ホーマー・ヒッカムのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読み終わるのがさみしい、と久々に思えた作品。
ペットのワニ、アルバートとさよならする旅のはずが、破天荒な脱線の連続...アルバートは球団のマスコットになったり、映画に出演したり...で、湿っぽい別れの予感はどこへやら。ヒッカム夫妻の思惑も(それに職業も)刻々と移ろって落ち着かず。アルバートを本当に手放すのか (手放さないでほしい!)も含め、ギリギリまで結末が読めません。
しっくりいかない夫婦関係と、その鍵を握るアルバートに寓意を読み取ることもできそうですが、実話に基づいているというからニクい。
アルバートの一挙一動と「ヤーヤーヤー」(鳴き声!)に和み、小気味好いジョークに脱力し、最後はホロ -
Posted by ブクログ
ネタバレ〈それにしても、21世紀になって、これほど面白い小説は書かれていないのではないか〉
帯のアオリであり訳者あとがきの一説でもある。その言葉を信じて、いや、真偽を確かめるべくこの本を手に取った。なるほど、あながち嘘ではないようだ。まあ、他にも面白い小説はありそうだが。YAのような装丁だが、これは中高生には向かないのではないか。ていうか、大人向けでしょ、これ(きわどい描写もあるし)。
1935年アメリカ。大恐慌から6年が経っている。ウェストヴァージニアの小さな炭鉱町に住む若い夫婦が主人公だ。妻のエルシーはハイスクールを卒業後、しばらくフロリダのオーランドに住んでいたことがあって、炭鉱の砂埃だらけ -
Posted by ブクログ
若くして結婚した二人が旅で様々な出来事に遭遇し、自分のいるべきところを見つけ出すロードムービー物。
かなり面白く読めたが、遭遇するたくさんの奇想天外なエピソードに興醒めすることもあった。やり過ぎじゃないかなと。
それにめげさせずに最後までぐいぐい読ませたのは、ワニ、雄鶏、旦那さん、奥さんの描写が秀逸で、それぞれが物語に欠かせない役割を持っていることにあると思う。
子供だけどいざという時助けてくれたワニ、神のように俯瞰して世界を見ているかのような雄鶏、真面目で誠実でたくましい夫(作者の父)、何より奥さん(作者の母)の生き生きとした描写には、読んでいて何度も笑顔になることができたし、頭の中に -
Posted by ブクログ
偶然手にした一冊。奇妙なタイトルと表紙の絵が気になって読んでみた。著者(知らなかったが著名な作家らしい)の両親の若い頃の破天荒なエピソードで、どこまで本当でどこからが作り話なのか分からないが、スタインベックやヘミングウェイも出てくる。大恐慌の6年後の1935年に自動車で1000kmの旅をするというのは、相当の大冒険だったのだろう。長編のロードムービーのようで、(アメリカ小説をそれほど読んでいないにも関わらず)いかにもアメリカ小説という感じがする。「両親と1匹のワニがぼくに教えてくれた、大切なこと」というのがサブタイトルだが、その「大切なこと」をどう理解するかは読み手次第といったところか。かなり