豊島晋作のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読むきっかけは英会話の先生からのアドバイスでした。
「日本ではこんな良い本が出ているけれど、君の周りでは読まれているのかな?」という煽りのような質問。
「いえ、名前も聞いたことがありません」と返すのが精一杯でした。
普段は古典を中心に読んでいるので、発刊されて1年以内の本を読むのは新鮮です。出てくる時期、ワード、状況がテレビの報道と一致するからです(古典の場合は、数十年、数百年前の事情を考慮しないといけません)
その新書で読んだテーマは、ウクライナに対するロシアの侵略について。
なぜロシアの電撃作戦が足止めを受けることになったのか?
どうしてウクライナは、小国ながら大国ロシアからの猛攻に耐え、局地的には押し返しているのか?
そういった直近の話題から、ロシア、独裁者プーチンが侵略を決めるに至った、歴史的な経緯までを平易な文章で説明してくれます。
この「歴史的」という部分がこの本の骨子だと評価しています。
何が起きているかはー偏向報道であることを認めつつもーニュースを見れば理解できます。
ですが、普段ニュースでは取り上げられない過去、時間をさかのぼった事情をこの本から理解すると、今回の侵略は無為無策ではなく、何かしらの理由と原因があるとわかるのです。
ロシアが持つ「悲観的」な歴史感、プーチンが感じるNATOの裏切りなどが興味深いですね。
また、作者の豊島さんは似た事例でノルウェーやバルト三国といった近隣の「ロシアに国境を面した」国々の決断、遍歴を文中で取り上げ比較をしています
ウクライナを軸に据えながら、ヨーロッパの地政学についても紐解く。最終的には、同じくロシアを隣国として持つ日本についても意見を展開します。
「これは他人事ではない」という感覚が芽生えます。
10年後、この本で書かれていたことの一部は、誤った解釈と評価されるかもしれません(本人もそれは自覚されています)
長年読み継ぐためではなく。むしろ、今読んで、今の私たちの意見を洗練させるために読むべき本です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレウクライナ戦争開戦(2022/2/24)前から、たまたま見ていた「テレ東Biz」の豊島キャスター著作。開戦半年という絶妙のタイミングで出してきた。
振り返るつもりで読んでみたが、もはやかなり先を見通して、中国台湾戦争勃発を視野に、如何に日本は論理を組み立てていくかというところまで話している。
第1章、2章は開戦に至る経緯などの反芻にほどよい。
第3章「戦時下のウクライナから」は、テレ東BizなどメディアでUpdateした情報収集したほうがよいかな(7月以前の情報で、2か月ほど古い)。第4章「ロシアと戦う国々の論理」は、もはや参考程度に。
第5章「プーチン大統領暗殺は起きるのか?」は、ちょっとセンセーショナルで中盤の山かなと読んだが、できるかできないか、できるとしたら何を根拠に、どんな状況なら、という、あくまで思考訓練的なお話だった。
我々、日本人として重要なのは、最後の2章だろう。ウクライナ戦争は、あの地域だけの話ではなく、大国ロシア、隣国ウクライナの関係は、中国=台湾間に置き換えて考えるべきという話だ。
第6章「中国・習近平の台湾侵攻」。
「世界経済は、アメリカ、中国のふたつのエンジンで飛ぶ飛行機である。両国で世界のGDPの約40%を占める。世界全体の2%にも満たないロシアとはレベルが違う。」
この差をどうみるか?!
一朝一夕に、すぐ開戦とはならないと見る向きが大多数だが、今は、その準備の段階だという論調で本書は書き進む。 本当の危機は2030年代だと。
そして、恐るべきは最終章、「試される日本の論理」だ。
2030年代に至るまで、その準備期間に、外交手腕、経済力、政治力を駆使した戦争回避の提案もあるのかと思ったが、中国が台湾侵攻を準備を始める第1段階から、戦争勃発の第2段段階、米軍参戦の第3段階、それぞれのシミュレーションと、そのための準備や、準備できない障害(法整備、軍事力、世論等々)を述べていることだ。
もはや、台湾侵攻は不可避のことだと言わんばかりに・・・。
ロシア・ウクライナ戦争の教訓のひとつとして、ウクライナ大統領の動きがある。
「世界の指導者たちに、ゼレンスキー大統領は一つの発信のかたちを示したと言える。」
日本の国家元首はこれが出来るか? あるいは、日本国民はトップを支持し、自らも国を守る強い意志、姿勢を示せるのだろうか?
「人は、自ら困難を乗り越えて戦おうとする人を助けたいと考えるものである。ウクライナ人が自ら闘ったことが、多くの物理的支援につながったことは忘れるべきではない。」
は、とても大きな示唆だと思った。
湾岸戦争の時に、金だけ出して・・・と、世界的に評価されなかった当時が思い出される。