武石彰夫のレビュー一覧

  • 今昔物語集 本朝世俗篇 (下) 全現代語訳

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    高校の古典の時間には意味を掴むのでいっぱいだったが、現代語訳なので古典がスイスイ読め、話自体の面白さを味わうことができる。
    だいたい一話2.3ページ程度で、この巻だけでも180もの話が連打され、目眩がする。

    付霊鬼、怪綺談に興味があって読む。
    知らない山小屋に泊まろうとして鬼に食い殺される話が多い。
    どの話も最後に一言、教訓めいた総括がなされるのだが、知らない家に泊まってはいけない、ってそりゃそうだろと思う。
    また、鬼に襲われるのには道理があるものの、狐や狸は理由なく化かそうとしてくるらしく、ほとんど逆に狐が殺されて話が終わる。

    羅生門、藪の中、鼻など芥川作品の元になった話が出てくるほか、

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    2020年09月05日
  • 今昔物語集 本朝世俗篇 (下) 全現代語訳

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    ネタバレ

    評価は上巻と同じで、「本文は面白い。解説はクソ。」

    人間は千年経っても本質的には変化していないのだと感じさせられる。エピソードの範囲も広く、風流の世界から庶民の生活、僧侶の世界、オカルト、武士(侍)など様々な階級の人々を扱っているし、(基本的には京や近畿中心だが)蝦夷の話や東国の様子も扱っている。

    一方、解説だけなら2点がつくかも怪しい。
    何につけても仏教と絡めようとするが、「今昔」の説話すべてが仏教に通ずるとは思えないし、内容も独りよがりで著者の興味のあることを書いているだけ。あれは「解説」ではない。
    物語の背景には当時新興の仏教以外に神道の影響も強く感じられるし、貴族と庶民の生活や価値

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    2024年03月04日
  • 今昔物語集 本朝世俗篇 (上) 全現代語訳

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    ネタバレ

    他の本に追い越されながら2年ほどかけてゆっくり読んだ作品。
    「今昔物語」の内容には文句はないのだが、解説がめちゃくちゃ過ぎて自分が編集なら(解説部分のみ)原稿を破り捨てそうだと思った。古典は、解説で素人の知識を補完してこそ物語をより楽しめると思っているので、そこが欠けている本書の評価は3点になった。

    今昔物語は天竺、震旦、本朝の仏教説話、世俗説話をまとめた説話集で、本書は特に本朝(= 日本)の世俗説話(の前半部分)を現代語訳した作品である。
    説話は一話完結で、まれに同じ主人公であることがあるが、前話とのつながりはないようにできている。ほとんどの話が2〜3ページ程度の短編なので、短い時間で読み

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    2024年03月04日