小川哲生のレビュー一覧

  • 民衆という幻像 ──渡辺京二コレクション2 民衆論

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    『小さきものの死』の編における「願わくは、われわれがいかなる理不尽な抹殺の運命に襲われても、それの徹底的な否認、それとの休みのない戦いによってその理不尽さを超えたいものだ。」という決意や『現実と幻のはざまで』『石牟礼道子の世界』『石牟礼道子の時空』『石牟礼道子の自己形成』の編で示された氏の女史への想い、また『「サンクチュアリ」の構造』での解説にわたしは完全に魅了されてしまった。渡辺氏が強く薦める、石牟礼女史の『苦海浄土』はぜひ読んでみようと思う。

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    2014年05月24日
  • 維新の夢 ──渡辺京二コレクション1 史論

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    とても刺激に満ちていて知的好奇心を満足させてくれる評論集である。といいながら果たしてどれほど理解できたかは甚だあやしいかぎりだが。西南戦争における西郷隆盛の不可解な行動への渡辺氏の理解は、通俗的歴史観をばっさりと切り捨て、司馬遼太郎の『翔ぶがごとく』をも「小説として見れば、これまたスカスカである。」とこき下ろしている。私は歴史に疎いのだが、渡辺氏の説には妙に説得力を感じでしまう。それは、私に歴史の新たな面を知らしめてくれるからだろう。

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    2013年02月24日
  • 維新の夢 ──渡辺京二コレクション1 史論

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    本書に含まれる「逆説としての明治十年戦争」についてだけコメントする。

    渡辺京二の深い思考と、熱い情熱とを感じさせる読み応えのある論文。
    そして、見事な文章。
    今時、こうした文章を書ける人はいない。
    タイトルにある「逆説」がキー•ワードだ。
    「明治十年戦争」とは、西南の役のことだ。
    歴史学では、それを、士族たちが自らの特権を守るために起こした「反動的反乱」と断定して怪しまない。
    そこには、「逆説」も何もない。
    明治十年戦争の「逆説」とは、「反動的反乱」という装いを纏いながらも、維新の「第二革命」であった、という認識を言う。
    どう言うことかは、本論をじっくりと読む必要がある。
    この見事な、示唆と

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    2025年10月02日