岡本学のレビュー一覧
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購入済み
アウアエイジを読んで
アウアエイジを読んで、青春時代の淡い思い出がよみがえりました。若い時代にどうしても、未解決の問題を抱えるものです。それが何十年の時を経て叶えられるなんて羨ましいことです。
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Posted by ブクログ
ネタバレ⚫︎受け取ったメッセージ
つながっている。
つなげていく。
そしてだれかを勇気づける。
それが使命。
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
第163回芥川賞候補作。
一緒に、塔を探しに行かないか?
生き迷う男。謎を残して死んだ女。…大学教師の私に届いた、学生時代にバイトをしていた映画館からの招待状。映写室の壁に貼られたままの写真に、20年前の記憶がよみがえる。
⚫︎感想
ミステリー仕立ての純文学として、最後まで大変興味深く読むことができた。不思議な女性ミスミ。塔、映写機、思い出、カレーライス、数学、さまざまな小道具やエピソードがつながって、男の記憶を掘り起こし、ひとりの女性像を結ばせる。切な -
Posted by ブクログ
ネタバレ⚫︎受け取ったメッセージ
システムのメタ構造に飲み込まれる!
自由選択は本当に自由選択なのか?させられていないか?
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
「僕」は親友と教団を作ることにした。その名も「リブート(再起動)教」。人格をPCのソフトウェアに見立て、「修行を積めば、不要な機能をオフにして再起動できる」そんな教義だった……。どこか怖ろしくも切ない、一気読みの中編「再起動」。他に自作の相撲ゲームを究めようとする男と架空の力士「高田山」を通して「神」を描くユーモラスな短編「高田山は、勝った」を収録。
僕は、大学時代からの親友と教団を作り、起業した。その名も「リブート(再起動)教」。
人格を -
Posted by ブクログ
社会の一歯車となるのを嫌う『僕』は、無知で稚拙な友人『クォーター』と会社を設立する。事業は順調すぎるほどに成長し、やがて自分たちの手に余るほど大きくなったところで買収された。次に僕が始めたのは『神』を作ること、宗教法人を一から作り上げることだった。でたらめなもののはずだったのに、再起動したと宣言する信者たちが次々と現れ…。
宗教というスピリチュアルなものを、パソコンの再起動から造り上げるというのが面白い。
歯車になるのが嫌で作り出す側に回ったはずだったのに、やがてもっと大きな歯車の一部だったと気づく、フラクタル構造のような概念は、もう一遍の「高田山は、勝った」の方がもっとわかりやすいか。
こ -
Posted by ブクログ
ネタバレ終着は終着、これ以上なにかを求めて逃げることも戻ることもない。
主人公は家族も職も失って、東北の沿岸に逃げてきた男性。遺産と貯金をたよりに、ただ人生の期限だけを定めてその街に住み着いた。
絶望することにも退屈した彼が、暇つぶしに思いついたのは"架空の路線を走らせること"。どう路線図を引くべきか、駅間の運転には何分を要するか、ダイヤをどう組むか。彼自身が<架空列車>となって、来る日も来る日も自転車に乗って街を駆ける。
やがて彼は欲や執着が出てくる。なんの対価も得られない遊びへの白けた気持ちに蓋をするが、そんな日々を突如ぶち壊したのが、東日本大震災だった。
すでに何もかもを失った彼を同士とみなし接 -
Posted by ブクログ
ネタバレ二人のIT起業家がビジネスで始めたインチキ宗教法人「リブート教」。それが創始者の意思に反して生き物の様に成長していく話。
以下感想。
リブート教のシンプルでシステマチックな理想と原理は正にコンピュータシステムを彷彿とさせるもので、信者(人間)さえもシステムに組み込まれた一部品であり感情や苦悩もアンインストール可能な機能という考えは、理路整然として面白い設定だった。
自分は自分の意思で決定していると思っていても、システムの一部でしかなく、インチキと分かっているはずの創始者でさえもそのシステムの流れには逆らえない。
システム開発者が巨大なシステムを制御しているつもりでも、いつの間にかシステムに支配