ピーター・ゼイハンのレビュー一覧
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脱グローバル化後の「世界の終わり」について。第二次トランプ政権前に刊行されているが、トランプ大統領が就任した今、ますます真実味を帯びている。
本書は地政学の専門家である著者が地理的要因や人口動態、Civilizationを基に、新たな世界のパワーバランスを読み解く。「風が吹けば桶屋が儲かる」的な内容。
冷戦終結後の、世界の「秩序」維持に理由も関心も失った米国。保護主義に走り、「秩序」を放棄する米国。そして右傾化し権威主義化していく各国。
「やっぱりアメリカは強い」という話ではあるが、強さの源泉と、それを取り巻く各国の位置づけがよくわかる。意外な日本の底力も知ることができる。因果関係を多少簡略化しすぎているのと、現状理解が多少雑な面はあるが、今後の世界のアウトラインを学べる本だ。 -
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かなりダークだけどあり得そうな未来の予測。アメリカが主導してきた開かれたグローバルな秩序の終わりが何をもたらすのか。都市化した多くの国で急速に進む高齢化と人口減少、気候の変動がもたらす食糧供給の変化。
その結果として著者が予測するのは、食糧危機による世界の大部分(自給自足できない大部分の場所、グローバルな秩序が終わっても貿易に参加できる限定された地域を除く大部分)での飢餓、製造業のサプライチェーン断絶による今までのような生活が維持されない世界、人口構造と現在のハイパーファイナンスの終焉による中国の急速な崩壊。そしてそんな世界を尻目に孤立しても生きていけるアメリカ。
2030年台はかなり厳しい世界。コロナ前の数年がグローバルな秩序の精華だった。
中国下げアメリカ上げが少し極端かなとも思うけど一つの世界の見方として勉強になる。
そして著者が希望としてあげるアメリカとメキシコの無関税経済圏もなきものにしかねない第二次トランプ政権が現実をこの本よりも先に進ませている。
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アメリカが国際秩序のサポート役を降りた後の世界について、様々な切り口から推論するシリーズ下巻。下巻では、エネルギー、製造業、農業が主な切り口です。
「アメリカが国際秩序の維持管理役(いわゆる”世界の警察”)を降りる→自由貿易体制が崩れる→世界が分断化される」というのが前提となっています。その状況下で、上記の分野がどういう方向へ進むのか、というのが下巻の内容です。
「世界が分断化されるので、この数十年世界が享受してきた”安く・大量に”物が溢れる生活は消え去り、ブロック化された世界各地で完結したサプライチェーンに帰結せざるを得ない→今よりもより不自由で不安定な世界になる」というのが一貫した主張で、その具体例が多く挙げられています。
エネルギー(石油やウランなど)、地下資源(鉄鉱石やレアアースなど)はもともと偏った地域に極端に偏在していますし、農産物も気候や農業に従事できる人口の偏りで、生産地域が偏在しています。自由貿易が阻害されれば、それらの生産地から距離が離れていたり、政治体制の問題で供給不安になれば、今よりも多くの面で制約が出てくるのは当然なので、読み終わっってみて、ちょっと冗長な印象は否定できないかな、という感じでした。。
現在の世界に至る歴史(産業革命や自由貿易体制による変化など)の部分の記述が各章の冒頭にあるのですが、その部分は簡潔に要点が時系列で整理されていて頭の中が整理された気がしました。 -
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上巻に引き続き、今度は石油やその他のエネルギーや金属資源、工業製品、食料(農業)の観点から世界を俯瞰。
産業の発展に欠かせなかった灯りは、まずは鯨油、そして石炭と続き、最終的に石油が使われるようになった。その後、石油は主にガソリン、石油精製品に使われるようになり、電力は天然ガスにシフト。石油は中東、旧ソ連、北米で算出されており、特にカナダのサンドオイル、アメリカのシェールオイルにより、アメリカは石油すらもある程度自給が可能に。また天然ガスもシェールガスと呼ばれる副産物で確保可能。
グリーンテックはそのコストからしばらく本格的な普及は難しく、電気自動車自体が実はその製造段階から多大なCO2を排出し、また電気自体も火力発電などにより生み出されていることから、現時点では環境負荷は高い。またグリーンエネルギーによって代替可能なものはあくまで電力だけであり、石油精製品の代替はまだ見つかっていない。
金属資源は中国がマネーゲームを繰り広げており、一部の金属は中国の手中にあるが、原材料などはある程度原産国が分散しており、対応が可能。
シリコンバレーがあり、農業も盛んなアメリカにおいて、地政学的な死角は少なく、むしろエネルギーと海上軍事力に課題のある中国は地政学的には苦しい状況。 -
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資本主義は常に拡大していくことが求められているが、多くの先進国で高齢化が進み、人口減少が現実味を帯びてきたため、この「より多く」が成り立たなくなってきた。
特に、工業化も後から工業化を開始した国ほどかかった期間が短かったように、高齢化も中国などは日本よりも猛烈な勢いで高齢化している。
戦後から2020年ごろに至るまでの期間は、アメリカが戦後の世界秩序を自ら守っていた極めて稀有な平和な時代であった。こうした世界の警察たる役目を終え、世界のサプライチェーンは危険に晒される可能性が高まった。結果的に各国はより小さな経済圏で安全を確保しながら生活していくことを余儀なくされる。
そうした中、アメリカは広大な土地を持ち、資源にも恵まれ、ミレニアム世代という人口の多い世代や多くの移民、基軸通貨としてのドルという好条件から、どういった世界になろうともしばらく覇権を握り続けることが予想される。 -
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米関税政策の反グローバリズムが意識される中、ある意味タイムリーな本。
各国がグローバル経済のメリットを享受する一方、米国はそのための世界の海洋秩序を維持する軍事費負担が割に合わなくなっている。世界の先進国の経済が高齢化のために今後は大きな成長が見込めなくなる(日本はその先頭)こともその背景。
特に第二部 輸送 では、グローバルな海洋の安全が国際輸送の前提であり、低コストで安全な輸送がグローバル経済の前提であることが示されます。アメリカの海洋覇権と各国の貿易秩序への大きな意味での利害の一致がこれまでの幸せな状況を生んできたが、こうした状況はもう長くは続かない。それはグローバルな分業を前提に複雑かつ巨大になった世界経済の崩壊を意味し、経済圏や国ごとにバラバラになった経済は成長鈍化や生活水準の低下くらいでは済まず、地域によっては飢餓や文明崩壊にまで至る、という話。
現在のトランプの関税政策は基本的に行き当たりばったりで、こうした長期的なビジョンに基づくとは言い難いと思いますが、かと言って今後のアメリカが国益を追求するとき、従来のグローバルな政策に戻るとは言えないこと、また、軍事防衛政策と通商政策がリンクしていること、が、理解できました。
一方で、今のアメリカがグローバルな分業で大きな利益を得ているのも事実で、今のアメリカの問題は国内での再分配の問題ではないかとも思っています。
最後に、著者が日本の軍事力を過大評価している点には違和感を感じました。
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Posted by ブクログ
地政学は面白い。歴史であれ政治・経済であれ、その場所の持つ特性からは逃れられないから、地政学を出発点にして考えると見えてくることが多いというのはよくわかる。そういう意味で、これからの世界を地政学の視点を基盤にしてみるとこんな風になり得る、と仮説を立ててみたのがこの本。資源や製造業など、個人的にはざっくりした常識程度の知識しかない私にとっては、それぞれどこでどんな風に、どんなものが作られて、どんな風に輸送されて現代の世界ができ上っているか、というのが理解できるという意味では「社会科の勉強」としてとても面白かった。
半面、グローバリゼーションを推進してきたアメリカ人の視点から“グローバル後”を見ると、こんな景色かという「引き算」もしながら読んだ。全体として、土地と資源があり、人口も確保できているアメリカは、脱グローバルで他国と分断されても大抵大丈夫、というのが著者の出発点にあるように見え、目下たまたまトランプ政権の諸々の騒ぎを見ながら読んでいると、なるほど、アメリカ人はこういう風に考えているのね、と腑に落ちてしまうところがあった。素人なのでまったく「根拠レス」ではあるけれど、それほどアメリカもうまくはいかないのではないか、という疑問符を頭の隅に浮かべながら読み進んだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレグローバル化が終焉し、無秩序の時代がくると、海運の安全は崩れ、グローバルサプライチェーンは寸断される。そのとき 各国はどうなるか?
著者は中国はやばい と 各章で語る。 石油はなくなれば石炭あるし、半導体禁輸されてもファーウェイ復活したし、 中国は大丈夫な気もするのだが・・・・
以下 備忘録
エネルギー:石油・天然ガス アメリカ以外は需要と供給が分断される。供給源がない国は困るだろう。石油が採れる国
コロンビア・ペルー・トリニダードトバコ・ブラジル(資本が必要)・オーストラリア、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム、北欧、北アフリカ、ロシア、ペルシャ湾岸 それ以外の国はエネルギー不足への対応が必須
これらの国が石炭を使いだし、温暖化を早めてしまうかもしれない
資源:中国が最大の輸入国、消費国、加工国。ここが没落するとどうなるか?
鉄:中国いなくても問題なし
アルミ:ボーキサイトはあるが、精錬用電力不足の国は困る
銅:中国いなくてもチリとペルーがいる
コバルト:コンゴ次第 充電池の重要材料
リチウム:オーストラリア、チリ、アルゼンチンがいるが 加工の8割は中国
銀:中国以外でも対応可能
金:品質表示の刻印はスイスとアラブ首長国連邦
鉛:リサイクルで可能
モリブデン:装甲車や銃身に使用。中国の支配はない
白金族:南アフリカ、次はロシア
レアアース:精製プロセスは大量廃棄物が残り中国(9割)以外誰もやらない
中国の輸出規制後 バックアップ対応済み
ニッケル:インドネシア、フィリピン、カナダ、オーストラリアで生産
シリコン:高品質石英はノースカロライナ
ウラン:アメリカ 中国はある 日本 フランス 何とかする?
亜鉛:リサイクル可能
製造業:ジャストインタイムが使えない
アジア:少子高齢化と貿易制限で規模の経済が崩壊。中国は世界の工場でありながら現状でも輸入だのみ。中国が没落すると東南アジア・インドが浮上するかも
ヨーロッパ:少子高齢化で内需弱い。原材料はアフリカ等からの輸入に頼る。ドイツ中心のシステムは崩壊し、北欧、フランス中心になる
北米:内需あり、資源在り、安泰。中南米も取り込むか?アルゼンチンが浮上?
農業:貿易制限で最大の打撃。飢餓の再来、モノカルチャーから混合作付への移行
小麦の栽培が衰退したのち復活。食肉は贅沢品に
大型農機:アメリカ・フランス・ブラジルが供給
小型農機:ロシア・ウクライナが困る
窒化肥料:東アジア、中央、サハラ以南のアフリカが困る。中国も?
リン酸肥料:中国、モロッコ、アメリカ、ロシアが供給国
カリ肥料:ヨルダン、イスラエル、ドイツ、ロシア、ベラルーシ、カナダが供給国
食料輸出可能国:安心なのはフランス、アメリカ、カナダ だけ?
食料輸入国 比較的安心: チリ・コロンビア、エクアドル、アイスランド、インドネシア、マレーシア、メキシコ、ノルウェー、ペルー、フィリピン、ポルトガル、シンガポール、イギリス、 &日本?
食糧輸入国 問題あり:
ロシア影響:モンゴル、タジキスタン、トルクメニスタン、キルギス、ウズベキスタン
フランス影響:ベルギー、スイス、モロッコ、チュニジア、アルジェリア、ガボン、コンゴ、チャド
インド影響:バングラディシュ
ナイジェリア影響:赤道ギニア、カメルーン、チャド、二ジュール、ブルキナファソ、ガーナ、トーゴ、ペナン
トルコ影響:アゼルバイジャン、ジョージア、ギリシャ、イラク、イスラエル、レバノン、シリア
アメリカ影響:中南米諸国(キューバ、ベネズエラ、コロンビアも含む)
日本とイギリスは韓国とアイルランドに影響する?
食料飢餓国:アフガニスタン、キューバ、北朝鮮、イラン、ベネズエラ、イエメン、シリア、リビア、ジンバブエ、ホンジュラス、グアテマラ、ラオス、トルクメニスタン、イラク、スーダン、南スーダン、二ジュール、マリ、そして中国??
飼料用:トウモロコシが減り大豆が増える
米:リン肥料と水の供給が問題