津久井進のレビュー一覧
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「災害ケースマネジメント」は、被災者一人ひとりに必要な支援を行うため、被災者に寄り添い、その個別の被災状況・生活状況などを把握し、それに合わせてさまざまな支援策を組み合わせた計画を立てて、連携して支援する仕組みのことである。
(引用)災害ケースマネジメント◎ガイドブック、著者:津久井進、発行所:合同出版株式会社、2020年、6
いま、自治体の防災分野では、「災害ケースマネジメント」が注目されている。では、なぜ注目されているのか。それは、大規模災害が発生して、概ね1カ月ほど経過すると、行政支援が行き届かない被災者が浮き彫りになる。この要因として、発災直後から、次の復旧・復興へのフェーズに移行し -
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ネタバレ「防災」についての基本知識や情報が浸透する一方で、あまり触れられていないのが被災後の生活再建。本書は、個人レベルでの生活再建を促す「災害ケースマネジメント」に主軸を置きながら、被災者の現状と課題、また日本の国としての脆弱性といった「被災後」についてが総合的にまとめられています。
被災後について全くの無知だった私は、「罹災証明書」を始めとした偏りのある支援制度、そこから漏れた被災者の現状がかなりショックでした。先進的な災害ケースマネジメント事例が多く取り上げられているので、自分の住んでいる自治体はどうだろう?と調べるきっかけにもなるかと思いました。
日本在住の18歳以上の皆さんに読んで -
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タイトルの災害ケースマネジメントとはあまり馴染みのないコトバですが、介護保険のケアマネジメントの災害版のことらしい。
災害救助法や生活再建支援法、自治体独自の見舞金制度や義援金など、被災者支援の仕組みは複雑に絡み合っているため、被災者が適切に利用することは難しい。本来であれば、行政職員が専門家と慣れれば良いのだが、市町村の職員は、大規模災害時の被災者支援のノウハウが殆どない。
まずは、制度をシンプルにすべきでは??
災害ケースマネジメントの、必要性は充分理解できたけど、被災者は誰に頼ればいいのだろう??都合よく支援団体や弁護士会が支援してくれるとも限らないし、少し不安になった。
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法の運用が現場ではいかに縮小して、前例主義的に行われてしまうのか。もっと法の精神を活かさなければと思う。それにしても一口に災害と法と行っても実に多面的で広範囲にわたる。
復興基本法としての日本国憲法という考え方は新鮮だった。
・災害対策基本法で情報伝達は現場から国へという方向になっているのは時代錯誤。
・災害関連死にも弔慰金は支払われる。阪神・淡路で919人、新潟中越で52人、東日本では1年間で1633人。
・義援金の差し押さえの禁止。
・都市の復興ではなく、人間の復興。長田の教訓。
・復興基金は法律に基づかないからこそ柔軟性と機動性を実現できた。私有財産の形成に公金は使えない。
・福島県 -
Posted by ブクログ
ネタバレよみやすかった!
こういう俯瞰図大事!災害関係の法律が一望できる。
たまにコミュニティ万歳系のイデオロギー強いので☆4!
<感想>
人権保護色がとてもつよくて「人間の復興」というものを標語に掲げているけれど、結局のところ全ての人の人権を保護しようとするとその相互作用から新たな問題が起こる。よく議論が起こるように「公共の福祉」と「基本的人権の尊重」のバランスだ。
極力できることはしたいし、困っている人も助けたいけれどそれによって依存心を引き起こしてしまうとそれが今度は「公共の福祉」に反すると「傷ついた」被災者を責め立てることにもなるというダブルバインド状態が生まれる。または他の人の不公平感を引 -
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津久井先生から献本いただいた。感謝。
災害法制の見直しを考える立場として、大変参考になると説得力ある視点がもりだくさん。
個別の論点については、もっと勉強して整理したいと思う。なにせ、災害法制は、積み木のようにその場、その場でできているので、整理しなければいけない論点がたくさんありそう。
直感的な印象。
(1)国、県、市町村というツリー型のシステムは災害時にはあまり有効ではない。先日、読んだ上先生の本でも、現場で自主的に動こうとすると、市町村や県、業界団体がじゃまをするようなことが多くあった。
そのような障害を弾力的に様々なレベルに連絡して解決するためには、アレクサンダーがい