ピーター・ゼイハンのレビュー一覧
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ネタバレ地政学ストラテジストの著者は、自身の専門である地政学と人口統計学の研究から、1945年以来の自由貿易の恩恵で繁栄してきた世界は終わりを告げ、ブロック経済に分かれた世界移行するだろうと予想している。折しもトランプによる相互関税で世界が混乱している昨今を予言していたかのようだ。
世界に先駆けて変化に対処せざるを得なかった国の例として、ロシアと並び日本が挙げられている。バブル崩壊後の企業が製造を他国へ移転し、現地の市場で販売するモデルを採ることで日本は「多少優雅に高齢化できるようになった」とする。
日本をはじめ、欧州、アジア、中東、BRICSのいずれの国々でも予想される未来は暗く、特に中国は膨れ上が -
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地政学の本は最近たくさん出版されていますが、どれを読もうかと考えたとき、新書1冊ぐらいのボリュームではちょっと端折り過ぎ、海外の翻訳本で時々みられる訳の日本語が読みにくい等々の条件で候補を絞っていくと、本書にたどり着きました。
上下巻でそれぞれ300ページ、結構なボリュームでこれからの世界を各章ごとに設定されたテーマの切り口で分析しています。まず上巻では、1980~2020年ぐらいまでの時代を、歴史上稀有な時代として位置付けています。冷戦が終わって、世界規模でのサプライチェーンが構築されて、”より便利に、より早く、より大量に”が実現した時代といえるのですが、その要因としては、
1)アメリカが -
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ネタバレ【「世界の終わり」の地政学 上・下】 ピーター・ゼイハン 著
トランプ氏の行動がこの本によるのではないかと思えてきます。もしかしたら、米国民がこのように感じているのでしょうか。
米国は地政学的に恵まれたため自国で完結が可能。そのため「統治が本当に苦手」であり、これまでは、ソ連に対抗するため同盟国を「購入」し、グローバル化によって同盟国が輸出しやすい環境を構築した。そうした「秩序」は「米国の犠牲の時代」であり、「そんな時代は終わった」。それにも拘らず、同盟関係を維持する費用を支払い続けるのは、「住宅ローンを完済したのに、まだ支払いを続けるようなものだ」。戦後からこれまでの70~80年間が -
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脱グローバル化後の「世界の終わり」について。第二次トランプ政権前に刊行されているが、トランプ大統領が就任した今、ますます真実味を帯びている。
本書は地政学の専門家である著者が地理的要因や人口動態、Civilizationを基に、新たな世界のパワーバランスを読み解く。「風が吹けば桶屋が儲かる」的な内容。
冷戦終結後の、世界の「秩序」維持に理由も関心も失った米国。保護主義に走り、「秩序」を放棄する米国。そして右傾化し権威主義化していく各国。
「やっぱりアメリカは強い」という話ではあるが、強さの源泉と、それを取り巻く各国の位置づけがよくわかる。意外な日本の底力も知ることができる。因果関係を多少簡略化 -
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かなりダークだけどあり得そうな未来の予測。アメリカが主導してきた開かれたグローバルな秩序の終わりが何をもたらすのか。都市化した多くの国で急速に進む高齢化と人口減少、気候の変動がもたらす食糧供給の変化。
その結果として著者が予測するのは、食糧危機による世界の大部分(自給自足できない大部分の場所、グローバルな秩序が終わっても貿易に参加できる限定された地域を除く大部分)での飢餓、製造業のサプライチェーン断絶による今までのような生活が維持されない世界、人口構造と現在のハイパーファイナンスの終焉による中国の急速な崩壊。そしてそんな世界を尻目に孤立しても生きていけるアメリカ。
2030年台はかなり厳しい世