宮城公博のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ内容(「BOOK」データベースより)
那智の滝登攀による逮捕をきっかけに、外道クライマーの悪絶なる冒険が始まった。「最も野蛮で原始的な登山」をめざす沢ヤの実力を見よ!
胸がスカッとする本を久々に読ませてもらった!本道(一般的な)を歩く人には眉をひそめられても、その見下しの視線に混じる羨望。その羨望を逆撫でするような挑発的な挑戦。なんともワクワクするではないですか!普通の紀行文も大好きだけど、これは全く違う野蛮な魅力ではち切れんばかりです。
文章が荒っぽいんだけれど、下手な文章ではななく、自分の書体をモノにした無頼派の書家に通じるワイルドな文章です。また本書いて欲しいです。首を長くして待ってます。 -
Posted by ブクログ
あぁ、これはバカ(最上級の誉め言葉)だ、と思いながら一気読みしました。
良くわからない専門用語がそのまんま残ってたり、描写がイマイチわからなかったり荒削りだったりしましたが、それを補って余りある勢い、熱さ、タフさ、純粋さ。粋だけど不器用だし損する生き方なのかもしれないけれど、それをわかっていて突き進む潔さ。「沢ヤ」ってなんて不思議な生き物なのか。
末尾の角幡氏の解説も「なるほど、そういうことか」と腑落ちする感覚でこれまた素晴らしい。登山行為が本来抱えている原罪、というくだりは考えさせられますし、なんでわざわざそんなコトするの?への答えがあります。
全編面白かったですが、特に印象に残っているのは第7章のヘビのくだり。極限状態とはこういうことか。本当は笑えない、我々の日常では文明で覆い隠されているベールが剥がれただけのシーンなのだけれど、不思議なユーモアがあってついつい笑ってしまいました。 -
Posted by ブクログ
狂っている。まさに狂人だ。それは一般人が想像する山登りではない。むき出しの自然と対峙した人間が、どこまで立ち向かえるのか。負ければ、死に直結する。
登山スタイルは人それぞれだ。厳冬期のアルパインクライミングも登山であり、ピークハントを目指さないハイキングも登山である。
数あるスタイルの中でも、他のスタイルと明らかに一線を画す連中がいる。沢ヤだ。
登山ではあるが頂上を目指していない。彼らのフィールドは谷底だ。それも谷が深ければ深いほど、それを好む。
最近流行りのキャニオニングやシャワークライミングなどとは明らかに違う。谷底の、まさに文字通り陽が当たらないフィールドだ。
那智の滝を登って逮捕。確かにそんなことあったなぁ。アホなことする人もいるんだなぁとしか思わなかった。
2012年だから、この頃には俺は自転車で百名瀑に全部行く、という目標を持っていた。滝は登るものじゃなくて、見るものとしか考えていなかった。
この事件で、世間は沢ヤの存在を初めて認識し、社会は彼らを理解できず徹底的にバッシングした。
なぜ彼らが那智の滝を登ったのか。「登りたかったから登った」という一見幼稚な発言は、なぜ登りたかったという動機を得るに至ったかが本書で書かれている。
前人未踏の称名廊下、四十六日間のタイ遡行、台湾の大渓谷チャーカンシー、そして冬期称名の滝登攀。
常識では考えられない。本当に命がけだ。少し気が緩んだだけで死に直結する行為を繰り返し、彼らが何を望んでいるのか。本当のところは、読者にもわからない。
角幡唯介の解説より、
「登山をはじめとする冒険行為一般は、反社会的であることから免れることはできない」
言われてハッとする。自分のことを思い返せば、立ち入り禁止の柵を幾度となく乗り越え、行きたい場所に行き、見たいものを見てきた。
誰にも迷惑かけてないからいいだろ。そう理由をつけてきたが、常識の内側で暮らす一般人から見れば反社会的行為である。
那智の滝を登る。反社会的行為だ。しかしそれは、登山が根源的に反社会的行為であることを、全ての登山者に突き付けたのだ。
登山者必読の書である。なぜ山に登るのか。その根源的な問いを各自答える義務がある。 -
Posted by ブクログ
テレビ番組『クレイジージャーニー』で彼の存在を知った。
登山家と違い「沢ヤ」はメジャーではないが兎に角アナーキーだ。かっこいい言い方をすれば、命をBetし自然と戯れるのを生業とする。出だしから神聖な那智の滝に(それも神聖な日に)登攀し逮捕されている。破天荒でプリミティブ。何か既視感があるなと思ったら、そうだ、辺境冒険家の高野秀行氏に似ているんだと気付く。興味あるものや楽しいものは何でも体験してやろうという姿勢がそっくりだ。
道なき道を進み蛇を食べ極寒の川を全裸で渡る、そんなハードなスタイルにも関わらず、焚き火で酒を飲む為に沢ヤの楽しみと語るお茶目さを兼ね備える。そして何よりいいのはとことん「クズ」なところだ(褒め言葉)。パートナーへディスる様がとにかく面白い。
禁止区域や危険地帯へどしどし立ち入っていくので倫理的にどうかという意見もあるかと思うが、ひとつの生き方として非常に面白いので是非読んでみてほしい。 -
Posted by ブクログ
すごい人たちがいる。
地球上には人跡未踏の空白地帯は深海にしか残されていないと思っていたが・・・。今ではドローンなどによってその絵はたやすく見ることはできるようになったが、でも人類がまだ足跡を残したことがない場所がたくさんあるらしい。那智の滝もまだ誰も登ったことはないし、黒部の称名滝の上部のゴルジュ称名廊下もまた誰も突破したことがないという。台湾のゴルジュ、タイ奥地のジャングル・・・・。そしてそこに挑む沢ヤ、クライマー。
比喩ではなく、本当に命をかけているのだけど、その深刻さはなく、それどころか那智の滝に至っては逮捕までされてしまう自分たちをどこか誇りにすら思っているような「外道」な感性。でも、ギリギリの命をかけた切迫さもまた伝わってくる。面白すぎる生き方。高野秀行が帯で絶賛「冒頭から角幡唯介の「解説」まで、面白くないページは1ページもない。」。そのとおりの痛快な本。