雨宮昭一のレビュー一覧
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▼「あいまいな」私たちや「無責任の構造」を作り出してしまった原因の一つは、「神」を創造してしまったことにあるのではないか。
このきっかけは1930年代にまで遡らなければならない(世界情勢という観点からは世界恐慌が勃発した1929年とした方が正確かもしらないが)。
▼一応の「日本人」が形成された時期は明治時代のことである(戸籍の作成と日本人の策定)。そして、国家をまとめるためにシンボルが必要とされたこともまた、事実である。この理屈からすれば、戦後の「国體(国体)護持」の理念さえ合理性を有し得ることになる。
▼現行憲法は「押し付け」であるとは言えないが、自らの手で作り出したとも言いきれない。それを -
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ネタバレ[ 内容 ]
新憲法の制定、婦人参政権、教育の民主化、農地改革、財閥解体など一連の戦後改革は、占領政策によるものとされてきたが、本当にそうなのだろうか。
改革の原点は占領政策ではなく、総力戦時代の社会から継承したものの中にあった。
占領開始から五五年体制成立までの戦後一〇年を斬新な視点で描きだす。
[ 目次 ]
第1章 戦後国際体制の形成と日本の敗戦
第2章 非軍事化と民主化
第3章 新憲法の形成へ
第4章 政党勢力と大衆運動
第5章 中道内閣の展開と自由主義派の結集
第6章 戦後体制の形成
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
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【『戦後政治史』→政治潮流を俯瞰的に見る】
『戦後政治史』は事実の羅列で、政治の潮流を大局的に見ることができなかったため、いわば歴史のまとめとしてこの本を読んだ。
この本は岩波新書の「日本近現代史」というシリーズの1冊だ。シリーズ全体としては明治期から現代まで続いているが、この本は敗戦~サンフランシスコ平和条約で講和が結ばれるまでの政治的過程を描いている。
筆者の主張は、日本の政治経済が戦後大きく転換したのは、GHQの占領政策に由る所だけではないということ。つまり、戦時中から政策の違いで党派間の対立があり、その対立が戦後の日本政治を形成しているということだ。
具体的に、筆者は戦時中に4つの -
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岩波新書のシリーズ日本近現代史の7冊目。戦前の総力戦体制研究で知られる獨協大学法学部教授の雨宮昭一が担当。
【構成】
第1章 戦後国際体制の形成と日本の敗戦
1 総力戦体制と敗戦
2 戦後国際体制の形成
3 敗戦への道
第2章 非軍事化と民主化
1 占領体制の形成
2 占領改革の実施
3 東京裁判と戦争責任
4 民主化政策の諸相
第3章 新憲法の形成へ
1 憲法改正をめぐって
2 アメリカ政府とGHQ
3 GHQの憲法草案
4 国内の諸憲法案と憲法体制の成立
第4章 政党勢力と大衆運動
1 敗戦と日本の指導者たち
2 敗戦前後の政界再編
3 GHQと公職追放
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読みたい順で読んでいる「シリーズ日本近現代史」の2冊目は、第7巻。第二次世界大戦末期の政治状況から、占領、独立を経て 55年体制の確立まで。
日本の軍国主義体制を「非日常的な戦時体制」ととらえ、戦争が終わったこと自体によって、戦後体制は大正、昭和初期の民主主義的傾向の強い時代に回帰したはずであると喝破。つまり日本の改革にとって、GHQ による占領は本質的ではない(少なくとも、本質的でなかった部分がある)との立場に立つ。
従来、日本の占領と改革は最高の成功例(著者はこれを「無条件降伏モデルのサクセスストーリー」と呼ぶ)と考えられてきた。しかし、第二次世界大戦後のアメリカは、世界の各地でこの日