中村桃子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ◯◯らしいことばって何?
社会言語学の入門書であり、ことばがアイデンティティを表す、そしてそれは場面によって変わるものであるという話。
女ことばに関する考察が面白かった。「最近の女性のことばは〜」と言われるのは100年も前からであり、「女ことば」とされていることばは誰がしゃべっていたのかあやふやで、むしろ都合よく設定されたものだというのだ。
方言ももはや誰も現地ではしゃべっていないなんちゃって方言がキャラクターとして定着してきている感じがする。本書ではあまり直接は触れられていなかったが、SNSで文字として発信されていくことで何かことばに変化はあるのだろうか。言語学をどんどん深堀りしたくな -
Posted by ブクログ
「てよ・だわ」のような「女ことば」がどのような変遷を経てきたかを分析している。女性特有の言葉遣いというものは日本語独特のものらしい。
自然発生的に出てきた言葉が、その時々の権威や儒教的な男尊女卑の思考から都合よく解釈されてきた歴史が語られている。ある時期には「賤しい身分の者が使う」と言われ、またある時期にはセクシャルな言葉遣い(官能小説の類いで効果的に使用)とされたり。かと思えば戦時中には「日本が優れていると示すための日本語」の一環として担ぎ出されたり。
現在でもメディア上では残っているが、普段の生活で聞いた覚えがない。本書の序盤で言及されているように、外国の小説などを翻訳した際に男女どち -
Posted by ブクログ
「日本語には何故『女ことば』が存在するのか?」を歴史的に解説したもの
一言でまとめるなら、権力側に都合の良い役割を与えられたから
「女ことば」は標準語のみに存在し、地域語(方言)には男女の明確な違いはないのは何故なのか?を考えると理解しやすい
自然発生したものではない らしい……
鎌倉時代のあたりは、「女はしゃべるな」という価値観
当時もマナー本のような「女訓書」があった
「つつしみ」という価値観の教育
上流の女性コミュニティの言葉 女房言葉
明治時代 言葉の統一の必要性
東京の上流階級が使う地域語を標準語に
男が使う事のみを想定
女性も妻・母としての役割だけでなく、皇国の国民と -
Posted by ブクログ
わたしは方言を話すけど確かに方言には明確な女ことばというものは存在しないので、本書で書かれている「女ことばはうまく利用された」という部分には納得。「ちょっとそれは本当なのか?」と思う箇所もあるんだけど、今使っている日本語を再認識することができてよかった。
当たり前だと思っている常識も実はそんなに古い歴史がないことだったりするし、世に蔓延してるマナー本がいかにくだらないかということもよくわかる。(他人に不快を与えないマナーというものは大切だけど)
フェミニズムの本なのかと思ったけどほとんど社会学的内容で、論文を下敷きに書かれてるからなのかわたしの頭だとすんなりわからないところもあって読むのに時間 -
Posted by ブクログ
時代・政治情勢などに揉まれながら、今まで使われてきた「女ことば」。
尊重されたりけなされたり、それでも結局守られてきてますよね。
専門的な部分は飛び石のごとく読んでしまいましたが、なるほどと思える「女ことば」の魅力に納得。
「ーだわ。」「ーよ。」「ーかしら。」などといった言葉は、それだけで女が発しているものだとわかるもの。オカマももちろん。
そう言われてみれば、便利ですよね。小学校教科書や絵本にだって、その使い分けによって性の区別がされてるんですから。
これは決して性差別とかではなく、日本語の特徴であり、美しいとされている理由の一つでもあるでしょう。
そんな「女ことば」…私は好きだし、使ってい