崔実のレビュー一覧
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日本の小学校、朝鮮の中学校、アメリカの高校といった異色の経歴を持つジニ。
僕自身在日韓国人で、中学まで朝鮮学校に通って高校から日本学校に通った。
だから、ジニの心情なり肖像画の違和感がとてつもなく共感できた。
ただジニの感受性の豊かさは僕より全然豊かで、「確かに言われてみれば、あれっておかしかったよな?」って思うことが多々あった。
視点が鋭いだけでなく、非常に批判的見方である。
確かに僕の周りにも一定数、そういう子がいた。
しかし僕みたいな学生が大半であり、みんな「韓国人なのに、なぜ朝鮮学校に通っていたのか?」と聞かれると答えれなかったし、親が通わせたからという質問しかできなかった。
その -
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ネタバレ目を逸らしてはならない。今ここで進んでいる歴史は大人たちの責任だろうか。それは否定しない。でも、子供だからなにもできないなんてことがあるだろうか。私たちは誰もが革命家の卵だ。自分以外の星が輝いてくれるから、影も必要?そんなことはない。自分の非力さに、抗う相手の大きさに、怯みたくない。間違っても、受け入れればいい。なにもしない自分で胸を張って生きられるか。
私たちの出すこたえや考えは二択ではできていない。敵の敵は味方だろうか。本当に同じ立場にあるのだろうか。世界はもっと複雑にできている。理解できないから、誰かにとって都合のいいものであって欲しいから、そんなふうに単純化したせいで、より複雑になっ -
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この本の感想を書くのは難しい。
それはたぶん「この本の感想を書くのは難しい」と書くことにさえ、なにか間違っているような気がしてしまう自分自身への違和感のようなものに起因するような気がする(ごめんなさい、本当にどう書いてよいか書きようがない)。
それはつまり「日本人」である自分は、この本に物語られた「在日朝鮮人」のボイスをどのように受け止めていいのかわからないという戸惑いから来ているようにも思う。
気になったから色んな人の感想を読んでみた(普段はそんなことしない。小説を読んでどんな感想を持とうが、それはその人の自由だと思うから)。
良い評価をつける人の多くは、この本に書かれた荒々しく、生々し -
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自分の今の職場には、韓国から来た人と中国から来た人が何人かいる。自分はその人達を「同じ作品に携わり、より良いものにするために一緒に頑張る人」という認識で接していて、国籍なんて関係ないと思ってる。だから知り合って間もない頃は「えーっと、この子は韓国と中国どっちだったかな……」なんて考える間が、会話の中で一瞬生まれることもあった。自分の中で、国の違いを意識しないようにしようとしていたからかもしれない。
でもそれは、相手の生まれ育った国をあまり尊重していないようで、失礼にも思えて。だって、「この人何県出身だったっけ……」と同じことだもん。まるで相手に興味がないみたいじゃないか……!
小学生から高校生 -
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朝鮮人にも日本人にもなれないジニが、周りの人や環境そのものと対峙し、孤独に戦う物語。
人種というカテゴリーに当てはまらないいわばあぶれてしまう人を徹底的に排除する傾向が強い今、とても考えさせられる話だった。
人間って、見た目が違うだけでみんな一緒なのに、なんで傷つけ合うんだろう?
他国を尊重しましょうなんて言葉が、当たり前になって使われなくなって、ジニと同じ境遇にいる人々が生きやすい時代が来て欲しいと切に願う。
著者の崔実さんの荒削りな文章は若干勿体無かったものの(もっと丁寧に書いていれば...)、みずみずしさ、ほとばしる思いが存分に伝わってきた。題材が重いけれど難しい表現が文中にそこまでな -
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ネタバレだけど、もしかしたら、ステファニーの言う通りだったのかもしれない。
空が落ちてくるなら、あの時、私は空を受け入れるべきだったのかもしれない──。
第59回群像新人文学賞受賞、第155回芥川龍之介賞候補、第33回織田作之助賞受賞、第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞
日本の公立校にいても、朝鮮学校にいても、アメリカ留学しても、どこにも自分の居場所が見つからない。そんな在日朝鮮人3世の少女『パク・ジニ』が、自身のアイデンティティを求め戦い、パズルのように1ピースずつ紡いでいく、孤独な革命の物語。
抗うことで得られる自由、向き合うことの大切さ、そして受け入れることで巡り会える安 -
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主人公ジニは在日韓国人。日本の小学校に通い、中学からはチマチョゴリを着て朝鮮学校に通うことになるが、ある出来事から学校を追われてオレゴンへ。そこでも居場所をなくして、という波乱の半生。
日本の学校でも朝鮮学校の中にも「大人になるか暴れるか」どちらかになるしか居場所がないと感じていたジニ。
さらに北朝鮮のテポドン発射によって、理不尽な仕打ちを受けるくだりは読んでいて辛い。
ただ、朝鮮学校で上級生とトラブルになったとき、庇ってくれたジェファンや示唆に富んだ言葉をくれるホームステイ先のステファニーなど、ジニの周りには温かな人もいて、また、ジニもそれを素直に受け止めていることに救われる。
正直、 -
購入済み
む~ん
在日朝鮮人の子供の成長の話です。最後の感覚は、私には納得できませんでした(星が☆☆☆となった理由です。最後前までは☆☆☆☆でした)。
私だけかもしれませんが、何故か読みながら赤坂真理の「東京プリズン」を思い出しました。 -
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空が落ちてきたら、どうするか。
ジニの怒りと焦り。爆発寸前のパワーを感じた。そしてそれが爆発できないことも。
オレゴンの学校で退学を宣言されるジニ。絵本作家のステファニーとの時間。東京での日々。日本学校では在日韓国人であり、朝鮮学校では朝鮮語がわからない。ジニは探す、自分の居場所は――。
朝鮮学校がどういうところなのか。誰がどのように感じているのか。簡単な解決方法なんてなく、ジニに寄り添うこともできそうにない。落ちてくる空を受け入れるしかない。それはどこかに着地することでもあるのでは。葛藤のない人、「居場所がない」と感じたことがない人はいないだろう。皆、自分ではわからなくても、いつか「空