清岡卓行のレビュー一覧

  • 詩礼伝家

    購入済み

    正に本の醍醐味!

    とても美しく、少し悲しさが残る作品でした。人や景色が目に浮かぶようでした。こういう、人へのさりげない愛情の表白って沁々と伝わりました。嘘がない、というのか。本当に綺麗な文章で、勝手に西行花伝の辻邦正さんを清岡さんの上に重ねていました。縁も縁もない私もいつか、先生のお墓参りをしたいです。こんな素晴らしい作品を知らずに人生終わるところでした。中高生の頃から書店で清岡さんの書棚の前を素通りしていた若き日の自分の無能さを、今は呪いたい。間違いなく枕頭の書にさせて頂きます。めが覚めました。清岡さんの歴史か羨ましいです。他の作品も楽しみにお仲間に加わらせて下さい。

    #深い #感動する #切ない

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    2022年11月10日
  • アカシヤの大連

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    ネタバレ

         -2007.02.21記

    所収作品は、「朝の悲しみ」(1969-S44)、「アカシアの大連」(1970-S45芥川賞)と、「大連小景集」(1983-S58)として出版された4つの短編「初冬の大連」、「中山広場」、「サハロフ幻想」、「大連の海辺で」を含む。

    大正11(1922)年に大連で生まれ、昭和16(1941)年の一高入学までの幼少期を彼の地で暮らし、さらには東大仏文へ進むも、東京大空襲の直後、昭和20(1945)年の3月末に、「暗澹たる戦局の中を、原口統三、江川卓と日本から満州へ。戦争で死ぬ前にもう一度見よう」と大連への遁走を企て、1ヶ月余の長旅でたどりつき、昭和23(194

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    2013年12月19日
  • マロニエの花が言った 下巻

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    ネタバレ

    その終りはやや唐突気味に幕を下ろした感があるが、それにしても愉しくも長い旅路だったように思う。
    この詩と散文と批評の壮大な織物が書き起こされたのは1989年、月刊誌「新潮」の1月号からだった。その後、95年7月から数年の中断を挟みつつも、98年5月号に一挙に480枚を上梓し完結編とされた、という。
    読後、ふっと心に湧いた小さな疑念がある。それは下巻全体のかなりを占める金子光晴に関する部分においては、藤田嗣治や岡鹿之助、あるいはブルトンらのシュルレアリストたちに触れた他の部分に比して、なんとなく滞留感というか一抹の重さのようなものがつきまとう、そんな気がする。その因は光晴という素材の資質によるも

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    2011年08月07日
  • アカシヤの大連

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    前半は小説家としての処女作"朝の悲しみ"と第二作で芥川賞の"アカシヤの大連"。40代の後半に20数年遡った時点のことを書く。自分は読メに数学者になりたかった頃をよく書いていて年齢も遡る年数もほぼ同じ。しかし清岡卓行が文筆の場を詩や評論から小説へ拡げたのは妻の病死を乗り越えるためだったし、彼の20代は戦争の只中で自殺することばかり考えていた。だから自分は甘いのだ!愛の悲しみではなく自尊心が傷つけられた安い感情とか、再婚するなら若くて美しい女性じゃなくては駄目とか、この作家はかなりエロチック。

    後半は60歳の時4泊5日で大連を訪れた旅行記。大連で生まれ育っ

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    2014年09月19日
  • アカシヤの大連

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    普通の講談社文庫版は表紙カバーが岡鹿之助さんの絵だったと思うのだが、それで読んだけど、ここでは検索できなかったのでとりあえずこちらで登録。単行本でも読んだが、そちらはあった。

    内容は正直覚えていない。単行本と文庫本で2回も読んだのに。
    ということはことに琴線に触れなかったのかなあと思う。ぼくの友人はこの作品をとても愛していたのだけど。
    いつかまた読んでみてもいいかなとも思ってる。カバー絵を残すために我が家のどっかに本も残しているはず。

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    2019年11月20日
  • アカシヤの大連

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    詩人としての作者の2作目の小説らしいけど、文章が深くて寝転がって読むには難しかった。大連がアカシヤに埋もれた美しい租借地で国際都市港町、美しい海岸が行く所もある街であることはわかった。
     私の両親が青春と新婚時代を送った町で作者が芥川賞をとったときに母からこの作品を聞いていたので読んでみた。満州での戦後の生活はよかったが、引き揚げてから大変な苦労をしたと書いてあったが、そのことは父からよく聞いていた。私の父もエンジニアで中国ソ連から優遇されていたと聞いている・
    もう一度裃を占めなおして読もうかと思う。

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    2018年12月15日
  • アカシヤの大連

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    大連小景集は大学の頃に読んだ。函入りの美しい装丁の本だった。
    この文庫は「朝の悲しみ」「アカシアの大連」の二つの小説と大連小景集の4つの連作がまとまられている。
    「朝の悲しみ」妻と死別した後の生活が実感のある文章で綴られる。毎朝、思い出せない悲しみの夢で目覚める。休学中の大学生であった主人公が終戦前に里帰りした大連で、妻となる女性と出会ったことも語られる。
    「アカシアの大連」憂鬱を抱えた青年が、家族と大連に取り残され、同じ境遇の女性を知り、転機を覚える。若い頃の心情を映し出す、生硬な文章。

    「朝の悲しみ」を読んでいるとき、六文銭で小室等さんが歌っていた「思い出してはいけない」がずっと頭の中で

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    2012年06月16日
  • アカシヤの大連

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    文庫版は表紙カバーがたしか岡鹿之助さんだったと思うけど、それが良かった。
    読んだのは単行本なのだけど。文庫はカバーのために購入したような記憶がある。

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    2011年01月18日