氣賀澤保規のレビュー一覧

  • 中国の歴史6 絢爛たる世界帝国 隋唐時代

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    ネタバレ

    日本史でも馴染み深い隋唐ですが、実際のところはどんな政治状況だったのかということはこれまで私もほとんど知りませんでした。隋や唐が巨大な勢力を誇った世界帝国だったという漠然としたイメージ以外はあまりありませんでした。それこそ豪華絢爛な中国文化というイメージです。

    ですがこの本ではこれら隋唐がどのような経緯で建国され、衰退していったかを詳しく見ていくことになります。そして何より、中国全土を統治するというとてつもない難事業をどのように行おうとしていたのかというのは非常に興味深かったです。

    現代のような通信手段がない中でどうやって広大な国土を治めるのか。そのことについて改めて考えさせられるのがこの

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    2024年08月23日
  • 則天武后

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    コテンラジオのテーマをトレースしようの一環。コテンは漢王朝やら唐王朝の成り立ちまで遡ってスタートしてたけど、隋以降の話は大分この本から持ってきてるんじゃないかな。

    中国王朝唯一の女帝。則天武后の生涯を時代背景や周辺の関係者たちの物語と絡み合わせ遍歴していきました。豪快で残忍な一面もあり、狡猾で用意周到な立ち回りを見せたり、色んな個性が一堂に会してるって感じです。後宮の女同士のドロドロな駆け引きとか、高宗のなんとも言えないヒモ感とか人間味が溢れ出ておりまして、単純に魅力深かったです。

    登場人物多くて紛らわしい名前がバシバシ出てくる中国あるあるですが、粒ぞろいなので各所見どころ満載。コテンラジ

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    2022年03月16日
  • 中国の歴史6 絢爛たる世界帝国 隋唐時代

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     隋唐時代はあまり面白くないイメージがあったのですが、とても面白かった。広大な帝国を統べる強大な皇帝がいて、絶大な権限を奮っていたのだろうと思っていたのは違っていました。
     春秋戦国時代を終わらせて、南朝の陳を滅亡させ中国全土を統一した初代皇帝(文帝)は、14歳年下の皇后に頭が上がらず、後宮には数千人の美人が揃っているのに手をつけることができなかった。一度お手つきした奴婢は皇后によって虐殺された。
     唐になっても、歴代皇帝は皇后に手を焼くことになる。則天武后なんて太宗の後宮にいたのだから、太宗の没後は大人しくしてるべきなのに、年下の息子高宗をたぶらかせ、その皇后を押し退け、自分が皇后になり気弱

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    2021年08月22日
  • 中国の歴史6 絢爛たる世界帝国 隋唐時代

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    前半で隋建国から唐滅亡までの通史、後半で様々な視点からの社会の諸相、周辺国との関わりといった幅広い内容で、時代の理解を深めるにはうってつけの内容。懐の深い時代だったと感じさせられる。

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    2021年04月14日
  • 則天武后

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    まさに突出した能力と個性である女性則天武后がえげつない手段を用いながらもどうやって皇帝にまで上り詰めたかがわかる。則天武后が存在しえたそれ以前でもそれ以降でもない唐という時代の背景をベースに、関隴系功臣集団と山東系をはじめとする古来からの名族の支配する朝廷に対抗するため、科挙に及第した新興層を取り立てて政治の実権を握っていくという、皇帝を巡る愛憎の激情とは裏腹の冷静な計算を緻密に行っていた凄味がわかった。また、小説のような表現が用いられていてとても興味深く読みやすく、歴史を解説するうえでも詩情を排するのではなく人間の情をある程度忖度していくことの有効性が感じられた。

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    2019年01月04日
  • 則天武后

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    唐代石刻史料研究の第一人者が手掛けた、則天武后の一代記。それまでの通説的な彼女への評価とは一線を画す異論を随所に差し込み、結果的により傑物としての姿を描き出している。現代においては則天武后を語る上での基盤となる本と言えるか。一部句読点が怪しい部分、小説的な描写が挟まれるのは、研究書ではなく、一般書としての読みやすさを重視したためであろう。

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    2023年04月10日
  • 則天武后

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     則天武后がどのようにして権力を握ったのかについては、興味はあったけれど具体的には分からなかった。この本を読んでよく分かった。
     とにかくすごい展開で、女性の権力に対する欲望は、男よりもすごいんじゃないかと思わせる。身分の低い普通の助成が、太宗の後宮に入っただけなら普通にある話ですが、太宗が死んだら息子の高宗を取り込んで、しかも、皇后の地位まで奪うというのだから凄まじい。自分の子供を自分の権力欲のために何人も犠牲にするのだから凄い。
     一気に読める学術文庫でした。

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    2021年12月28日
  • 中国の歴史6 絢爛たる世界帝国 隋唐時代

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    唐内部の政権抗争の激しさに対して、文化や社会制度のレベルの高さ。日本などは、長らく唐の社会制度がお手本になっていたようなレベルに対して、朝廷の内紛の非道さはどう感ずればいいのか。
    日本は天皇制を維持することに対して、反面教師として見ていたのか。

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    2021年01月18日
  • 則天武后

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    ネタバレ

    則天武后の一生を、その前段である隋末より描く。描写は極めて小説的でありそういった意味で純学術的ではないけれどおかげで最後まで楽しく読むことができた。章立てが細かく、区切りがつけやすいのもそれに寄与している。
    唐初の時代背景として、西魏由来の旧六鎮を元とした主流派・関隴集団と、それ以外の非関隴集団との政治力学が種々に出てくる。則天武后は自らの幕下として北門学士といった寒門出身の子士を多く用いたためか。
    唐代は律令による三省六部の官制が敷かれたが。中書省は皇帝に近侍する秘書的役割から発展したもので、皇帝の意を体現する。門下省は詔勅の審議を受けるが、これは貴族の意を体現するものであると同時にそういっ

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    2021年06月01日