税収37兆円のうち、35兆円を占める公務員の人権費の削減について論じた本。
タイトルと内容からして、典型的な公務員バッシング本だと思っていたが、そうでもなかった。
バブル崩壊以降、民間企業の給料が下がり続けた(1998年で467万円だった平均年収が2009年には419万円まで減少)のに、
...続きを読む公務員の平均年収は2009年時点で712万円と大きく開いている。さらに、平均2500~3000万円(霞が関幹部は7000~8000万円)、月25~30万円超の共済年金など恵まれた待遇があることを示す。
このような給料の官民格差が開いた背景には、公務員給与を決める人事院が参考にする年収が、従業員50人以上で経営状態の良い企業ばかりであること、高度経済成長期の終身雇用、年功序列の給与体系なので人件費が膨れ上がったことが挙げられる。
処方箋として挙げられているのは、
1.政権交代(の繰り返し)
2.政治家の定数半減
3.天下り全面禁止
4.公務員人件費2割、退職金3割カット
5.有償ボランティア300万人
です。掲げるのはいいけど、これをどのように達成するかについてまでは言及がなかった。
福岡県大野城市の放課後子ども教室、高齢者介助支援などの官民協働(新しい公共)「お任せ民主主義」からの脱却など、一部には賛同できる内容もあった。
公務員志望者としては、給料が下げられることについていい気分はしないが、不当な優遇を受けている公務員が特に幹部クラスに多いのは確かなので、メスを入れて然るべきだとは思う。