折山淑美のレビュー一覧
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著者がレース展開を記述、説明しているくだりは少し冗長で読み辛い部分があるが、日本記録をかつて更新した経験を持つ7人がインタヴュー取材で語っている言葉のすべてはまさしく金言で、非常に読み応えがあった。
7人皆が口を揃えて、今の選手たちのメンタリティーや練習のやり方について苦言を呈していることもとても興味深い。
どの業界、分野においても、「昔はよかった…」というロートルの戯言に過ぎない、と片付けてしまうのは簡単だが、やはり客観的に考えても、現代の若者たちの方がいろいろな意味において脆弱であるというのは否定できない事実なのだろうと思う。
練習や食事にまつわる科学的なノウハウが進歩し、シューズの性能も上がっているはずなのに、なぜ男子マラソンの日本記録は15年間も更新されないのか、30~40年も前の宗茂・猛兄弟や瀬古利彦氏、中山竹通氏らの記録にすら及ばない選手がほとんどなのはどうしてなのか、確かにタイトルを裏切らない明白な答えはこの本の中にあった。
トップクラスの素質を持った上で、川内優輝選手のようなハングリー精神と貪欲さを備えるマラソンランナーが今いれば…、と外野にいる者としては勝手に夢想してしまう。
去年の東京マラソンで村山謙太選手が勝負に出た背景が垣間見えたのは面白かったし、そこに一筋の希望の光が見える気もした。
また、もちろん次元はまるで異なるけれど、7人のレジェンドたちが語る練習に関するサジェスチョンは、一市民ランナーの端くれたる自分にとっても参考になる部分があった。 -
Posted by ブクログ
双子の宗兄弟、エリート瀬古、ビッグマウスの中山とかつての日本男子マラソン界にはスターが切磋琢磨し、世界を舞台に勝負していた。しかし、今のマラソン界を見渡すと、公務員ランナー川内優輝とカンボジア代表の猫ひろしが実力以外で注目されているだけ。報道されるレース結果も優勝者ではなく、日本人トップ。
こんな現状になってしまった責任はどこにあるのか。東京オリンピックに向けて勝算はあるのか。そんな意見をかつての実力者7人に求めたインタビュー集。
7人がほぼ指摘するのは、最近のランナーの練習不足。体調管理やケガの心配で厳しい練習をしない風潮は間違っていると。厳しい練習を繰り返す体力がなければ、最初からレースでは勝てない。マラソンは練習で走ってナンボであり、こうして彼らは記録を出してきたのだ。
7人の中で一番の読み応えのあるインタビューは予想通り、中山竹通。現役の頃から一匹狼的な存在で、勝つことに徹していた。彼のように自分のマラソンを作りあげることだけに専念し、孤独で強いランナーが登場してほしい。が、スポンサーや所属団体、監督に縛られるこのご時世には難しいのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
7人の歴代マラソン日本最高記録保持者が、当時の回顧と現在の日本マラソン界への思いを語る。
皆、日本記録を出した時は出すべくして出したと言っていいほど練習が充実しており、今の選手は練習量が少ない、「考えて」練習をしていないなど、量も質も自分たちレベルの練習ができず、結果も出ていない状況を歯がゆく思っている様子。実際、日本記録は2002年に高岡寿成が出した2時間6分16秒から14年以上更新されていない。
宗兄弟、瀬古さんの現役時代の走りを知らないが、現在の選手と比べても遜色ない記録で走っており、なにより勝負強かったことがわかる。藤田敦史は駒澤大学時代の箱根駅伝から見ているが、箱根で活躍し実業団で進むという表の道を通って実績を残してきた。最近の箱根駅伝でも藤田のようにスター選手は多いので、東京オリンピックまでに大学、実業団のルートで強くなって勝てる選手が出てくると面白いと思う。一方で中山竹通のようにエリートのルートからはほど遠く、反骨精神を持ってやってきた選手を見るのも楽しい。 -
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ダメになったことをあげつらう本じゃなくて、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けてどう立て直したらいいかを、宗茂さん以下、日本記録を出した7人のマラソンランナーたちへのインタビューなどで解き明かす本。一般ファン向けというよりは、いま練習に取り組んでいる選手向けの提言である。
宗兄弟や瀬古さん、中山さん、谷口浩美さん(はこの本には出ていない)など、日本の男子マラソンはかつて、世界を牽引する存在ですらあった。ところが、この本が上梓された時点でオリンピックなど国際舞台で上位に入る選手はほぼなく、日本記録も14年間も破られて来なかった。それはなぜなのか。
ペースメーカーがついたタイムトライアルではアフリカ勢らに敵わなくても、単純にスピードだけでは済まないオリンピックなら勝てるかも知れない・・・。意識の持ち方、どんな練習をしたら相手に勝てるかを自分で考える力、オーバーワークを恐れないこと。往年の名ランナーたちがどんなメンタルで、どんな努力をしたか、その鬼気迫る練習っぷりと、理路整然とした語りっぷりが見事。
この本のあと、今年の2月に設楽悠太選手が16年ぶりに日本記録を更新した(更新の報奨金1億円を手にしたという)。設楽選手のやり方はこの本の軸線とは異にしているようだが、さて、日本開催のオリンピックで、日本ランナーの復権はあるのだろうか。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
世界の舞台で戦う五輪選手の傍らには、卓越したコーチがいる。
コーチとは、単なる技術指導者ではない。
厳格な父親であり、アメとムチを使い分ける熟練の教師であり、目標設定に長けた戦略家であり、そして、気のおけない相談相手である。
競技スポーツという繊細な世界で、彼らは、様々な年代や性格の選手たちの「才能」をどのように開花させているのか。
北島康介、太田雄貴、吉田沙保里らのコーチが、体験に基づく自らの指導メソッドを披露する。
「育成」にまつわるヒントが満載。
[ 目次 ]
第1章 最後に伸びるかどうかは、人間性で決まる―北島康介、中村礼子(競泳)を育てた平井伯昌
第2章 自分のイメージと選手の感覚を一致させる―末續慎吾(陸上)を育てた高野進
第3章 いいところも悪いところもさらけ出す―吉田沙保里(レスリング)を育てた栄和人
第4章 自信は、練終で身につけられる―小椋久美子、潮田玲子(バドミントン)を育てた中島慶
第5章 挑発して、納得させる―寺内健(飛び込み)を育てた馬淵宗英
第6章 勤勉さと知性で、体格差を補う―ホッケー日本女子代表を育てた恩田昌史
第7章 指示はしない。自分で考えさせる―尾方剛、佐藤敦之(マラソン)を育てた坂口泰
第8章 面白く教えなければいけない―森田智己、伊藤華英(競泳)を育てた鈴木陽二
第9章 「善人」ではなく「公正な人」であるべき―太田雄貴、千田健太(フェンシング)を育てたオレグ・マツェイチュク
終章 コーチと選手は「一緒に成長する」
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[ 参考となる書評 ]