は、歴史時代の地理を明らかにする歴史地理学の研究者である。現代の地図と古い時代の絵図、土地台帳を主な資料として、古代・中世、近世、地名の様々なエピソードを取り上げて解説している。なぞを提示し、それを地図を中心とする資料を使い解いて行くという構成なので楽しく読み通せた。古代の主要街道が直線的な立派な道であった事、聚楽第の規模の推理、伏見城周辺の道路整備の狙い、雨量と関係ないため池の立地条件などについて17章に亘り大胆な推理を展開しているが、どれもしっかりした論理的裏づけがあり、納得させられた。歴史に興味が有る、地図好きにお奨めである。