高橋裕のレビュー一覧
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「自社がユーザーに提供する価値」をどのように捉えるか、見える化するか、変更するか、管理するかーー。それは、驚異となる競合が現れた時、新型コロナのような環境変化が起きた時、破壊的イノベーションが起こった時、売上が下がっている時、新商品を開発する時、リニューアルする時、不定期に訪れるこれらの難問にはいつも頭を抱える。本書は、この難問に対峙する時の手法を提示する。「UXデザイン」を「システム思考」でどのようにアプローチするかについての解説されている。現在はテクノロジー、それもデジタル化やAIの活用まで視野に入れたUXデザインを志向したいのでそういった意味ではDX領域にも活用できる。
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Posted by ブクログ
国土の変貌と水害、都市と水、地球の水が危ない、といったこれまでの岩波新書での著書のエッセンスがちりばめられている。(さっと読めるわりに)本質をつき続ける記述の勢いに陰りはない。それでいてまた、海岸堤防のことなど、まだまだ新たなテーマをも繰り出してくるのだから恐れ入る。
河川に携わるなら、やはりまずは歴史から知れ(過去の破堤箇所、歴史的治水施設など)というのと、それに地質等への言及が印象的。
それに加え、超過洪水をみすえて、小規模遊水地(耕作放棄地や、水田への地役権設定)までも指摘されていて、グッと来た(ドキッとした)!
歴史という観点からは、(本書でも挙げられている)杉本苑子「孤愁の岸」も -
Posted by ブクログ
職場の本屋の平積みから購入。
高橋さんは、昔河川関係の本を読んだ記憶がある。
水害訴訟やダム訴訟で、住民側の証人になっていたと知りちょっとびっくり。
内容は極めてまとも。
(1)東日本大震災について、「地震、津波、火山噴火、洪水など、自然の猛威が原因となる災害に関係する科学者、技術者にとっては、防災施設の限界を再認識し、自然との共生こそが、自然災害に直面する基本姿勢であると確認する機会となった。」(p145)
(2)異なる管理者下の海岸線にわたる課題については、相互に調整を行って全体の最適を求めるべきであり、そのためには日本の海岸全体をどうすべきかの哲学を確立しなければならな -
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世間ではシステム開発プロジェクトの失敗が相変わらず多い。DXと名前を変えても同じで、官民ともにDXへの取り組みが増えて尚更、品質やコストの問題が取り上げられるようになってきた。ベンダー丸投げ、発注サイドのデジタルスキル不足、多重下請け構造など、いろいろ要因はあるかも知れないが、上流工程すなわちコンセプトや要求分析をしっかりすれば防げることが多い。
特にDXでは、社会やビジネスの変革イニシアチブのため、影響範囲が広く複雑になる。しかし人間の認知能力は限界があり、複雑な関係性の中で最適な解決策を見つけるのは苦手である。
本書では、複雑さを扱う手法として、システム思考とシステムダイナミクスを取り上げ -
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新人研修でも必ずといっていいほど触れられる
システム思考。
今回書籍で改めて学習しようと思い手に取った。
前半はシステム思考のあり方について、
後半はタイトルにもあるように実際にシステム思考を活用したモノづくり・コトづくりについて書かれている。
気になった箇所をメモしておく。
実際のビジネスでもいわゆるMECEは活用される。
ただ、MECEをした後にそこから最適な道筋を見つけるのが意外と大変。
検討事項が7つを超えるとどんな賢人でも適切な判断が下せないという記述には驚いた。
どんなにシステムが高度化しても、
そのシステムを適切にモデル化し、適切な判断が下せるように設計するのは人間自 -
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ネタバレ【内容】東日本大震災は、臨海地域の開発に依存してきた近代日本への警告である。無思慮な開発は国土の脆弱性を増し、大水害の危険度は増大している。一方、人々は防災を行政に依存するあまり自助の意識が薄れ、災害の可能性すら考えない。水源地の森林から河口の海岸まで、川の流域全体を統一した保全思想と、防災立国の構想が必要だ。 (「BOOK」データベースより)
【感想】河川管理の仕事をしていたので、せっかくなのでと読んだ一冊。河川工学の専門家の著書であり、事務職には難しいところもあったが、本書全体に流れる自然(河川)への深い理解と愛情を強く感じた。あらためて、今の時代の河川行政を考えるのに相応しい多くの示唆