井出孫六のレビュー一覧

  • 抵抗の新聞人 桐生悠々

    Posted by ブクログ

    名文である。筆者の桐生悠々に対する愛情がひしひしと感じられる。
    現在でも、首相と飲食を共にする新聞社の主筆や編集委員がいるという現状を仄聞するにつけ、自分たちの大先輩に当たるとも言うべき桐生悠々が貫いたジャーナリストとしての矜持は、いったい奈辺にあるのかと情けなくなってしまう。
    それにしても、特高警察による出版物検閲や差押えの恐ろしさ。そんな時代が二度と来てはならない。たとえ少数といえども、「嵐の夜でも鳴き続ける蟋蟀」の心意気に期待したい。

    0
    2023年05月10日
  • 抵抗の新聞人 桐生悠々

    Posted by ブクログ

    なぜ、あの戦争が起きたのか興味があり、関連した書籍の中で桐生悠々の名を知った。
    1980年に発刊された本が再販になったとのことだが、文章は全く古さを感じさせない。
    本文はもとより、5男の方が特別寄稿しているが、本質を捉えていると感じる。

    解説で述べられている、悠々が果たしてたのは「義務の履行」であったと。なるほどと思ったのと同時に、その難しさを感じた。

    良書でした。

    0
    2022年05月04日
  • 抵抗の新聞人 桐生悠々

    Posted by ブクログ

    社説「関東防空大演習を嗤ふ」で軍部を激しく怒らせた、
    明治末から日米開戦前夜まで、『信濃毎日』『新愛知』の主筆、
    桐生悠々のお話。
    岩波新書(黄版)が文庫に形を変えたという。

    私の好きなジャーナリスト青木理氏は、
    高校生時代にこの新書を読んで、
    ジャーナリストを志したと、解説に書いてある。
    この本を手に取ったのも、彼の話を聴いてだったのだと思う。

    そこを行くと私はこの本、あまり理解できなかった。
    読みにくかった。
    当時の引用も多く、なおてこずった。
    乃木将軍の殉死について桐生悠々が批評しているところは
    少しは理解できた気がした。
    礼賛の嵐に対する批判的な見方。
    これこそがジャーナリストの矜

    0
    2024年07月04日