花本知子のレビュー一覧

  • 意識はいつ生まれるのか 脳の謎に挑む統合情報理論

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    手のひらに乗るくらいの大きさの物質である脳に、どのようにして意識が宿るのかを説いた本。
    進化の系統的にどの段階で意識が発生したのかや、人間の成長のどの段階で意識を持つのか、を説明しているわけではない。実はそう思って読み始めていた。実際のところは、意識が生まれるためにはどのような条件を満たせばよいか、が近い。
    そして、その答えを導くのが「統合情報理論」である。重要なのは、情報に多様性があり、なおかつ全体が統合されているという、そのバランスである。それをΦという単位で表している。小脳はシナプスが非常に多く多量の情報を扱うことができるが、全体として統合されておらず、意識を宿すことはない。心臓は統合されたシステムだが、単純なパルスを刻むだけで、情報量は少ない。当然、心臓には意識はない。
    今のところ、Φが大きいシステムとなっているのは、大脳の視床皮質である。
    興味深いポイントは、Φは連続量であるため、意識がある/ないの境界をはっきり分けることはできないということ。覚醒した人間のΦは大きいけれど、寝入る寸前や、麻酔から覚醒する過程などはΦが小さい。乳幼児のΦも小さいのかもしれない。サルやイルカやイヌやネコは人間と同じ言語が使えないというだけで、高いΦを持っているのかもしれない。昆虫にも意識があると言えるのかもしれない。
    統合情報理論はまだ確固たる裏付けはないらしいが、世界の見方をちょっと変えることができた。

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    2019年03月25日
  • 意識はいつ生まれるのか 脳の謎に挑む統合情報理論

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    ”意識”というものをどうやって測るのか?
    この難題に様々な理論、臨床試験を経て迫っていく過程を分かりやすく解説する。

    普段意識することは無いが、わずか1.4キロの物体である脳がこの”我”の思考、記憶、全てを司っているかと思うと不思議な感覚になる。
    特に覚醒時、睡眠時、植物人間などの明確な違いを様々な方法で浮き彫りにしていく過程は面白かった。
    こういう、最先端の脳科学や医学を分かりやすく書いてもらうと全く専門知識が無くても色々知ることが出来て有難い。

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    2019年01月01日
  • 意識はいつ生まれるのか 脳の謎に挑む統合情報理論

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    意識の源泉を解明しようとする理論はいくつも提唱されているが、統合情報理論は最も合理性の高い理論の一つだと考えられている。本書では、意識の宿る物体と、意識の宿らない物体の物性的な違いに着目し、情報統合可能な結合を有するシステムこそ意識の源泉だと考える。しかし、意識の解明には技術的困難さが伴うため、未解決の問題がいくつも残されているのも事実である。

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    2017年04月09日
  • 意識はいつ生まれるのか 脳の謎に挑む統合情報理論

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    頭から体に伝わる電気信号。
    それが体を動かすのだけれと、反射とはまた違う個人の意識はどうして生まれるのか。
    普段全く考えたことがない内容だったので、とても面白く読めた。
    でも結局は解明されておらず、むだまだ研究の余地がある分野で面白い。
    基本的な脳の役割から説明してくれているので、復習+αの知識も得られる。

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    2017年04月02日
  • 意識はいつ生まれるのか 脳の謎に挑む統合情報理論

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    脳科学に関する専門書のようでいて、実は一般書なので非常に読みやすい。
    意識とは何かを考える哲学書の側面も持ち合わせている。

    個々のニューロンが相互に関係しあったとことろに、情報統合が発生し、それを意識として定義している。

    この様な考え方によれば、意識は人間だけが持つ訳ではなく、他の生物にも当然意識はあることになる。
    また、発展して考えれてば、外部からの刺激によって、情報統合させ行えば人工知能にすら意識を持たせることは可能だと思えてくる。

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    2017年01月10日
  • 意識はいつ生まれるのか 脳の謎に挑む統合情報理論

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    タイトル通り「意識はいつ生まれるのか」をテーマにした本。著者の戦略は、まず意識の有/無を定義し、それぞれの場合の脳の状態を観測して差分を調べることで、意識が発生するための「脳の状態」に関する条件を探ろうとするものである。

    人間の脳のうち、小脳のニューロンが800億個と脳全体の半分以上が集まっているにも関わらず、小脳を取り除いても生命は維持できる上に意識も存在している。一方、大脳皮質には約200億個のニューロンしかないが、大脳皮質の障害は意識状態に大きな影響を与える。このことは、単にニューロンの数が意識を生み出しているわけではないことを示している。また、睡眠状態の脳の活動の量を測定すると、ほとんど覚醒時のそれと変わらない。一方、TMS (Transcranial magnetic stimulation: 経頭蓋磁気刺激法)により直接的に脳内のニューロンを刺激した反応は睡眠時と覚醒時は大きく違っており、睡眠時は同期した単調な反応しか生じないのに対して、覚醒時のそれは非同期な複雑な反応をするという。著者は、この違いが「意識がいつ生まれるのか」を判定するために非常に重要なものであるとする。

    著者らは、このような近年得られた知見をもとに、「ある身体システムは、情報を統合する能力があれば、意識がある」(p.111)という仮説を提唱し、これを「統合情報理論」と名付ける。彼らはシステムの統合度と複雑性を表す数値をΦと定義し、それを「ある物理的システムがあらゆる方法で揺さぶられたとしたら、どのような反応をしうるか、を表す数値である」(p.270)と定義する。そして意識レベルを表すこの値は「脳が潜在的に持つ選択肢の数によって左右される」(p.270)とし、その数を測定することで判定が可能だとする。もちろん、この値を現時点で直接的に測定することはできない。しかし、著者らはそれを将来的には測定し客観的に比較することが可能な数値であるとしている。そのことで、動物に意識はあるのか、コンピュータは意識を持つことができるのか、といった問いを数字的に測定可能な問いに置き換えることができるとしている。

    この本に対する批判があるとすれば、著者らが提唱する情報統合理論におけるこのΦの測定可能性が、少なくとも本書の中では「一連の複雑な計算プロセスを経る必要がある」とするだけで明確ではないことだろう。「外側から観察するだけでは不十分」で「あらゆる方法でシステムに揺さぶりをかけるだけでなく、情報がいろいろな構成要素によってどの程度共有されているかも調べなければならない」としているが、このような「あらゆる」という仮定を導入しなければならないものが自分にはそれが測定可能であると思えない。これらの疑問は、専門的な研究論文などでは言及され、解消されているのだろうか。 また、何ゆえにΦの値が意識レベルを表すものであるのかの根拠が弱い(ほとんどない)という問題も挙げることができる。「『意識とは何か』という哲学的な問いには答えない」としているからといって、その疑問に答えなくても、彼らの主張が成立することを説明しなくていいということにはならない。

    繰り返しになるが、本書は「意識がいつ生まれるか」について説明するものであり、「意識とは何であるか」を説明するものではない。そこに物足りなさを抱くこともあるかもしれない。
    本書では、脳梁を切断したときに、どうやら二つの個別の意識があるらしいことや、脳の局所的反応から意識生成までに0.3秒~0.5秒かかることを説明している。これらの事実は、意識が情報の統合から生まれるという仮定と合致するものである。いずれにせよ、この辺りの知見は近年の脳を測定する技術が進展したことの成果である。技術の進化はつい最近のことであり、かつ発展途上でもあるため、「意識とは何か」ということに関してもまだまだこの先にも新しい話はありそうだ。

    なお、第一章から第九章までを第五章を中心にして、前半四章で階層的に出される問題に対して、後半四章でミラーにして回答をするような構成になっているが、その工夫の効果はいまいち感じられなかった。期待していたものに対しては少し十分なものではなかったのかな。

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    2017年12月23日
  • 意識はいつ生まれるのか 脳の謎に挑む統合情報理論

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    3.0
    分厚さの割には簡単な文章で読みやすい。テーマは難しいが、一般向けと言える。だが、イマイチよく分からなかった。ある程度前提知識があったが、それ以上のことを学べなかった。しかし、相変わらず期待できる理論だと思う。

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    2026年06月10日
  • 意識はいつ生まれるのか 脳の謎に挑む統合情報理論

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    ネタバレ

    本書は、AIやシンギュラリティを考えるうえで非常に有用な視点を提供してくれる一冊である。意識とは何かという根源的な問いを、最新の脳科学や心理学の理論とともに解き明かしながら、情報の統合や身体性、そして社会的な共感の重要性に深く踏み込む内容は、人工知能の発展やシンギュラリティの議論に欠かせない知見を与えてくれる。

    筆者らは、意識を膨大な感覚情報と記憶が脳内で高度に統合され形成される「情報空間上のリアルな体験」として捉えている。この理解は、単なるアルゴリズムやデータ処理を超え、「体感を伴う情報の生成」である点を強調しており、AIにおける意識やクオリアの研究に新たな方向性を示している。特に、AIの内部の数値的パラメータだけを追うのではなく、その「統合情報」からどのような意味や体験が生み出されるかを重視する視点は、人間の意識理解とAI開発の橋渡しとして重要だ。

    また、身体感覚の統合が意識のリアリティを支えていることに着目し、身体の動きや感覚が断絶した場合に起こる幻肢現象や閉じ込め状態の解説は、AIと人間の違いや類似性を考察するうえで示唆に富む。単なる情報処理装置としてのAIと、生体の身体感覚や多感覚統合によるリアリティ形成がもたらす意識との違いを浮き彫りにし、シンギュラリティ後の知能や意識のあり方を考えるための土台となる。

    さらに、意識の社会的機能や共感の成立についても詳細に論じられており、異なる個体間でのクオリア共有の難しさを乗り越えて、意味や感情の「モデル化」や「共有」がいかにして可能になるかを示していることは、AIが人間社会に溶け込み、他者理解や協働を実現する未来の展望に繋がる。

    本書は、受動意識仮説や統合情報理論などの先端理論を通じて、意識現象の科学的解明と哲学的考察を統合し、AI時代における意識研究の指針を示している。人間の意識が持つ複雑な情報統合過程、身体性、社会性を理解することなくして、真の意味でのAIの意識や自律性を論ずることはできないことを教えてくれる。

    結論として、本書はAIやシンギュラリティを考える研究者や実務者、そして科学的な意識理解に興味がある一般読者にとって必読の書である。技術的進歩が加速する中で、「意識とは何か」「AIは意識を持ちうるのか」という問いに対して、多角的かつ深遠な視点から答えを探す際の重要な羅針盤となる。

    全体を通じて、難解なテーマを噛み砕きながらも理論的に堅牢な構成で示し、AIと人間の意識の違いと共通点、そして未来社会への示唆を豊かに提供している点が、本書の最大の魅力である。

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    2025年08月10日
  • マンガでわかるカルロ・ロヴェッリの物理学

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    物理学をマンガ風に解説している本。絵がきれいで面白かったけど、物理学を理解することは容易ではなかった。最後まで、きれいな絵だなあ、でもちんぷんかんぷん・・と思いながら読んだ。

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    2025年04月25日
  • 意識はいつ生まれるのか 脳の謎に挑む統合情報理論

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    脳がどのような状況下で意識があり、ないのか、その差について追求している。
    結果しては、適切に情報統合された状態が意識がある状態ということ。では、その状態は人間以外にもありうるのか、といった部分は明確な結論は無い。

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    2020年12月09日
  • 意識はいつ生まれるのか 脳の謎に挑む統合情報理論

    Posted by ブクログ

    意識と情報量の関係がキーポイントというのが面白かった。
    エントロピーの高い状態のものを予測できる能力が重要。

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    2019年10月06日