河村小百合のレビュー一覧

  • 中央銀行は持ちこたえられるか――忍び寄る「経済敗戦」の足音

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    ネタバレ

    財政破綻を日銀の財務諸表の観点から解説。
    ①日銀券を大量発行してインフレになると、誰が損をするのか?(率で課税している税金は増えるが預金は実質目減りするから国民が損をする)、
    ②低利率の国債を大量に保有する中、その量がBS上日銀券発行高をゆうに超え、超過準備が大量になることが許されている日本で、金利をあげると逆鞘が生じ日銀の財務運営が死亡→誰が補填?
    ③無利子国債→政府には一瞬メリットがあるように見えるけど②の問題が残る。

    欧米は金融政策の面でもしっかりと縛りがありできる限度や条件がある。財政の面でも国債の償還ルールなどが日本ほどにはゆるくなく身の丈にあった長期国債の発行が行われてる(日本は短期債の借り換えで繋いでいるので低金利だが、綱渡りの財政運営。)。

    財政破綻した場合、国外調整として債務免除をして解決できない日本は国内調整するほかない。その時、無理やり国民の資産を目減りさせる財産権の侵害を行うか、増税で徴税を行なって債務を返すか、社会サービスを切るか、、といった選択肢を迫られる。

    日銀の財務運営の点は恥ずかしながらよく理解してなかったので勉強になった。新刊も出たので復習も兼ねて読みたい。

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    2023年05月07日
  • 中央銀行は持ちこたえられるか――忍び寄る「経済敗戦」の足音

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    中央銀行が出口もはっきりさせないで金融緩和に突き進んでいったのがよく分かる。目先だけよければいい、根本的な解決は後回し。原発政策と同じ構造だ。ちゃんと中長期の展望を持たないととんでもない事態が起こりそう。とんでもない事態が起こるまで見ないふり、リスクに備えて動かない。まさに福島の原発事故と同じ。

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    2021年02月13日
  • 中央銀行は持ちこたえられるか――忍び寄る「経済敗戦」の足音

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    『アベノミクスによろしく』より、詳細な異次元の量的緩和政策への懸念と批判。著者のことは、しばらく前にマル激に出演したのを見て知った。抑制が効いた筆致と、著者の職業倫理に共感を持った。

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    2018年03月14日
  • 中央銀行は持ちこたえられるか――忍び寄る「経済敗戦」の足音

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    ネタバレ

    17
    世界中が仰天した異次元緩和
    2013.04.~
    年間約50兆円という型破りの規模、前代未聞の規模で国債を買い入れてマネタリーベースを供給するという量的質的金融緩和Quantitative and Qualititative Easingを開始。
    質的というのは、ETF指数連動型上場投資信託やJ-REIT不動産投資信託の買い入れが雲拡大し、株や不動産といった資産価格への働きかけも行ったから。

    2014.10.~ 追加緩和で年間約80兆円に増額

    20
    結果
    QQEの開始から3年半あまりが経過した2016.10.
    消費者物価は、2015.04.以降は前年を僅かに上回る程度の水準に戻る
    2016.01.以降は、前年比マイナスの幅が、月を追うごとに拡大。

    22
    日銀による国債の買占め

    26
    この3年半余りを振り返れば、財政再建に向けての取り組みは棚上げ状態。

    27
    日銀がQQEという事実上の財政ファイナンスを続けられなくなった時、わが国の財政と経済にとっての危機が訪れる。

    32
    債務腸製の2つのパターン

    1.連続的な債務調整 10年20年といった長期にわたり国民生活に重い負担が及ぶ
    ex.
    ・毎年10%~30%も物価があがる高インフレーション
    ・金融抑圧 閉鎖経済の中で金融抑圧をやると、多くの国で高インフレが起きる

    32-45
    2.非連続的な債務調整 国民生活が切り捨てられる
    ex.
    ・対外債務調整 
    ・国内債務調整→金融危機 ギリシャ預金引き出し規制 敗戦後の預金封鎖

    57
    財政制約を意識する欧米主要国
    61
    リーマン・ショック後の2010年
    各国は2013年の財政収支赤字の半減を共通の財政再建目標として掲げた。
    ドイツやスペインでは、健全な財政運営を行うことを政府に義務付ける条文が憲法に盛り込まれた。
    イギリスは「財政責任憲章」立法レベル、政治的な合意レベルでルールを設けた。

    70
    日銀の量的緩和は世界初の試み
    世界各国の中央銀行にとってゼロ金利状態の下で非伝統的手段による金融政策運営を行ったのは、2001~2006年の日銀の量的緩和が初めての経験だった。
    72
    マネタリーベースを増やしてもマネタリーサプライは増えず

    92
    出口戦略を一切明らかにしない日銀

    100
    バーナンキ・ショックと資産買い入れの縮小

    116
    マイナス金利導入の結果、損失覚悟で国債を買い入れせざるをえなくなった日銀

    132
    ギリシャは財政指標を粉飾していた

    143
    ドラギ欧州中央銀行総裁が、SMPによる国債の買い入れを停止した。

    145
    ギリシャは、戦後初めての、先進国の、デフォルトの事例になった。

    157
    「日本は貯蓄率が高く、国債の殆どを国内で保有しているから、財政運営が危なくなるようなことはない」と言うバカもいるが、それはあくまでも日本政府が健全な財政運営に努め、市場がそれを評価し、低い金利で国債を発行し、財政運営を回すことができている限りにおいての話。

    放漫財政で借金を増やし続け、市場金利が上昇する、もしくは事実上の財政ファイナンスを行って巨額の国際を買い入れ続けている日銀の金融政策が行き詰まり、政府の財政運営が回らなくなった時、ギリシャがとった手は使えない。
    急激な債務調整の負担は、すべて日本国民に向かう。

    159
    ラインハートとロゴフは『国家は破綻する』2009で
    「公的国内債務のデータを探すのは、ほんの十数年前のデータでも、ほとんどの国で考古学の調査をするようなものだった」和訳p.172 と述べている。

    日本は第二次世界大戦時に財政破綻している。

    170
    1946.02.17. 預金封鎖および新円切り替えが断行された。

    最後の調整の痛みは日本国民に向けられる。

    176
    日銀に蓄積され続ける大きなリスク

    192
    日本がIMFの管理下に入る日

    209
    財政運営リスクの問題に一切触れない日銀

    213
    中央銀行の先行きの金融政策運営に一切言及しないリフレ派

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    2017年11月07日
  • 中央銀行は持ちこたえられるか――忍び寄る「経済敗戦」の足音

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    日銀の財政ファイナンスを問題視する経済の本。太平洋戦争直後の銀行封鎖・新円切り替えと財産税について細かく書いてあって役に立つ。本当に90%とか取られたんだ…。今まで河村小百合と白井さゆりをごっちゃにしていたけど、別人だった。主張が似ているので混乱してしまった。

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    2017年10月14日
  • 「戦後80年」はあるのか――「本と新聞の大学」講義録

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    本のタイトルにあるように、日本に今後戦後80年は
    くるのかという議題で、現政権を中心に批判する
    下記の講義集
    内田樹氏ー比較敗戦論
    東浩紀-本と新聞と大学は生き残れるか
    木村草太-集団的自衛権問題とはなんだったのか
    山室信一-戦後が戦前に転じるとき
    上野千鶴子-戦後日本の下半身
    河村小百合-この国の財政・経済のこれから
    姜尚中-総括講演
    このなかでも、山室信一氏、上野千鶴子氏、河村小百合氏の
    3本がとても興味を引きました。
    どれも、日本が破綻し、または戦争の道に進むのでは
    ないかという潜在的な恐れを感じる内容です。

    支持率は高いですが、本当に今の政権でいいのでしょうか?
    他人事ではないような気がします。英国や米国、韓国、
    日本と反知性主義的というのか、そういうものが蔓延して、
    そのうえに乗っかっている知性的でない治世者に将来を
    奪われていくことになるような暗い気持ちになってきます。
    そうではないかもしれませんが、そうならないためにも
    これらのことを、警告として受け止めて
    自分の判断基軸の一つとして認識することに意味が
    あるのではないかと思います。

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    2016年11月26日
  • 「戦後80年」はあるのか――「本と新聞の大学」講義録

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    今日は令和4年8月15日だ。正午少し前から毎年の様に戦没者への哀悼を示す番組が国営放送(NHK)で流れ、武道館には天皇皇后両陛下だけでなく岸田首相も訪れ、正午の時報がなれば1分間の黙祷が捧げられる。1945年8月15日は昭和天皇による玉音放送が流れた日であり、ラジオで初めて聞く天皇の言葉の前に、何やら難しい事を言っている様だが、日本が戦争に負けた事だけは確からしい、と膝をついて泣き出すもの、心の中では生き残れたと安堵するもの、様々な感情が渦巻いた日でもある。特に戦争遂行の最前線にいた軍部には腹を切って自決するものも多数いた。
    終戦記念日と呼ばれるこの日は、この様に先の大戦において国民が戦争に負けた事を実感した日というのが正しいところであろう。実際に世界を見渡せば韓国は抗日戦争の終結は、日本支配が終わって独立した事を祈念する日だ。当然の事ながら中国もそうである。あれから78年の月日が過ぎた。
    日本では長く「戦後」という言葉で一括りにしている今に至る時代を果たしていつまで戦後と呼ぶか。これについて「本と新聞の大学」と題して朝日新聞社と集英社が共同で実施した講義が本書の内容となっている。本書が記載されたのは2016年であるから、当時はちょうど戦後70年の節目にあたり、果たして後10年、戦後80年は訪れるかを大きなテーマとしている。
    戦後に対して「戦前」という言葉がある。戦争に至るまでの歴史の経緯を辿った時、いつからが全然と呼ばれるかは、対象となる「戦争」を何にするかにもよる。石原莞爾がアジア・太平洋戦争のきっかけが何かと問われた際に、ペリー来航こそが外国からの侵略の始まりと捉えたのは有名な話であるが、海外からの侵略的行為に対して、国力をつけ国防を整備する、その流れの中から西洋と同じ様に外地に資源や労働力を求めて戦争に突入するという対極的な観点からは当たっていると感じる。本書はまずはそうした日本と海外との交戦の歴史に触れながら、先の大戦以降の「戦後」の具体的な話に入っていく。
    戦後は次の戦争が始まるまでの一時的な呼称であるから、日本が戦後80年より前に再び戦争をする可能性があるのか。この観点が本書の軸となっている。戦後の平和な時代を支えてきた平和憲法、在日米軍の抑止力、そして日本自体の国力となる経済および喫緊の最大の課題とも言える少子高齢社会の問題などを一つ一つ講義形式で読むことができるため非常にわかりやすい内容となっている。
    特に多額の借金を抱えながらも異次元の政策を取り続けた当時の黒田総裁下の日銀の施策などは、それから8年近く経った今、答え合わせもできる。実際には株価は上がったが、本書予測通り円の価値は下がり、本書執筆時点では存在しなかった新型コロナやウクライナ侵攻などが再び日本をはじめとする世界経済に大きな影響を及ぼしている。
    日本の周辺東アジア情勢を見てみれば、親日的な政策に舵を切った韓国に対して、相変わらずの嫌韓振りから目が覚めない日本、中国の脅威に晒されて、沖縄独立も現実味を帯びてきている。国を動かすのは非常に難しい事であるのは百も承知であるが、相変わらずの選挙投票率の低さを見ていると(直近の埼玉県知事選挙も30%を切っていた)、先ずは幼い頃から政治に参加するのが当たり前になる様な教育改革が必要ではないかと感じる。勿論長い目で見なければ成果がわからない様な施策を政治家が好むはずはない。株価を上げる様な目先の利益に囚われ、国債を乱発し将来にツケを残し、尚且つそれが原因で利上げもできずに円の価値暴落を引き起こすのが政治ではない。勿論、国家百年の計を意識しない政治家は皆無だろうから何らかの意図がある事は信じている。ただ持ち前の日本人らしさである、黙して語らずでは国民の「不安」は払拭できない。子供に苦労をさせる様な未来への懸念は、人々の心にいつも不安と壁を作っていく。
    開かれた政治を期待するとともに、自分からドアを開いて政治の中に入っていくような双方歩み寄りに必要なのは、本書の様なテーマの投げかけ(戦後80年は来るのか)になるのかもしれない。本書を出版する経緯に、人が集まって座談会形式で一つのテーマについて語る世の中にしたい、という意図がある。正にその通り、将来的に今の時期を戦後と見続けられるか、戦前になるのかは私たち一人一人が政治に参加して決めていかなければならない。

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    2023年08月15日