山田耕介のレビュー一覧
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スターリンは日本に対する強大な朝鮮を望み、中国と米国の敵対を願い中国をけしかけた。毛沢東はスターリンが望むような操り人形からはほど遠かったが米軍が半島を統一すれば直接脅威を受けるのは中国だ。もはやいつ、そして誰が指揮するかが問題だった。そして林彪が病気を口実に逃げたため農民の将軍、彭徳懐が選ばれた。長征をともにした毛の腹心の部下であり、兵士からの人気の高い中国軍の英雄だった。
マッカーサーの後を継いだマット・リッジウェイは40年後に「私が最も理解しがたく、そして許せないのは、東京の司令部が、兵士達がどんな状況で戦わなければならないかということを完全に忘れていた事実である」と述べている。マッカ -
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「戦争はクリスマスまで終わる」仁川上陸作戦に成功し平壌を占拠した連合軍はマッカーサーを筆頭に楽勝気分に浮かれていた。第8軍のカイザー少将は1950年10月25日に「われわれは帰途につく。もうすぐだ。クリスマスまでにだ。命令が出ている」と士官らに語った。連合軍の一部はすでに鴨緑江に達していたが、戦線は伸びきり11月1日に始まる中国軍の大反攻により各個撃破の標的とされていった。ますますと罠にはめられたのだ。
戦争そのものが互いに間違った認識のもとで進められていた。中国、ソ連、北朝鮮は38度線を突破してもアメリカは参戦しないとたかをくくっていた。アチソン国務長官の演説で朝鮮半島が明確な介入の対象に -
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重量級の朝鮮戦争ドキュメント。アメリカの政府・軍上層部内(中朝露側も少々)の駆け引きと誤算、前線で戦った将校・兵士らの証言からなる。中央と前線の対比が読みどころ。また、マッカーサーという特異な個性もひとつの主役になっている。
アメリカにとって朝鮮戦争は忘れられた戦争である。引き分けるために多くの血が流された。ただし、アジアでの覇権的な共産主義の勢いをとめた功績はあると帰還兵は振り返る。
アメリカ国内政治との絡みで言えば、蒋介石の中華民国(台湾)がこの戦争に影を投げかけていた。武器を与えても中共軍に奪われるだけの頼りない連中。しかし米国内では共和党に巧みなロビイングで食い込んで、アメリカが中 -
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数年前、突如として現れた最悪の感染症SARSについてのドキュメンタリーです。著者はアジア版『タイム』の編集長で、感染力・致死率とも高く重篤な症状を見せる病と、その正体も分からぬまま治療に奔走する医療従事者や原因究明に粉骨砕身する研究者たちの姿をジャーナリストの立場から見事に描いています。
もともと特定の動物にしか感染しなかったものが、僅か数ヶ月でどのようにして中国社会に蔓延していったのか。そこには人命より国の面子を重視する政府の隠蔽体質や腐敗、極端な経済格差、民衆の公衆衛生に対する意識不足などが大きく影響しており、感染症よりも、実はこちらのほうが恐怖です。 -