岩岡千景のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
セーラー服の歌人鳥居 岩岡千景 KADOKAWA
教師であった両親と裕福ながらしつけの厳しい中で
父親に性的迫害を受け良妻賢母の母にも突き放されて
家出同然のシングルマザーであった母の服毒自殺に
11歳の少女は学校からの帰宅で出合い
死んだ振りをしているのだと思い
のり弁を水で飲ませようとしたりしながら成すすべもなく何日かを過ごす
保健室の先生に話したその後は
やる気のない行政官とイジメの蔓延した養護施設においての日々の虐待
そこでの楽しみは読み古しの新聞紙で漢字を覚えることぐらい
その後も補助金付きの小間使い目当ての里親や駆け込み寺のDVセンターや
同じように女中扱いでしかない祖母の家に -
Posted by ブクログ
過酷な子供時代を過ごした彼女が、短歌に出会ったことで生きる望みを見出し、歌人として活動する話。
鳥居氏のことは、Twitterのフォローはしているものの「セーラー服着たサブカルっぽい雰囲気の歌人」くらいにしか認知していなかったが、この本で彼女の半生を知り、もっと早くこの本に出会いたかったと後悔した。
言葉で命を繋ぎ、また彼女自身も言葉の力で誰かの命を救いたいと活動する姿に感動した。芸術はお腹が膨れるものでも、お金が儲かるものでもないけど、死の境地に立つくらい悩み苦しんでいる人の灯火になる。
彼女の以下の言葉が突き刺さった。
「"自殺したいと思ってしまった人"を踏みと -
Posted by ブクログ
以前、記事か何かでこの歌人のことを知り、ずっと気になっていた。
かなり壮絶な体験の持ち主。解離性障害を負っているというほどの過酷さである。よくぞここまで生きていたとすら感じる。
彼女自身の体験から紡ぎだされた短歌は、平易な表現でありながらとても心を揺さぶられる。彼女最初の作品集『キリンの子』も一緒に借りたので読んでみるつもり。
ただ惜しいのは、どうにも本書のノンフィクションとしての仕上がりが今一つなこと。新聞連載をまとめて加筆修正したことがその原因なのか、一冊の本としての読みごたえに不満がのこる。
構成のせいなのか、エピソードの掘り下げ不足なのか、敬体であるせいなのか、はたまた単に文章力のせい