津野香奈美のレビュー一覧
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パワハラが発生するメカニズムを個人と組織の特性から解き明かした上で、どうしたらパワハラをしない上司になれるかを解説した本。会社がマネジメント層改革に力を入れ始めた矢先、タイトルに惹かれて読み始めた。
著者は学生時代のバイト先で女性部長の部下が次々と離職するさまを見てパワハラ研究を志したという。自身の研究成果に加え、国内外の200本強の文献を駆使した論説は説得力があった。
パワハラは国内外を問わず存在するが、日本は海外に比べて専制型上司は少なく、放任型の上司が多いという。リーダーシップに欠けマネジメントにも消極的なため、仕事の成果は上がらず組織内にパワハラが横行するリスクが高い。思い当たる人は多 -
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エビデンスを用いた説明と、きちんと体系化された内容。大学教授が自身の研究を分かりやすく一般書にしている。網羅性もあり、非常に良かった。
内容としては、
・パワハラの定義
・誰がしているのか
・どのような職場で起きやすいのか
・パワハラになりやすいリーダーシップの類型
・パワハラを起こさないための方策
これらを様々な調査の結果を用いて説明している。
個人的に気づきがあった点を挙げると、
放任型・消極型上司がいる職場でパワハラが発生しやすい、という指摘。最近では、管理職研修などでパワハラ防止を強く意識させられることにより、上司サイドが萎縮する。それにより放置された部下側が、メンタルヘルスを低下 -
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パワハラされて困っている人向けでも、プラス思考を教わる本でもないけど、自分を守るお守りになるかも。いや、これちょっとおかしいでしょ?ということも言語化できていないとストレスにつながる。自己防衛という意味でも知識をつけてデータで証明することが大切なのではないか。
環境要因 負荷が高い、自由度が低い
人的要因 マネジメントとリーダーシップのバランス
役割葛藤、役割の曖昧さ 矛盾を感じる、何を求められているのかわからない
パワハラが発生しやすい場面は決まっており、それぞれに対処法が存在する。これまで管理職に向いている人は実績と経験があることだけなのかなと思っていたが、それだと絶対人選ミスる。ダー -
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人事の仕事上での学びになればと思って購入したが、組織で働く全ての人に一章だけでも読んでみることをオススメしたい!参考になる本だと思う。
「科学的に」というのがポイントで、自分の経験談といった偏った見解ではなく、様々な調査や研究結果を分析して語られているから納得感がある。
パワハラに限らず、人間の行動心理学について興味がある方や上司部下とのコミュニケーションに悩んでいる方には刺さる部分が多いと思われる。
私は中堅社員で上と下の間に挟まれる立場にいるので、自分自身が部下や後輩に関わる時に気をつけたいことや上司へのフォロワーシップを改善していこうと思えた。
パワハラ問題に対しても、人事としてどん -
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部下が上司の言うことを聞くのは、好きだからでも魅力的だからでもなく、「単に上司だから」です。もちろん、上司のことを尊敬していたり、魅力的だと感じていたりする場合もあります。ただ、一般的には、上司や先輩であることと、尊敬されたり好かれたりすることとは、必ずしも一致しません。
・人は優越性を得ると横柄になる
人は社会的に優位な立場に立つと、横柄になることがわかっています。社会や組織の上位にいくほど、①慈悲や同情の気持ちが減り、②権利意識や自己利益についての意識が強くなり、③周囲の人の不利益を顧みなくなることが、様々な研究からわかっているのです。
この実験結果はまさに、社会や組織の上位 -
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そもそも、パワハラしている人は、自分がパワハラしているという自覚がないのではないかと、思います。
そんな相手に「それはパワハラです!」と言ったところで、相手はきょとんで、なんのことだかわからないということが多いのではないかと思います。
パワハラ気質の人たちには、何か共通点があるのではないかと思っていた時に、この本に出会いました。
どういった人がパワハラに陥りやすいかなど、なるほどと納得することばかりでした。
読みやすくて、おもしろかったです。
おわりが、筆者の3歳と1歳の2人の息子さんに対して「君たちが就職する前の日本では、パワハラがないことが当たり前の社会になっていることを願います。 -
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■パワハラの定義
「改正労働施策総合推進法」において、パワハラは「職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素をすべて満たすもの」と定義された。
・「職場」は業務を遂行する場所を指し、通常就業している場所以外であっても業務を遂行する場所については、「職場」に含まれるとされている。例えば出張先、懇親の場など。
・パワーハラスメントの「パワー」の部分を「優越的な関係」と表現している。
■パワハラの6類型
①身体的な攻撃
・暴行・傷害
②精神的な攻撃
・脅迫・名誉棄損・侮辱・ひど -
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ネタバレ職場の上司にすすめられて読んだ本。
タイトル通り「パワハラ上司ってなぜああなるのか?」を科学的に解き明かしていて、めちゃくちゃ納得できた。
ポイントは、パワハラは「性格の悪さ」じゃなくて、脳の報酬システムが暴走したり、組織の仕組みがうまくはまった結果の“脳+環境のガチャ”だということ。
だから「悪い人」と決めつけるより、「ああ、この人の脳は今こんな状態なんだな」と知ると、気持ちが少し楽になる。
自分も「ああ、いるいるこういう上司…」とリアルに感じてしまい、理屈でわかると怖さが半減するのが不思議だった。
結論としては、パワハラ上司のせいにするより、脳と組織のせいにして、自分の心は守りつつ賢 -
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和歌山医大で助教授を務める著者による、「パワハラ」を科学的に考察した本。
「パワハラの定義・分類」
「どんな人がパワハラをするのか」
「なぜパワハラが起きるのか」
「パワハラを防ぐにはどうすれば良いのか」
といった切り口から分析される。
データドリブルかつサイエンスに則った内容であり、妥当性が高いと感じた。
精神医学分野からの知見も盛り込まれており、参考になった。
特に、「どのような人がパワハラをしやすいか」という内容は示唆に富んだテーマだった。
パワハラをしやすい人は、「感情知能が低い(怒りのコントロールができない)」「相手の気持ちを考えられない」といった想像通りの内容の他にも、「他者に