田代嘉宏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
物理を学ぶものにとってテンソルは分かりづら物の筆頭だとおもう。
座標変換に対してある一定の変換を受ける多次元量、というなぞなぞみたいに定義される事が多い。座標系に依存しない定義として多線形写像としての定義もあり、こちらを採用するとテンソルが実体として確定し、先の定義での量は座標系を固定したときの成分として導出される。数学的にはスッキリするが、今度はテンソルとである物理量と多線形写像が結びつかない。
本書は、テンソルをかなり物理寄りかつ3次元に限定して具体的に展開することでこの辺りのギャップを橋渡ししてくれている貴重な本である。多分これ以上に丁寧な本はないのでは。