【感想・ネタバレ】ジニのパズルのレビュー

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Posted by ブクログ 2023年01月15日

日本の小学校、朝鮮の中学校、アメリカの高校といった異色の経歴を持つジニ。
僕自身在日韓国人で、中学まで朝鮮学校に通って高校から日本学校に通った。
だから、ジニの心情なり肖像画の違和感がとてつもなく共感できた。

ただジニの感受性の豊かさは僕より全然豊かで、「確かに言われてみれば、あれっておかしかった...続きを読むよな?」って思うことが多々あった。
視点が鋭いだけでなく、非常に批判的見方である。

確かに僕の周りにも一定数、そういう子がいた。
しかし僕みたいな学生が大半であり、みんな「韓国人なのに、なぜ朝鮮学校に通っていたのか?」と聞かれると答えれなかったし、親が通わせたからという質問しかできなかった。
そのくらい、在日社会は伝統を重視していて、外者を排除する傾向が強いと思う。
一方でその分団結力も凄いし、それは今までの歴史をみればわかるし、現に僕らが未だ朝鮮学校に通えてることがそれを証明している。

また1990年代当時はまだまだ在日韓国人に対する、ヘイトがたくさんあった時代だった。
しかし、反骨精神丸出しの主人公はそれに屈することなく、大人や社会に立ち向かった。
それも中学生にしてだ。

どの国に行っても、在○外国人は存在していて、そこでその人達が、現地人から差別や不平等を被る。
しかし、その中で闘っていかないと、皆が結束して社会において地位、権利を得ないとその国における外国人のコミュニティはなくなるのだ。

そして、現に2023年の在日同胞社会は崩落寸前とも言われていて、生徒数も激減している。
だからこそ、どうにかしないといけないし、僕が通っていたからこそなくなってほしくない。
在日同胞社会の闘いはまだまだ続く。

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ネタバレ購入済み

知らなかった世界

匿名 2021年11月14日

テーマがテーマなので手放しに大好きですと言うことははばかられるが、読めてよかった。

置かれている立場は苦しいとしても、ジニの目に映る大自然や周りの人の姿は美しく、彼女自身の生き様も潔く爽やか。一般に、文学の主人公というと卑屈で偏執的なキャラが多いので、彼女の気持ちのいい人柄は際立って感じられる。
...続きを読む
「人は誰でも、必ず輝く」。そんな手垢のついたメッセージが切実に迫ってくるのは、この主人公が破滅や絶望を知っている人だからだろう。最初から安全地帯にいる大人が無責任に言う「誰でも輝く」とはわけが違う。
世の中、すべての人が輝けるわけではない。ことに主人公のようなマイノリティなら、輝く機会より苦しむ機会のほうが多いのは当然である。現に主人公は挫折してしまった。
しかし、そのような厳しさを嘗めた上で、なお、この作品は「誰でも必ず輝く」という肯定に達した。
それもまた、才能のある人の側から見た綺麗事ではあるかもしれない。しかしそうだとしても、勇気を持ってみようかなという気にさせてくれる。

あらゆるマイノリティや、悩んでいる人や、人生建て直し中の人は読むといいと思う。立場は違っても、何かしらの示唆を得られるのではないか。
私たちが今立っているこの地面だけが、見えている風景だけが、世界のすべてではない。私たちの視野には映らない部分を、この作品は見せてくれる。世界の見方を知ることは、葛藤との戦い方を知ることの第一歩になるのではないだろうか。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年05月09日

目を逸らしてはならない。今ここで進んでいる歴史は大人たちの責任だろうか。それは否定しない。でも、子供だからなにもできないなんてことがあるだろうか。私たちは誰もが革命家の卵だ。自分以外の星が輝いてくれるから、影も必要?そんなことはない。自分の非力さに、抗う相手の大きさに、怯みたくない。間違っても、受け...続きを読む入れればいい。なにもしない自分で胸を張って生きられるか。

私たちの出すこたえや考えは二択ではできていない。敵の敵は味方だろうか。本当に同じ立場にあるのだろうか。世界はもっと複雑にできている。理解できないから、誰かにとって都合のいいものであって欲しいから、そんなふうに単純化したせいで、より複雑になっている。大事なものが見えなくなっている。核心から逃げれば逃げるほど、本当に向かい合おうと決意したときに、その距離に後悔するだろう。

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Posted by ブクログ 2020年03月04日

この本の感想を書くのは難しい。
それはたぶん「この本の感想を書くのは難しい」と書くことにさえ、なにか間違っているような気がしてしまう自分自身への違和感のようなものに起因するような気がする(ごめんなさい、本当にどう書いてよいか書きようがない)。

それはつまり「日本人」である自分は、この本に物語られた...続きを読む「在日朝鮮人」のボイスをどのように受け止めていいのかわからないという戸惑いから来ているようにも思う。

気になったから色んな人の感想を読んでみた(普段はそんなことしない。小説を読んでどんな感想を持とうが、それはその人の自由だと思うから)。
良い評価をつける人の多くは、この本に書かれた荒々しく、生々しい感情に圧倒されたようだ。あるいはジニの立ち場に共感したようだ。
逆に悪い評価をしている人は、どうやらここに表現されたものに共感できなかったようだ。そして違和感よりも嫌悪感を持ったみたいだった。

僕も、正直、共感は、できない。
積極的に読むのがしんどい箇所もあった。
でも拒否もできない。
いや、拒否してはいけないような気がする。
それが感想。

こんなことを書くと、「いいカッコするな」とか「偽善者」とか言われそうだ。

だからこの本の感想を書くのは難しい。
というより怖い。
どんなことを書いても、「お前は間違っている」と言われそうだし、言われたら反論できない。
そう、たぶん、僕は間違っている。
( Amazing. Every word of what you just said was wrong. )

というわけで感想終わり。
僕の良い本の基準は、それを読んでどれだけのことを考えさせられたか、あるいは棘のようなものを感じて立ち止まらざるを得なくなったか、なので、その観点からは間違いなく面白い本です。
あとはご自分でお確かめあれ。

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Posted by ブクログ 2019年04月13日

自分の今の職場には、韓国から来た人と中国から来た人が何人かいる。自分はその人達を「同じ作品に携わり、より良いものにするために一緒に頑張る人」という認識で接していて、国籍なんて関係ないと思ってる。だから知り合って間もない頃は「えーっと、この子は韓国と中国どっちだったかな……」なんて考える間が、会話の中...続きを読むで一瞬生まれることもあった。自分の中で、国の違いを意識しないようにしようとしていたからかもしれない。
でもそれは、相手の生まれ育った国をあまり尊重していないようで、失礼にも思えて。だって、「この人何県出身だったっけ……」と同じことだもん。まるで相手に興味がないみたいじゃないか……!
小学生から高校生にかけて、少なからず日本の歴史を学んできた身なので、日本と韓国の関係性がどんな感じなのか、は知識として最低限頭に入ってるつもり。自分はネット上で時折見かける、頭ごなしに韓国の人を非難しているような日本人にはなりたくないし、国籍なんか関係なく同じ人間として純粋に接していきたいと思ってる。でも、そういう意識ってとても難しいもので、「違いを気にしないように」と気を遣いすぎることもある種の仕分け意識に近いんじゃないか、みたいな不安が、韓国の人と接するときにいつも付きまとっている。
いきなり本の感想から逸れたことを書いちゃったけど、この本はそういうことを考えさせてくれる素晴らしい一冊だった。勧めてくれた職場の後輩に飯奢るレベルで。
自分はどうも昔から日本人以外の国籍の人に好意的なイメージを抱く傾向があって、たとえば野球。遠い国から海を渡ってこんな島国で頑張ってる助っ人外国人選手は、球団関係なく2割増しくらいで「頑張れ!」と思ってしまう。オリンピックとかで日本と戦ってる相手には何とも感じないので、アウェイで頑張ってる感が好きなのかもしれない。つまり何が言いたいかというと、俺は韓国の人と仲良くしたいってだけの話です。それも、上辺だけじゃなくちゃんとした友達として。自分は韓国人の友達が出来たら「お前キムチ臭ぇな!」「うるせーよ!」みたいなやり取りを、お互い笑いながらやり取りしてみたいんです。日本人の友達とやり取りしているような会話を、国境跨いで韓国の人と、世界中の人とやってみたいんです。
余談ばっかりだけど、3年くらい前にやってたネットゲームで韓国の人とボイスチャットが繋がって、「日本の人だ!」ってめちゃくちゃはしゃいでくれた人がいたんだ。一緒に遊んだのはその一回だけだったけど、お互い拙い英語で連携取り合って、勝ったり負けたりがとても楽しかったのをよく覚えてる。良い思い出。

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Posted by ブクログ 2024年03月21日

決して私にはわかり得ない世界で踠いている主人公だけれど、何故だかその踠きの原点にある葛藤には見覚えがあって、不意に心に留まる言葉が現れたりする。「宇宙のゴミがそれだけで輝くことができるのならば、社会のゴミである私にも輝くチャンスがあるのかなって」なんとも言えない表現に痺れた。

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Posted by ブクログ 2022年10月22日

インパクトの強い作品でした。在日3世の少女が
見えない敵と闘う革命の作品です。歴史観の違いや
見えない差別との闘い、経験した人だけが、感じる想いなども読んでて伝わってきたし、自分に何ができるのかと、あらためて勉強になった作品でした。
著者も在日3世の方で、とてもリアリティがあって
ノンフィクションか...続きを読むと思わせるほど、生々しさが読んでいくうちに、胸に刺さりました。テポドンの章では、少し読むのが辛くなりましたけど、実際にこんな状況に近いことが、起きてるんだなと、実感しました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年01月09日

難しい話だな…と思う
日本で生まれ日本で育ちそして急に
日本人ではないですよ…と
日本人でもなく朝鮮人でもない…

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Posted by ブクログ 2019年05月18日

 ぼくは友部正人が歌い続けている「空が落ちてくる」が、40年にわたって聞き続けている好きな歌だが、十二歳の少女の上に落ちてきたらつらいだろう。読みながら、そんなことを考えていた。
 こういういい方をしていいのかどうか、「在日文学」といういい方があると思うが、この作品を読んで、在日文学が新しい場所を見...続きを読むつけ、新しい風が吹き始めたと思った。
 小説としては素朴、稚拙で単純といっていいかもしれない。だが、読後感は「さわやか」だ。
 ぼくはこの作家が、次にどんな作品を書くのか、かなり期待している。

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Posted by ブクログ 2019年05月04日

朝鮮人にも日本人にもなれないジニが、周りの人や環境そのものと対峙し、孤独に戦う物語。
人種というカテゴリーに当てはまらないいわばあぶれてしまう人を徹底的に排除する傾向が強い今、とても考えさせられる話だった。
人間って、見た目が違うだけでみんな一緒なのに、なんで傷つけ合うんだろう?
他国を尊重しましょ...続きを読むうなんて言葉が、当たり前になって使われなくなって、ジニと同じ境遇にいる人々が生きやすい時代が来て欲しいと切に願う。

著者の崔実さんの荒削りな文章は若干勿体無かったものの(もっと丁寧に書いていれば...)、みずみずしさ、ほとばしる思いが存分に伝わってきた。題材が重いけれど難しい表現が文中にそこまでないから、中学生とかでも読めそう。

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Posted by ブクログ 2019年04月02日

すごく揺れ動くというか、いいなと思って読んでたら変に理屈っぽく正論語り出したり、と思ったら最後の方のグミもらう時の場面とかすごく良いし、で何だろなと思うんだけど、これ高校生のジニの視点と思えばしっくりくる。そうだ、ジニの視点なのだ。
高校生だったらこう思うだろう、と大人が書いているのではなくて、ジニ...続きを読むが語っているのだ。
だから、良かったよ、これは。

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Posted by ブクログ 2021年08月08日

ジニという在日朝鮮人が日本の朝鮮学校で、金政権に対する理不尽さと違和感から、革命を起こし、さらに自分を追い詰めることになる。

北朝鮮への嫌みだけではなく、日本人の朝鮮人への無意識な差別へも述べている。

声明文を学校中にばら撒き、金正日の肖像画を投げ捨て革命を起こそうとするが、、、

革命後は、檻...続きを読むの中?精神病棟の中?にいるのかな
金政権への反発は、いかなる合理性や正義でさえも勝てないのでしょう

サラッと読めるけど、もう少し表現を工夫してもいいのかなぁと上から目線に言ってみる。

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Posted by ブクログ 2021年07月31日

主人公ジニは在日韓国人。日本の小学校に通い、中学からはチマチョゴリを着て朝鮮学校に通うことになるが、ある出来事から学校を追われてオレゴンへ。そこでも居場所をなくして、という波乱の半生。

日本の学校でも朝鮮学校の中にも「大人になるか暴れるか」どちらかになるしか居場所がないと感じていたジニ。
さらに北...続きを読む朝鮮のテポドン発射によって、理不尽な仕打ちを受けるくだりは読んでいて辛い。

ただ、朝鮮学校で上級生とトラブルになったとき、庇ってくれたジェファンや示唆に富んだ言葉をくれるホームステイ先のステファニーなど、ジニの周りには温かな人もいて、また、ジニもそれを素直に受け止めていることに救われる。

正直、在日韓国人の女学生の背負うものの重さについて、知らなさすぎて、理解できなさすぎて、どう感想を述べてもきれい事になりそうで難しい。ただ率直に言ってストレートに共感できるとはいい難い。このような無理解、無関心こそが、ジニが受けた理不尽な暴力の根っこなのかもしれない、という反省も込めて。

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Posted by ブクログ 2021年01月09日

読み始めたとき、これからどうなるんだろうとワクワクすると同時に、表現の豊かさに圧倒された。よくこんな表現ができるものだなあと感動しつつ読み進めると、話が進むにつれて文章がおざなりになっていく感が否めなかった。
本当に描きたかったのは後半なのだろうとわかるし、考えさせられるテーマではある。迫るような激...続きを読む情は伝わってくるが、単純な表現が多くなり粗っぽくなっているのが気になりました。序盤が素敵なだけに。

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購入済み

む~ん

H
2020年12月25日

在日朝鮮人の子供の成長の話です。最後の感覚は、私には納得できませんでした(星が☆☆☆となった理由です。最後前までは☆☆☆☆でした)。
私だけかもしれませんが、何故か読みながら赤坂真理の「東京プリズン」を思い出しました。

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Posted by ブクログ 2019年09月17日

空が落ちてきたら、どうするか。

ジニの怒りと焦り。爆発寸前のパワーを感じた。そしてそれが爆発できないことも。

オレゴンの学校で退学を宣言されるジニ。絵本作家のステファニーとの時間。東京での日々。日本学校では在日韓国人であり、朝鮮学校では朝鮮語がわからない。ジニは探す、自分の居場所は――。

朝鮮...続きを読む学校がどういうところなのか。誰がどのように感じているのか。簡単な解決方法なんてなく、ジニに寄り添うこともできそうにない。落ちてくる空を受け入れるしかない。それはどこかに着地することでもあるのでは。葛藤のない人、「居場所がない」と感じたことがない人はいないだろう。皆、自分ではわからなくても、いつか「空を受け入れる」と決めた日があるのではないか。

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Posted by ブクログ 2019年04月16日

日本の学校では韓国人として、朝鮮学校では朝鮮語の話せない異端児として疎外感を味わう少女の物語。
本書は、日本にありながらなかなか実情が見えにくい朝鮮学校の姿を描いていることが興味深い。ジニを同胞として迎え入れようとする人たちと迫害する人たち。そして自分なりの革命を起こそうとするジニ。
ちょっとわかり...続きを読むづらい箇所や拙い表現もあったが、それはあまり問題にはできないだろう。社会と真摯に向き合う青春小説なのだから。
でも、私が読むには歳をとりすぎているのかもしれない。そこまで心に響かなかった。

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