スティーヴン・ウィットのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
<目次>
イントロダクション
第1章 mp3が殺される 第2章 CD工場に就職する
第3章 ヒットを量産する 第4章 mp3を世に出す
第5章 海賊に出会う 第6章 ヒット曲で海賊を蹴散らす 第7章 海賊に惚れこまれる
第8章 「シーン」に入る 第9章 法廷でmp3と戦う 第10章 市場を制する 第11章 音楽を盗む
第12章 海賊を追う 第13章 ビットトレント登場
第14章 リークを競い合う 第15章 ビジネスモデルを転換する 第16章 ハリポタを敵に回す
第17章 「シーン」に別れを告げる 第18章 金脈を掘り当てる 第19章 海賊は正義か
第20章 法廷で裁かれる エピローグ
<内容>
音楽がmp3とネットによってどんどん浸食され、現在のようなネット配信(それも1曲ごと)の売り上げとなり、ライブが主流になる(アメリカも日本も変わらないらしい)、その流れを追いかけたノンフィクション。前半はmp3の技術を作ったドイツの技術者がなかなか日の目を見ない話。途中からそのmp3の技術を利用して、音楽のリリース時期より早くその楽曲をネット配信することに惟日をかける世界の若者たち(その中には、ユニバーサルのCD工場からCDを盗み出す話も)の話。最後は彼らは「海賊」として捕まるが、法律的にうまく裁けず(犯人たちも賢くて)、犯罪にはならず、その間にCDセールスが激減して、商売にならなくなる。なかなかエキサイトな展開だった。
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Posted by ブクログ
実に面白かった。90年代半ばから現在に至るまでの音楽業界を俯瞰する視点に、他に類を見ない圧倒的な説得力がある。ここまで徹底した取材ができるものかと驚くと同時に、さぞ語らせるのに苦労したであろう相手についても、ネガティブなことも含めて遠慮せずに書いていることに唸ってしまう。
最初の章はmp3が世に出る前の裏話で、技術的なことはちっともわからないシロートにはちょっとつらい。次の章では田舎のCD工場に勤める若者、その次は大手レコード会社の幹部が登場する。この三つの話がかわりばんこに語られていくのだが、途中まではなかなか全体像が見えなくて、読み進めるのに苦労した。よくわからない用語がしばしば出てくるし。
しかし、半ば過ぎたあたりからどんどん引き込まれていって、音楽のデータ配信や海賊版摘発に話が及ぶあたりからは、夢中で読みふけってしまった。三つの話は最後まで交わらないのだが、それが複雑に絡まり合って、現下の状況を作り出してきたのだということがじわじわと腑に落ちてきた。
なんといっても一番すごいのは、海賊版mp3の大半がきわめて少数の組織されたグループから発信されていたことを突き止めたことだ。これには著者自身驚いたらしい。ウェブの広大で曖昧な拡がりのあちこちから、アナーキーにアップされたものだと思っていたのに。さらにその元となる新曲CDのほとんどは、ある個人が供給源だったというのだ。一介の労働者である彼は、既にその行為によって有罪とされ、服役した後出所しているのだが、そんなこと誰も知らなかったのだ。
「著作権保護」というと、クリエイティブな活動を萎ませないために必要なことだという文脈で語られることが多いが、ことはそう単純な話ではないというのもよくわかった。著作権を保護するには海賊行為の摘発が不可欠だ。そこで業界と権力が結びつく。たくさんの予算をつぎ込んで、海賊行為を摘発することが、結果としては業界のごく少数の誰かさんの利得を守り、その懐に巨額の金を流れ込ませることになっている。「摘発」と言っても、たいていは見せしめ的に、軽い気持ちで曲をダウンロードしたユーザーが厳しく罰せられ、大元まで及ぶことはまれ。及んだとしても、そういう人たちは「有能な」弁護士の力で刑に服すことを免れている…。わりきれない話だ。
金目当てで海賊行為に関わる人はもちろん多い。しかし、権力にクソ食らえと言いたいがために、あるいは、みずからの力量を誇示するために、無報酬どころか身銭を切ってまで、危険は承知でせっせと海賊行為にいそしむ人たちがいる。これをどうとらえたらいいのか、考え込んでしまう。
著者は、10万曲を超えるmp3ファイルをハードドライブにため込んでいたが、「クラウドコンピューティングの出現で意味がなくなった」と、配信サービスに会員登録し、ファイルを捨てたそうだ。データの入ったハードドライブが処理業者のくぎ打ち器で壊され、ゴミの山に捨てられる場面が最後に書かれている。感傷的になってしまうが、しかたのないことだ、という気持ちなのだろう。そういう流れってもう止まらないものなのだろうか。私自身は、昨今の音楽状況にはとんと疎いのだけど、ここにも非常に大きな変化の波が来ているのだということをひしひしと感じた。
・CDの流出元になる若者の人生が活写されていて、心に残る。傑出したノンフィクションだが、こういう所は小説を読むような面白さもある。
・テクノロジー関連の記述内容はよくわからなかったが、技術者というものについては考えさせられる。mp3の開発者は、海賊行為を憎み、自分は必ずCDを買っていたそうだ。でもねえ、その技術があったからこそ海賊版が流布したわけで…。そういう技術はいずれ誰かが開発しただろうとは思うが。
・海賊版は年代的に(性質上も?)ラップと密接に関わっている。発祥の地米国のラップは実に反社会的なものなのだとあらためて認識した。日本のラップシーンについてはほとんど知らないけど、かなり違いがあるのでは?
・ITオンチを自認する高野秀行さんが、本書の感想として「音楽がタダだなんて知らなかった。そこに一番驚いた」と書いていて、そうだよねえと笑ってしまった。そういう人間にもこの本は面白い。
・データとして「持つ」ことも今や古臭いことのようだが、それよりもっと手前で、データではなく、愛着ある「もの」として所有したいという気持ちって旧世代とともに消えていくものなのだろうか。私は「本」というのは結構長く残っていくんじゃないかと思っているけれど、音楽はどうなんだろう。うーん、わからない。 -
Posted by ブクログ
タイトルからして、ビジネス書かなと思ったけど中身は実録ITポリティカルサスペンスでした。
前半のmo3開発秘話の当たりや、モリスが上り詰めていく様は非常にスリリングで、当時を知るだけにおもしろかった。
学生の時、研究室のネットを使って、鯖たてて、串通して、交換レート決めて、w@rezサイトで交換してたなあーと感慨深く思い、ああいったことの裏にはグローバーのような連中が跋扈してた訳ね。bit trentつかってmp3とかダウンロードしまくってたから、シーンのファイルとか持ってたかもね。怪しいサイトいっぱいあったもんな、確かに。
ストリーミングのために必死で研究した技術が、CDを「音」と「円盤」を分けてしまうということな活用されてしまったことは、開発者からすると慚愧な絶えないかもしれないけど、仕方ない。
ノーベルのダイナマイトと同じ、必然だったと思います。誰かがやってた。 -
Posted by ブクログ
Spotifyを使い始めて、ストリーミングが無料になった経緯を知りたくなったが、Spotifyは最後にちょっとだけ出てきただけ。vevoが誕生した経緯はわかった。
音楽データは、音響心理学を使って簡素化している。人間の聴覚は、人間の声に近い周波数帯を良く聞き分け、その範囲を超えると、だんだん聞こえなくなる。ピッチが近い音はお互いを打ち消し合い、特に低い音が高い音を消す。大きな音の前後の音はかき消される。
動画専門家グループで標準規格を決める委員会のMPEGは、フィリップスの方式をMP2、ブランデンブルクの方式をMP3と名付けた。その後、MP2とは異なるフィルターバンクを用いたAACを開発したが、Windows 95用に開発したMP3再生ソフトウェアとともにMP3が普及していった。
1999年にアンダーグラウンドのMP3ファイルをP2Pで共有することができるナップスターが開発された。 2011年に裁判が決着して、ナップスターは閉鎖された。
ミュージックビデオのライブラリーvevoは、2009年にサービスを開始した。
Spotifyは、オープンソースのoggを使った。