茶谷誠一のレビュー一覧

  • 「昭和天皇拝謁記」を読む 象徴天皇制への道

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    ネタバレ

    宮内庁長官であった田島道治の記録である7巻本の昭和天皇拝謁記のポイントを数人でそれぞれ解説したものである。最初の部分が、天皇が戦争について自分も問題だが陸軍の下剋上と国民も悪いという意見を出しているところは、他の本ではなかったと思う。さらに、憲法改正と再軍備について吉田首相に言うという天皇の言葉を田島が何度も諌めるということも他の本にはなかったところである。
     ただ、この本は少し厚いので、手っ取り早く読むには岩波新書の方がいいかもしれない。

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    2025年03月01日
  • 「昭和天皇拝謁記」を読む 象徴天皇制への道

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    初代宮内庁長官・田島道治が残した「昭和天皇拝謁記」について、その翻刻などにあたった研究者たちが、原本からの引用も盛り込みながら、そのエッセンスをわかりやすく解説。
    引用されている「昭和天皇拝謁記」での昭和天皇と田島長官のやりとりから、人間としての昭和天皇の実像がありありと伝わってきて、「昭和天皇拝謁記」は本当に近現代史の第一級の史料だと感じた。本書の各論考は、「昭和天皇拝謁記」の読みどころを的確に紹介してくれていると思う。
    昭和天皇には、これまでシンパシーと敬意を持ってきたが、本書で戦争責任への認識や戦後も変わらぬ君主意識など、ちょっとこれまでのイメージが覆され残念に思う部分もあったのだが、そ

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    2025年02月23日
  • 「昭和天皇拝謁記」を読む 象徴天皇制への道

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     戦後初代宮内庁長官を務めた田島道治が昭和天皇や側近たちとの対話を綴った「昭和天皇拝謁記」が発見され、第1級の資料として2019年8月、NHKのスクープ報道と「NHKスペシャル 昭和天皇は何を語ったのか~初公開・秘録“拝謁記”~」で紹介され、大きな反共を呼んだ。田島道治の残した膨大な記録は、後に本書の著社達である古川隆久らが、2021年から2年にかけて全7巻をまとめ上げ、全公開した。本書は、「昭和拝謁記のダイジェスト版」であり、著者らが新発見を多面的・複眼で考察し、まとめ上げた第1級の昭和天皇を証言する記録でもある。
     アジア・太平洋戦争は、歴史修正主義者などが解釈する「軍部の独断専行」であり

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    2024年12月15日
  • 象徴天皇制の成立 昭和天皇と宮中の「葛藤」

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     敗戦後の占領期における天皇制・皇室・宮中の変容を、GHQ、日本政府、昭和天皇・側近の三者の対抗関係の分析を通して実証的に明らかにしている。国民主権で君主の国政関与機能を規制している日本国憲法と、議会政治の下で君主が国政に関する報告や相談を受ける英国流立憲君主制の相違を前提に、後者を志向する昭和天皇と憲法との「ねじれ」を特に外交・安全保障問題や宮中の人事問題、地方「巡幸」などに見出してる。先行研究で指摘されている問題も多いが、初めて明らかにされたような史実や解釈もある。「NHKブックス」という一般向け選書からの刊行ではあるが、学術論文が元となっているため(注記も非常に多い)、読みこなすには当該

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    2017年10月09日
  • 宮中からみる日本近代史

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    現代の日本と当時の日本との政治構造を比較した場合、もっとも異なる点は「宮中」と「軍部」という組織の有無である。当時の宮中と軍部は、現在の宮内庁や自衛隊とは比較にならないほどの権限を保持し、国家機関のなかでも際立つ存在感を放っていた。天皇と側近の政治的意思とは(2012年刊)
    ・第一章 近代国家の建設と新しい宮中の姿
    ・第二章 大正から昭和へ
    ・第三章 政党政治の時代から軍部の台頭へ
    ・第四章 戦争の時代
    ・第五章 破滅への道
    ・第六章 敗戦後の国体危機

    前著「昭和天皇側近たちの戦争」とかぶる部分もあるが、木戸幸一について、考え方を改めた部分があるという。また、本書では戦前と敗戦直後にも言及し

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    2015年02月19日
  • 宮中からみる日本近代史

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     歴史というものは、教科書を読んでもよくわからないと思っていた。
     おきた出来事はよくわかるのだが、その持つ意味はなかなかわかるものではない。
     本書は、明治期から昭和戦前期においての「宮中」を扱っているが、本書を読んで当時の政治風景がよくわかる思いがした。
     現在ではすでになくなっている「元老」や「内大臣」「侍従武官長」などの制度が当時どのような役割を果たしていたのかはなかなか歴史書を読んでもわからないのだが、本書は「宮中」が国家機構のなかで大きな役割を果たしていたことを詳細に解き明かしている。
     本書によると「宮中はほかの国家機関と同等か、時と場合によってはこれらを凌ぐほどの政治的影響力を

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    2013年05月10日
  • 宮中からみる日本近代史

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    日本の近代政治史では「宮中」という勢力がしばしば登場するが、本書では明治維新後における宮中勢力の成り立ちから大正・昭和にかけての変容について述べられている。内閣や軍部といった各機関が多元的に行動してまとまりを欠くなか、天皇の「側近」がどのような政治意思で行動したのか、時代に沿って論じられている点は興味深い。ただ、概要の説明なしに事件や人物の名前が登場するので、「日本史用語集」が手許にないと少し混乱してしまう。西園寺公望や牧野伸顕、木戸幸一といった人物がなぜ側近として登用されるようになったのか、そもそもの解説があればもっとよかったかも。

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    2012年08月02日
  • 宮中からみる日本近代史

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    近代史は苦手なので、この本の善し悪しは分からないけど、宮内大臣と内大臣の権能が丁寧に解説されていて、興味深い。
    言及はされていないが、読んでいると現在の皇室や一般の国民をとりまく環境についても考えさせられた。

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    2012年09月30日