花本知子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
手のひらに乗るくらいの大きさの物質である脳に、どのようにして意識が宿るのかを説いた本。
進化の系統的にどの段階で意識が発生したのかや、人間の成長のどの段階で意識を持つのか、を説明しているわけではない。実はそう思って読み始めていた。実際のところは、意識が生まれるためにはどのような条件を満たせばよいか、が近い。
そして、その答えを導くのが「統合情報理論」である。重要なのは、情報に多様性があり、なおかつ全体が統合されているという、そのバランスである。それをΦという単位で表している。小脳はシナプスが非常に多く多量の情報を扱うことができるが、全体として統合されておらず、意識を宿すことはない。心臓は統合さ -
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Posted by ブクログ
タイトル通り「意識はいつ生まれるのか」をテーマにした本。著者の戦略は、まず意識の有/無を定義し、それぞれの場合の脳の状態を観測して差分を調べることで、意識が発生するための「脳の状態」に関する条件を探ろうとするものである。
人間の脳のうち、小脳のニューロンが800億個と脳全体の半分以上が集まっているにも関わらず、小脳を取り除いても生命は維持できる上に意識も存在している。一方、大脳皮質には約200億個のニューロンしかないが、大脳皮質の障害は意識状態に大きな影響を与える。このことは、単にニューロンの数が意識を生み出しているわけではないことを示している。また、睡眠状態の脳の活動の量を測定すると、ほと -
Posted by ブクログ
ネタバレ本書は、AIやシンギュラリティを考えるうえで非常に有用な視点を提供してくれる一冊である。意識とは何かという根源的な問いを、最新の脳科学や心理学の理論とともに解き明かしながら、情報の統合や身体性、そして社会的な共感の重要性に深く踏み込む内容は、人工知能の発展やシンギュラリティの議論に欠かせない知見を与えてくれる。
筆者らは、意識を膨大な感覚情報と記憶が脳内で高度に統合され形成される「情報空間上のリアルな体験」として捉えている。この理解は、単なるアルゴリズムやデータ処理を超え、「体感を伴う情報の生成」である点を強調しており、AIにおける意識やクオリアの研究に新たな方向性を示している。特に、AIの -
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