ピーター・ゼイハンのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
脱グローバル化というキーワードを聞くと、世界がそれぞれ孤立していくイメージ。金融製造、食料エネルギーという。それぞれの分野で見てみると、各国の繋がりや地理的条件が非常に重要になっているのがよく分かる。特に2030年がここ最近での空白期間になるような気がする。2040年になれば人工動態の変更もあって安定期に入るかもしれないが、2030年代は非常に不安定な時期になるであろうということが、この本からわかる。自分に振り返ってみると、じゃあこれを見てどうするのかであるが、これはすごく難しい問題である。食料にしてもエネルギーにしても1個人では対応できない部分もあるので、まずは自分自身ができる。成長にフォーカスした方がいいのではないかと感じる
-
Posted by ブクログ
ネタバレ地政学ストラテジストの著者は、自身の専門である地政学と人口統計学の研究から、1945年以来の自由貿易の恩恵で繁栄してきた世界は終わりを告げ、ブロック経済に分かれた世界移行するだろうと予想している。折しもトランプによる相互関税で世界が混乱している昨今を予言していたかのようだ。
世界に先駆けて変化に対処せざるを得なかった国の例として、ロシアと並び日本が挙げられている。バブル崩壊後の企業が製造を他国へ移転し、現地の市場で販売するモデルを採ることで日本は「多少優雅に高齢化できるようになった」とする。
日本をはじめ、欧州、アジア、中東、BRICSのいずれの国々でも予想される未来は暗く、特に中国は膨れ上がる融資と先細る人口で、「現代世界から離脱していくだろう」と予想している。
一方アメリカはミレニアム世代が厚い人口構成と、恵まれた地理条件のおかげで今後も君臨していくだろうとする。
日本語訳の副題は「野蛮化する経済の悲劇を読む」。原題の「THE END OF THE WORLD IS JUST THE BEGINNING -MAPPING THE COLLAPSE OF GLOBALIZATION」の方が、本書の本質をよりうまく表していると思う。 -
Posted by ブクログ
地政学の本は最近たくさん出版されていますが、どれを読もうかと考えたとき、新書1冊ぐらいのボリュームではちょっと端折り過ぎ、海外の翻訳本で時々みられる訳の日本語が読みにくい等々の条件で候補を絞っていくと、本書にたどり着きました。
上下巻でそれぞれ300ページ、結構なボリュームでこれからの世界を各章ごとに設定されたテーマの切り口で分析しています。まず上巻では、1980~2020年ぐらいまでの時代を、歴史上稀有な時代として位置付けています。冷戦が終わって、世界規模でのサプライチェーンが構築されて、”より便利に、より早く、より大量に”が実現した時代といえるのですが、その要因としては、
1)アメリカが突出した国力によって、世界規模での自由な貿易が可能な状態を実現した
2)先進国が人口構成で高齢化のピークを迎えるまでの人口拡張期だった
この2点を裏付ける様々なデータ、事象や歴史上の推移が述べられています。
そして本書が主に取りあげる2020年代以降の世界はアメリカによってもたらされた上記の”秩序”が解消し、世界が分断されていく中でどのような事が起こるのか、各章ごとに分析が進められていきます。上巻では”輸送”と”金融”が採り上げられます。
基本的には、人口を基に分析を進めるので、
3)アメリカは先進国で唯一、人口構成の高齢化が進んでおらず、今後も人口拡張期が継続し、地理的に他国からの影響を受けにくい(大西洋、太平洋に面している)ので、今後も国力は衰退しないが、以前のようにそれを世界に展開する意思は持たなくなる(=内向的になる)
4)中国は今後猛烈な高齢化を迎えるから、このまま世界への影響力を保持し続けることは不可能になる
この2点が著者の主張と受け取れます。訳が読みやすく、具体的な国名を挙げて説明されており、読みやすい印象でした。下巻はエネルギーや工業、農業などが採り上げられていて、続きが楽しみです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【「世界の終わり」の地政学 上・下】 ピーター・ゼイハン 著
トランプ氏の行動がこの本によるのではないかと思えてきます。もしかしたら、米国民がこのように感じているのでしょうか。
米国は地政学的に恵まれたため自国で完結が可能。そのため「統治が本当に苦手」であり、これまでは、ソ連に対抗するため同盟国を「購入」し、グローバル化によって同盟国が輸出しやすい環境を構築した。そうした「秩序」は「米国の犠牲の時代」であり、「そんな時代は終わった」。それにも拘らず、同盟関係を維持する費用を支払い続けるのは、「住宅ローンを完済したのに、まだ支払いを続けるようなものだ」。戦後からこれまでの70~80年間が「歴史的に見て異例」で、「秩序」の時代は終わり、「真の米国の世紀はいま始まったばかり」。「秩序」崩壊により米国は優位性を保ち続け、「この新たな無秩序の時代に最大の敗者となるのは中国」という論調です。日本は本書では高評価で、特に海軍力が優れているため海上安全保障を含めて立ち回れるというのは少々意外でした。
原著は2022年発刊で、原題は「The End of the World is Just the Beginning」。2年後の現在、著者が予想したのは違うところもありますが、下巻では世界の「エネルギー」「原材料」「製造業」「農業」について分析しており、大きな流れを理解するのに良書と思います。