渕上痩平のレビュー一覧
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ネタバレネットで見かけて。
ソーンダイク博士という名前に聞き覚えがある気がしたが、
読んだことはないはず。
シャーロック・ホームズのライバルの一人と言われるだけあって、
レトロな感じで良かった。
第二章冒頭の「知り合いになるには然るべき紹介からはじめる」とか、
いかにもイギリスらしいし、
人を会うのに使いを出すとか、連絡をつけるのにメッセージを書いて届けるとか、
女性に対する距離感とか。
最近エジプトのミイラの話を読んでいたので、
多分それがトリックの要だろうなという予感(推理ではない)がしていた。
そこも面白かったし、
ソーンダイク博士とそのジュニア・パートナーの
ふざけあっている会話も面白か -
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ホームズ時代のホームズ4大ライバルの一人。
ソーンダイク博士の特徴は、科学分析を駆使した超人探偵。
事件現場に何らかの「物」が落ちていれば、それを顕微鏡で分析し、そこから推理を組み立て、犯人に辿り着く。
現実的な超人度で言えば、ホームズを超えてるだろ、と思うレベルの探偵で、埃一個あれば推理を交えて犯人に辿り着く。
しかし読者には予測不可能であり、「すげえ!」とは思うものの、解く楽しみというものはない。
短編全集第一巻は、その手法に「え!すご!」となり、しかし読者が解くことはできないから「へ~」というパターン化してくるところ、続く短編集『歌う骨』でいきなり倒叙化し、そのストーリーや同じ倒叙 -
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ネタバレ「オシリスの眼」と同じ作者だったので。
またもや零落したご婦人を助けるお話。
しかも今回は直接的危害、
逃げようとした殺人犯に刺されたり、
毒入りチョコを贈られたり、
弟が怪我をしたと呼び出されて殺されかけたりと、
かなり危険な目に遭ったご婦人を助けられて良かった。
ただし、2番目と3番目の危険については、
あまりにも古典的な手口になので、
それにひっかかるとはどうよと思ったことは否めない。
古典だからしょうがないが。
それほど価値がない宝石コレクションの強盗殺人と、
残された指紋の謎、
行方不明になっている遺書がからみあい、面白かった。
悪者が自分の仕掛けた毒で死んでしまう、
しかもそ -
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表題作『パズル・ロック』は暗号ものであり、それよりもスリラー展開であるということの方が面白い。
前半部、この時代特有の「幽霊系」の事件が起こるが、その解法として他作家の「幽霊系」よりも納得できるし面白い、幽霊系事件の先駆、金字塔だな、と思った。
現代感覚では「幽霊系」というテーマになった段階で「そんなわけないやろ」が前提に来て辟易してしまう感があるが、「どうしてそうなったか」が科学的で面白い、というのは後の時代の作品に与えた影響が大きかったのではないかと思う。
他にも、「ザ・古典」というか「その後のトリックの元祖はこれなんじゃないか」と思える作品があり、そういう意味で楽しめた。 -
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ソーンダイク博士シリーズ長編。
語り手はジャーヴィスではなく、『赤い拇指紋』に登場したアンスティ弁護士である。
アンスティが刺された女性を助けたことから殺人事件に巻き込まれる。強盗殺人と思われたが、被害者の弟は納得せずソーンダイク博士が出馬することに・・・
ソーンダイクといえば地味にコツコツ科学捜査のイメージがあるが、この作品はかなり冒険活劇で、ロマンス、アクション、歴史を遡る因縁話など盛りだくさんな内容で驚いた。意外性はあまりなかったが、広げた風呂敷がきれいにたたまれるラストは本格の醍醐味。
訳者あとがきによると、ウィニフレッドやモーキーが他の作品にも登場しているそうなのでそちらも読んでみた -
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法医学者ソーンダイク博士を探偵役とするシリーズ長編。シャーロック・ホームズと同時期に活躍した探偵だが、作中、徹底的な科学捜査を駆使する手法は今回もお見事。同じモチーフを(例えば指紋の話など)ここまで複数作繰り返し使いながらも、見せ方を替えて話の筋に生かしてくるところが凄いで。(同じ素材でも複数の調理法的な…)
特に今回の話は要素が盛り沢山で、宝石商の殺人に始まり、聖書を使った暗号、チョコレートに混ぜ込まれた毒薬に周囲をうろつく謎の人物の影、ジャコバイトの反乱に遡る一族の因縁話とそれに関係する領地相続の物語、空き家で命を狙われるヒロインに邸宅内の隠し部屋を巡る冒険……と(まだまだ他にもありますが