大塚敦子のレビュー一覧
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ネタバレ中盤から泣きすぎて顔がべしょべしょに。感動の涙というよりは、受刑者の変化や、パピーたちの成長に、感極まってしまった。
パピーが、受刑者を沢山の人へ繋げてくれて「生き直すこと=更生」へ導く架け橋となったのだと思うと胸が熱くなる。人間にとって自分が必要とされていたり、誰かが自分のことを考えてくれていることってとても大切なんだと実感する。
自分が全く知らない分野の本だったので「ウィークエンド・パピーウォーカー」という存在や、訓練した犬たちみんなが盲導犬になるわけではない「キャリアチェンジ」について、また島根あさひ社会復帰訓練センターをはじめとしたPFI刑務所の存在etc....と、新しい知識を沢山吸収することができた。 -
Posted by ブクログ
島根あさひ社会復帰促進センターという社会復帰を特に重視した刑務所において行われた盲導犬育成プログラムを取材したノンフィクション新書。
日本盲導犬協会を筆頭に、全国視覚障害者情報提供施設協会、法務省矯正局、刑務官、地域住民など多くの人々や組織の理解と協力のもとパピープログラムは行われた。
まだ幼く小さい子犬たちを、平日は訓練生(受刑者)たちが、休日はウィークエンドパピーウォーカーという民間の有志のボランティアが、約1年間がかりで育てていく。
そこでは、多くの楽しいこと、苦悩、ぶつかり合いが当然起こってくる。
盲導犬を育てるという体験を通して、変化していく訓練生たちの姿を読み、想像すると、胸が熱くなる思いになった。
このパピープログラムは、プログラムに参加した訓練生たちが自らの犯した罪と向き合い、生まれ変わってもう一回生き直すための道しるべとなったことに違いない。
それぞれの人々の想いが、「盲導犬を育てる」という共通の目的で交差し、塀を超えて、人と人、心と心が繋がっていく過程には、人間の本来的な美しさと強さがみなぎっているように感じた。
人と動物、人と人が出会い関わり合う中で生まれてくるドラマには、魂を揺さぶられる想いがした。
更生保護、障害、動物愛護、人間の生き方など、多くを考えさせられる素晴らしい一冊です。
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アラブの春についてはほとんど知識がなく、猫をきっかけにしてでも、中東の現状を少しでも知ることができてよかったと思う。子ども、動物など、苦しめられるのはいつも弱者であること、体制側でも反体制側でもないごく普通の一般人が大量に殺されている、ということに心が痛む。また、悲惨だった独ソ戦のスターリングラードの戦いですら殺されるとしたら敵国ドイツ軍だった(粛清は別…)のに、ここでは自国の兵士や盗人に殺されてしまうという説明も悲惨さを伝えてくれる。
「猫を救う」アラーさんは非常に危険で悲惨な状況のなか、(少なくともこの本のためのインタビュー時点までは)よくぞご無事でと思った。アラーさんは出版翌年に逮捕されたそうで、2024年現在はどうしているのかわからなかった。この本の出版から時間が経っているが、シリアは今なお内戦状態だそうで、公式Instagramでは直近の投稿でも今にも危険が迫りつつあることが伝えられており、心が痛む。アニマルセラピーというような考えは安寧な地域でしか無さそうに思っていたが、戦地の子どもたちも猫などの動物から少しでも癒され救われているようでよかった。
ヨーロッパ人の犬とかへのコメント(骨食べさせるな)はやはりいかにもヨーロッパ人らしいと思った。 -
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行き場のない多くの難民を生んだシリア内戦。悲惨な内戦だとは知りつつも、遠い国の出来事ゆえあまり深く知ることはしなかった。
そんな激戦地で医療従事者でもないただの一般市民が取り残された猫や犬たちの救助をし、「アレッポのキャットマン」としてその活動が広く支援を集めていることをこの本で初めて知った。
自然災害などの被災地でも取り残されるペットや家畜は目にしてきた問題。ましてや現在進行形の戦場で人の命を守ることさえ困難な状況で、動物たちを残してでも逃げざるを得ないのは容易に想像がつく。
銃撃戦が行われている中をすり抜けて救助にあたっていた彼の行動は「素晴らしい」と言うだけでは足りないです。
たまたま日本に生まれ、今は戦争とは無縁の中で生きていられるけれど、つい最近のアフガニスタンやそれ以外でも一般市民の命が恐怖にさらされる国が多々あると思うとやるせない。 -
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「あなたにとって尊敬の対象は何ですか?」と聞かれたら、まちがいなく「盲導犬」と答えるだろう。特に、不服従の行動には感動以上。尊敬。(うちの犬は違った意味の不服従)
そんな私が泣くのを覚悟で読んでみた、ノンフィクション。
涙の理由はわからない。
当たり前だが、
犬目線で描かれていないのにかかわらず、パピーの愛らしさが手にとるようにわかる文体。目頭が熱くなった。
パピーウォーカーどうこうよりも、刑務所の中のルールや、再犯率についての章が興味深かった。思った以上にルールが厳格で戸惑った。でも受刑者の日記で「パピーの名に恥じないような人生を送りたい」との言葉で、どうかその願いが全うできますようにと思う。
再犯してしまうのは、出所後の生活が保障されていないこと。いきなりシャバに放り出される人たちが多いことに驚いた。本人の人生にマイナスにしか働かないし、また刑務所に行ったら国民の税金が残念な形で使われる。
そんなこんなでとうとうパピーとのお別れ修了式。この章は泣きっぱなしだった。
結局は盲導犬になれなかった3匹のパピーたち。人間のことが好きになり幸せになってほしいと、心の底から願う。
そう思うと、現在盲導犬として働いている犬はエリートなんだろうなあ。
そして現役の盲導犬たちも、引退した盲導犬も幸せな日々を送っていますように。
しかし、終始、それもこれもあくまで人間のため、というひっかかりを拭いきれないまま読み終えた。盲導犬の制度は、人間のために犬に使役させているわけなので、私は両手をあげていいことだとは思えない。しかし、日本では犬という動物は人間に完全に支配、コントロールされているので仕方がない。
まずは、目の前のうちの愛犬を可愛がることからはじめるとする。 -
Posted by ブクログ
島根県にある刑務所"島根あさひ社会復帰促進センター"は、一般の刑務所とは異なり、受刑者の出所後の社会復帰に力を入れるため、教育プログラムと職業訓練プログラムが充実している。
そのプログラムの1つが、"盲導犬パピー育成プログラム"。盲導犬候補として生まれた子犬たちを、受刑者(訓練生と呼ばれる)たちに託して育ててもらうというものだ。
この本は、2009年4月から始まったこのプログラムの1期生の訓練生たちの変化や成長、3匹のパピーたちとの絆を描いたものである。
一般家庭が引き受けるパピーウォーカーの存在は知っていたが、"刑務所で盲導犬を育てる"ということが興味深かった。読む前にちょっと疑問に感じた、「刑務所で子犬が育ったら、車に乗ったり公共交通機関に乗ったり、普通の社会生活が体験できたりしないんじゃ?」ということも、週末だけ子犬たちを一般家庭が預かる"ウィークエンド・パピーウォーカー"というシステムでカバーできるそうだ。
子犬たちが訓練生たちやウィークエンド・パピーウォーカーの二重の親たちの愛情を一身に受けて育つこと、訓練生たちも子犬からの愛情を感じてこれまでの生き方や姿勢から少しずつ変わっていくこと。"子犬が刑務所で育つ"ということが、子犬にとっても訓練生にとってもウィークエンド・パピーウォーカーにとっても、誰にとってもプラスの側面が見られて良かった。