花本知子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ意識はいつ生まれるのか――脳の謎に挑む統合情報理論
「統合情報理論」 もしかすると意識に関しての認識を変えるブレークスルーになるかもしれないと思わせる理論です。
その理論の生い立ちも含め、著者が抱いた疑問から始まり、疑問を深めていく前半と、その解としての統合情報理論の解説が前半と合わせ鏡になっている構成の妙。
数式や難しい概念を一切排した説明に著者の聡明さが表れています。
「BEATLESS」では、アンドロイドは心を持たないという定義のもと、それと人間がどういう風にインタラクションしていくのかの物語でしたが、本当に物には意識が宿ることは無いのか?という疑問を持つ内容でした。
著者が指摘しているように、どうやって意識レベルΦを容易に正確に測ることができるか?という課題はありますが、このΦというものが意識の定義を根本から変える可能性を示唆しています。
意識とは情報量ではなく分離不可な情報のネットワークが担っているという概念は衝撃的で、アーサーケストラーの言う「機械の中の幽霊」そのもの="還元主義では説明の出来ないもの"が意識の元ではとはたと気が付きました。
そうであれば、Φの値が高いネットワークやアンドロイドは意識を持つのでは・・・
これからの研究が期待される理論だと思います。
蛇足ですが、ニューロンは生まれた時には多く繋がっているが、成長に従って接続が断たれていくことによってΦが増大するという説明も、"子供は天才、大人になっていくほど馬鹿になる"という概念と一致していて面白かったです。
久々に満点の5点の本でした。
竹蔵 -
Posted by ブクログ
読み心地がすこぶる快適で、ミステリー小説を読み進めるような構成の妙。
直前にダマシオの『自己が心にやってくる』を読んで翻訳物の神経科学は僕には早いかもと打ちのめされてたところ、救世主のような救いの手を差し伸べてくれました。しかし、カバーデザインからは堅苦しい印象を受けてたので、読み手を選ぶだろうなと少し惜しい気持ちがある。
意識とは何か?という壮大なテーマに「統合情報理論」という手法によって挑む。解き明かされる謎もあるし、まだ霞が晴れない議論(意識分布図、統合や情報を司るコアなるものの解明)がある。それでも、意識というぼんやりしたでもクリティカルな問題に対して着実に解像度が上がること間違いなし。この議論の現在の展開が知りたいけど、参考図書あるかなー探してみよう。 -
Posted by ブクログ
意識がいつ生まれるのか。その謎にいどむ統合情報理論。それを推理小説のように、これを調べたらこうだった、次にこれを調べたらこうなっている、だから今度はこうなるのでは、と興味を途切れさせないような語り口で意識の存在への探求へ導いてくれる。脳から小脳を取り除いても意識は存在するという。しかし視床ー皮質系がやられると意識はなくなる。そこに意識が存在するのか?小脳との違いは何か?ニューロン間の接続の仕方によるらしい。左脳と右脳間を結んでいる連絡橋が大脳皮質にはあるが、小脳には存在しない。小脳は各モジュールが単独で存在するらしい。大脳皮質では縦横無尽にニューロン間に接続存在するという。
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ネタバレやはり意識は「自分の行動・考えを眺めること」だと思う。例えば、他者とコミュニケーションできるだけじゃ足りない。一応犬でも、猫でも、こっちが働きかければ向こうは反応する。犬だったら主人が撫でれば、嬉しいって思うだろうけど、犬が嬉しいって思うのを自分で認知してこそ「意識」だと思う。そうじゃないと、コンピュータが嬉しいって言ってるのと変わらないと思う。それらの違いは「リアルかリアルじゃないか」だけ。
例えば、人間がチャリンコ漕ぐのは無意識っていうし、これと同じ。右ペダル踏んだら左ペダル踏む。犬とのコミュニケーションはこれと一緒だと思う。
もう一個例。映画でありがちな、主人公が目覚めて「ここはどこだ、俺は一体・・・」ってなるシーン。意識を回復しているが、文字通りこれこそ「意識」だと思う。自分の置かれている状況を理解し、それが不自然だと思う、つまり自分のこれまでの一般的な状況と今の不自然な状況をどちらも眺めており、その差異が分かるからこそ不自然だと感じる。これが「意識」。意識がない犬とかは「ここはどこだ?」ってなっても、自分の置かれている状況を理解できなさそう。
って書こうとしたが、普通に犬も「ここはどこ?ご主人様は?」ってなってオロオロしそうで、あれ、これって自分が置かれている状況理解してるよなって思ったから、犬にも意識あるのかも。
よく分からんくなった。
ただ、何となく動物・植物には一般的に意識があるような気がする。それは進化してきたから。進化は周りの環境に適応する、ということ。もし全ての進化が突然変異ではなく、動物の主体的な適応によってなされてきたのなら、動物は自分の現状を理解しているということ。(例えば、もっと舌が長ければ、このアリ塚からアリたくさん食べられるのに、みたいな)
もうひとつ夢を見ているときに、著者は「意識がある」って自明のように説いてるが、本当にそうか?夢を見ているとき、人は往々にして「夢をみているか否か」分かってないはず。それは自分の現状を分かっているとは言えないと思う。それか、「夢の中で登場する自分を夢の中で認識している自分がいて、それが夢だとは分かってないだけで、『夢の中で意識がある』」とも言えるような気がする。
一応、矛盾はしないっぽい。
ただ、著者の言うようにあらゆるレパートリーに下支えされた統合された情報っていうのは、単純に納得できる。知的に刺激的な良著でした。
「広い繋がり(分解できない)がないと、単純なリアクションしかできない。広い繋がりがあっても、一様なリアクションしかできない場合もある。広い繋がりが複雑に絡みあって、はじめて単純なリアクションの裏に、多種多様なレパートリーが含まれるからそれが意識となる。」
「統合された1なるもの」か否かが、ここでは大事だと言われている。それは納得できる。しかし、もし超知的生命体が現れて、情報を統合しつつ、それを複数行い、同時多発的にアウトプットできるとしたら??それは我々にはもちろん理解できないし、どのように彼らがコミュニケーションしているのか、それを意識と呼ぶのか、謎となるのでは??いや、結局それは、「統合された1なるもの」を複数持っているってだけで、意識の定義を否定するものではないか。
伊藤けいかくの小説(タイトルは忘れた)で、脳移植を繰り返されて、完ぺきな暗殺を行えるようになった人が、ある暗殺を行ったことを忘れていた、という一説を思い出した。なぜなら脳が完全に暗殺の手順を覚えていて、それが「無意識に」行われたから。その主人公は衝撃を受けていたが、同じ刺激を繰り返すと脳はそのリアクションを小脳に送っていってしまうのだなと痛感した。 -
Posted by ブクログ
2015年刊行。
医師・神経学者である二人の著者によって書かれた、「意識の正体」に迫った本。
実は、「どこで人間の意識が生まれるのか?」について、科学はまだ答えを出していない。
ニューロン(神経細胞)は、情報処理と伝達をするが、これ自体が意識を生むわけではない。
「意識」という視点で脳を研究すると、多くの謎に直面するのだ。
例えば、睡眠中は意識が低下するが、ニューロンが発する電気信号は覚醒時と同じくらい活発である。この違いは何なのか?
また、小脳はニューロンを800億個持ち(大脳は200億個)、歩く・話す・泳ぐなどの人間の基本的な動作を考えずに行うことを可能にする。
しかし、小脳を全摘出しても意識にはほぼ影響しない。ニューロンが意識を生むなら、こんなことはありえないはずだ。
本書は、トノーニが提唱する「統合情報理論」に基づいて「意識とは何か?」に答えを出そうとする。
「統合情報理論」を一言で説明すると、
「情報の多様性」と「情報の統合」が意識を生むとする理論である。
例えば、我々は視覚、触覚、嗅覚や記憶、感情という膨大な情報を常に受信している。そしてそれらを選択・統合し、行動する。
これが「意識がある」という状態だ。
一方、現在のAIは情報が一方通行に流れる(入力→処理→出力)のみであり、再帰的・双方向的な流れがない。
情報の多様性はあるが、統合ができていないので、「意識はない」と判定される。
また、統合情報理論は「φ」という数値を導入することで、意識の強さを可視化しようとした。
この理論によって、すべての意識の謎が解決したわけではないが、この分野における人類の理解を飛躍的に進めた。
以上が概要。
語り口は比較的柔らかく、意外と読みやすかった。
だが、テーマは専門的なので、集中して読まないと話を見失う。
理論の概要を頭に入れてから読むのが良いかもしれない。
本書では、統合情報理論の詳細説明のほか、睡眠時の脳の状態、脳の一部に外傷・疾患を抱えた人たちの状態についての観察結果もレポートされており、このあたりも興味深い内容だった。
「意識」という問題は、謎深く神秘的であるだけでなく、その延長線上では人間の存在の本質、哲学の領域に踏み込むものである。
故に、この問題は、科学と哲学の融合という、ある種の人類における究極のテーマに近いものだと感じた。
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Posted by ブクログ
天才脳科学者の呼び声高いジュリオ・トノーニ氏による「意識」に関する著書。脳科学をベースに情報理論や哲学、詩文など豊かな知識を生かし、意識とは何かに迫る。専門的な内容にもかかわらず一般読者向けに噛み砕いた内容で読みやすい。
トニーノ氏は「ある身体システムは、情報を統合する能力があれば、意識がある。」という命題を掲げ、φという単位を用いて統合情報理論を展開する。1.5㎏のぬめっとした物体に意識が宿るとは、なるほど不思議なものである。800億ニューロンの小脳には意識がないのに200億ニューロンの大脳で意識が生まれるのはなぜか、ダイオードの例を基にした統合有無の話はとても分かりやすい。
AIの飛躍的進歩を遂げた昨今、「人工超知性」の実現時期が話題だが、そもそも「意識とは何か」を改めて定義し考える、知的好奇心を刺激する良い本である。 -
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当たり前に捉えられている意識の不思議と、意識が生じる源となるものは統合情報量であるとする統合情報理論(IIT)について書かれた本。著者の1人がIITを考案したジュリオ・トノーニであったためIITについて詳しく書かれているかと思っていたが、どちらかというと意識の不思議に主眼を置いた内容であった。
個人的に面白いと思ったのは以下の3点である。
①意識の研究には実用性が薄いと感じていたが、臨床現場での患者の意識状態(昏睡、植物状態、最小意識状態など)を判別するために、「意識とは何か?」という問いに答えるのは医療現場では喫緊の課題であるということが分かった点。
②臨床での意識状態の判別結果と、TMS脳波計測によるTMS刺激の脳全体への広がり方に強い相関が見られたという点。
③睡眠時と覚醒時のTMS脳波計測で、刺激の広がりに違いがあったという点。 -
Posted by ブクログ
「意識」についての脳の研究
ごく当たり前のごとく扱われているが、
非常に不思議なものである「意識」を、
脳を調べることによって解明していこうという試み。
その定義や、科学的な研究方法の確立、検証、考察と、脳科学だけに収まらない内容。
もちろんはっきりしたことは少ないのだが、
こういった第一歩のような挑戦をきっかけに
将来的に解明されていくのかと思うと、
今読めて良かったと感じる。
それと、
教養を要するような内容で、しかも翻訳本であるのに非常に読みやすい。
一般人向けに書かれたためか、イタリア人の文章がまわりくどくないのか、翻訳者が凄いのか。
とてもすっきりしていてわかりやすい。 -
Posted by ブクログ
物質としての脳からどのようにして主観的な意識体験(クオリア)が生じるのかを説明する「統合情報理論(φ理論)」の解説
●未解決問題
人間の意識には
・「脳内で情報がどのように処理されているか」という物理的過程を扱う「意識のイージープロブレム」と
・「物質および電気的・化学的反応の集合体である脳から、どのようにして主観的な意識体験が生まれるのか」
という二つの問題がある
後者はほぼ解明されていない
●「意識の情報統合理論」
トノーニの研究チーム 脳波計
・「わたし」という主観的な意識は、その意識が体験する身体の所有者にのみ存在するという考え方からスタートし、主観的に体験する情報が統合されて初めて意識が生じることになる。
・トノーニは、ある物理系が意識を持つためには、ネットワーク内部で多様な情報が統合されている必要があるとする
●情報統合理論
基本的な命題は、
ある身体システムは、情報を統合する能力があれば、意識がある、というもの。p111
●公理から導き出されるもの
意識を生み出す基盤は、おびただしい数の異なる状態を区別できる、統合された存在である。つまり、ある身体システムが状態を統合できるなら、そのシステムには意識がある
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Posted by ブクログ
意識があるとはどういうことか、という難しい問題に取り組む本。
AIを人工「知能」だとは、ちっとも思わないけれど、このまま、コンピュータが、ニューロン、シナプスをどんどん模倣し続け、どんどん複雑なタスクができるようになってくると、そのうち大概の事は、人間と変わらずできちゃうんじゃないだろうか、とか、そうなった時に、コンピュータには意識ができる時が来るんだろうかとか、気になるところ。
この本は、コンピュータには意識は宿らない説。
難しいテーマの割に驚くほど読みやすい。
しかし、その読みやすさは、肝心な理論の中身をほとんど議論していないからでもある。確かに、数式バンバン出てきて、面倒くさいことを更に難しく言われるのも嫌なんだけど、全然説明しないで、数値だけ示されても困るんだよ。この系は、ファイが20とか書いてあると、何で20なのか気になっちゃうじゃないか。
統合が、情報を省略することで示されるかは疑問。多様な入力を小さいアウトプットにできれば良いと言う事は無いのでは?
最後はポエム。